演劇の途中
結菜と由美は2人で席に座り、その演劇を眺める。
窓を開け、ジュリエットはロミオに向けて言葉を放つ。
「ああロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」
その時、由美は少し眠くなってきてしまった。
気づくとそこは、キュピレット家の2階の部屋。
白とベージュを基調としたその部屋は、とても綺麗で素敵で。
ベッド、化粧台、カーペット。そして、アーチ上の窓……
……窓の外から、声が聞こえる。
窓を開けると、星が降る空の下……和樹が、私を呼んでいる!
小学生の時に、私がシンデレラの読み聞かせの途中で寝てしまった時。保健室で、私のそばにいてくれた和樹。
その時から私の和樹への想いはずっと、変わらなかったけれど、彼は芸能事務所からスカウトされて俳優になった。
私は、彼に、もう近づくことすらできないの。
昔はずっとそばにいたのに。
シンデレラのガラスの靴だって、部屋に大切に飾ってあるのに。
どうして。
どうして貴方は。
「ねえ和樹、貴方はどうして和樹なの?」
そう叫ぶと、和樹は悲しんだような顔をして。
「……み、由美!」
目を覚ますと、隣には結菜がいて。
「劇終わったからさ、他のところまわろ」
って言ってくれた。そしてそのあと、結菜に「あれ? 由美、なんで泣いてるの?」と聞かれるまで、自分が泣いていることに気づかなかった。
「……ううん、何でもない」と笑いながら誤魔化すの。




