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【痛みの帝王】 〜65歳で全ての激痛を経験した男、異世界で“痛みを操る”チートを得て成り上がる〜  作者: ボルトコボルト


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第38話 迷宮奥への進撃と影の胎動

 迷宮の入口は、すでに影が濃かった。


 壁の影がゆらゆらと揺れ、まるで呼吸しているように見える。


 レオンが剣を肩に担ぎながら、低く呟いた。

「……入口からこれか。嫌な予感しかしないな」


 ミレイは指先に魔力を灯し、影の揺らぎを観察する。

「魔力の流れが乱れてる。迷宮そのものが歪んでるみたい」


 ガルドは盾を構え直し、重い足取りで前へ出た。

「影が生きてるようだ。気を抜くなよ」


 ドロルは淡々と前を見据えた。

「進みましょう」


 窮奇は静かに歩く。興味がないので何も言わない。


 ――


 迷宮の中層へ進むと、壁から影が剥がれ落ちるように形を成し、群れとなって襲いかかってきた。


 レオンが剣を構える。

「来るぞ!」


 ミレイが魔力を展開し、ガルドが盾を前へ出す。

 影の群れは波のように押し寄せてくる。


 ドロルは窮奇へ視線を向ける。

「窮奇、まとめて吹き飛ばせ」


 窮奇は静かに一歩前へ出た。

 胸の奥で光が膨らみ、次の瞬間、咆哮が迷宮を震わせる。


 影の群れは一瞬で霧散し、壁の影ごと吹き飛ばされた。


 ガルドが呆然とした声を漏らす。

「……これが聖獣の力か」


 ミレイは影の残滓を見つめながら言う。

「影の魔力が……消し飛んでる。完全に浄化されてる」


 レオンは窮奇を見て、苦笑いを浮かべた。

「俺たち、必要あるのか……?」


 ドロルは淡々と歩き出す。

「進みます」


 ――


 迷宮の深層へ進むほど、影の濁りは濃くなった。

 壁の影が脈動し、まるで心臓の鼓動のように揺れている。


 レオンが影の脈動を見て息を呑む。

「……生きてるみたいだな」


 ミレイは魔力の流れを感じ取り、声を震わせる。

「影が……集まってる。奥に何かある」


 ドロルは影の流れを観察しながら言う。

「影の源が近いですね」


 窮奇は影の匂いを嗅いでいた。

 ドロルが問いかける。


「窮奇、奥に何がある?」


 窮奇は短く答える。

「……大きい影だ」


 ――


 迷宮全体が低く唸るように揺れ始めた。

 影の濁りが波のように押し寄せ、空気が重くなる。


 ミレイが魔力の流れを感じ取り、声を震わせる。

「……何かが生まれようとしてる。影が……集まってる」


 ガルドは盾を構え直す。

「来るぞ。構えろ!」


 レオンは剣を握り直し、窮奇の横へ立つ。

「聖獣がいても油断はできない。ドロル、指示を頼む」


 ドロルは淡々と頷く。

「状況を見て判断します」


 ――


 迷宮最深部。


 黒い影が渦を巻き、巨大な影の塊がゆっくりと形を成し始めていた。


 まだ完全な形ではなく、胎動している状態。


 影の塊は脈動し、迷宮全体へ濁りを送り出している。


 レオンが息を呑む。

「……これが原因か」


 ミレイは影の魔力を見て震える。

「影の核……? こんなもの、見たことない……」


 ガルドは盾を構えながら言う。

「生まれかけてるってことか」


 ドロルは影の塊を見つめ、静かに言う。

「窮奇。あれをどう思う?」


 窮奇は短く答える。

「……壊せる」


 ドロルは頷いた。

「なら、壊しましょう」


 ――


 影の塊が脈動し、周囲の影が形を成す。

 巨大影を守るための影の守護者が複数体出現した。


 レオンが剣を構える。

「来るぞ!」


 ミレイが魔力を展開する。

「援護します!」


 ガルドが盾を前へ出す。

「前衛は任せろ!」


 ドロルは窮奇へ短く命じる。

「窮奇、前を頼む」


 窮奇は静かに前へ出る。

 影の守護者が一斉に襲いかかる。


 咆哮が迷宮を震わせた。

 影の守護者は一瞬で霧散し、影の塊だけが残る。


 レオンが呆然とした声を漏らす。

「……強すぎる……」


 ――


 影の塊が大きく脈動し、形を成し始める。

 迷宮全体が揺れ、影の濁りが波のように押し寄せる。


 ミレイが叫ぶ。

「まだ終わってない! 影が……集まってる!」


 ガルドが盾を構え直す。

「第二波が来るぞ!」


 レオンがドロルを見る。

「ドロル、どうする!」


 ドロルは影の塊を見つめ、静かに言う。


「……次で決めます」


 影の塊が大きく脈動し、巨大影が生まれようとする瞬間で終わる。

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