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【痛みの帝王】 〜65歳で全ての激痛を経験した男、異世界で“痛みを操る”チートを得て成り上がる〜  作者: ボルトコボルト


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第19話 傲慢な護衛──聖獣の前で震える下劣な冒険者

 窮奇の背に乗り、革職人の村から迷宮都市ギエラへ戻ったドロルは、そのまま冒険者ギルドへ向かった。


 ギルドの前はいつものように人で賑わい、依頼を受ける者、報告をする者、酒場へ向かう者が入り乱れている。


 その喧騒の中を、ドロルと窮奇はゆっくりと進んだ。


 窮奇は周囲の視線を気にすることなく、堂々とした足取りで歩く。


 聖獣の存在感は圧倒的で、道が自然と開いていく。


 受付に着くと、いつもの受付嬢が笑顔で迎えてくれた。


「ドロル様、お帰りなさいませ。窮奇様も」


 ドロルは軽く頭を下げた。

「ただいま戻りました。相談があって……」


 受付嬢は丁寧に頷き、身を乗り出した。

「どういったご相談でしょうか?」


 ドロルは少し考え、言葉を選んだ。


「窮奇と俺の装備が出来上がるまで三日かかるそうです。

 その間、散財してしまったので……割の良い仕事を紹介していただければ」


 受付嬢は書類を確認しながら、ふと目を丸くした。


「……ドロル様。キラーベアの素材の高額買取額が、ギルド口座に振り込まれていますよ」


「え? 口座?」


 ドロルは思わず聞き返した。

 受付嬢は微笑みながら説明を始めた。


「冒険者ギルドでは、Eランク以上の冒険者に口座を開設できます。

 依頼の報酬や素材の買取額を安全に管理できる仕組みです。

 前の街のギルマス、ダルト様が開設してくださったようですね」


「そうだったのか……。アガルドさんが振り込んでくれたんだな」


 ドロルは胸の内で感謝した。

 窮奇は横で鼻を鳴らす。


「主殿、金の心配は減ったな」


「そうだな。でも、依頼は受けておきたい」


 受付嬢は書類をめくり、ひとつの依頼を差し出した。


「近くの街へ向かう商人の護衛はいかがでしょうか?

 三日で戻ってこられますし、報酬も良いですよ。

 それに、護衛はドロル様だけではなく、Bランクの冒険者パーティも受けていますので安心です」


 ドロルは少し不安げに眉を寄せた。


「護衛は初めてで……自信がないんですが」


 受付嬢は優しく微笑んだ。


「大丈夫です。Bランクの方々が同行しますし、窮奇様もいらっしゃいます。

 問題はありませんよ」


 窮奇は胸を張った。


「儂がいれば十分だ」


 その言葉に背中を押され、ドロルは依頼を受けることにした。


「……分かりました。護衛を受けます」


 受付嬢は嬉しそうに頷いた。


「では、商人の方と待ち合わせ場所へ向かってください」


 ドロルと窮奇はギルドを出て、指定された場所へ向かった。


 待ち合わせ場所には、荷馬車と商人らしき男が立っていた。

 その横には、Bランクの冒険者パーティの一人が腕を組んで立っている。


 ドロルが近づくと──

 その男は、いきなり下品な声で笑った。


「おいおい、いくら人数合わせと言っても、こんな貧弱な体格のヤツが来やがったのか。

 お前のランクはなんだ?」


 ドロルは丁寧に答えた。


「Cランクです」


 男は鼻で笑い、あからさまに侮蔑の視線を向けた。


「はあ!? 聖獣を連れてる冒険者はお前か?

 こんなヒョロい奴が護衛できるのかよ?」


 ドロルは正直に答えた。


「護衛は初めてです」


 男は舌打ちし、肩をすくめた。


「はん! お荷物かよ。こりゃ報酬を上げてもらわねえと割に合わねえな。

 いいか、俺の言うことは何でも聞けよ。荷物運びでも何でもやらせるからな!」


 その横柄な態度に、窮奇の目が鋭く光った。


「……主殿を侮辱するな」


 低く、地を震わせるような声。

 空気が一瞬で張り詰めた。


 男は怯えたように一歩下がったが、すぐに虚勢を張った。


「おい小僧! 従魔の躾ぐらいしっかりしとけ!

 聖獣だかなんだか知らねえが、俺の邪魔すんなよ!」


 ドロルは静かに息を吐いた。

 怒りではなく、冷静な判断が働いた。


「……なるほど。依頼の護衛はキャンセルします」


 男は目を丸くした。


「はあ!? おい小僧、ちょっと待て!」


 ドロルは辺りを見回し、商人の方へ向かった。


 窮奇は男の前に立ち塞がり、進路を遮った。


「主殿に近づくな」


 男は青ざめ、足を震わせた。


 ドロルは商人に声をかけた。


「あ、依頼の商人の方ですか?

 すみません、護衛はキャンセルします」


 商人は驚いて振り返った。


「えっ……?」

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