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婚約破棄
かぐや姫と婚約をした。
他の誰も約束できなかった、結婚を私は約束した。
約束、したのだ……。
「私は、月に帰らねばならぬのです」
月へ向かって、方舟に乗って離れていくかぐや姫をただ……。
なぜだろう。
目から水がこぼれて来る。
栄華を手にした私が、なぜ悲しむ必要があるのだろうか。
……ああ、そうか。
私にとってかぐや姫とは、なくてはならない存在だったのだ。
涙が止まらない。
月と方舟がにじんでみえる。
「どうしたのですか? 道長殿」
そう語りかける隣の男。緑と紫を基調とした装束に、切れ長のつりめ。尺を口元に当てて、私を見つめる。




