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【痛みの帝王】 〜65歳で全ての激痛を経験した男、異世界で“痛みを操る”チートを得て成り上がる〜  作者: ボルトコボルト


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第11話:森の王者、空を渡り街へ。混乱と恐怖と従魔の影

 森の奥で従魔契約を結んだ直後。

 ドロルは窮奇に命じた。


「キラーベアを狩って持って来い」


「承知しました、ドロル様」


 白い翼を広げた窮奇は森の奥へ飛び去り、

 ほどなくして――

 巨大な影が空を覆った。


 ---


◆ キラーベアを咥えて戻る窮奇


「グルルル……持って参りました」


 窮奇が戻ってきた。

 その口には――

 森の王者キラーベアの巨体。


 ドロルは思わず目を見開いた。


「……デカいな。窮奇と変わらない大きさだ」


 窮奇は誇らしげに胸を張った。


「当然です。森の王者を倒すなど、我にとっては造作もないこと」


 その態度は自慢げで、どこか傲慢だった。

 だが、従魔契約の光がまだ身体に残っているせいか、

 ドロルの前では決して牙を剥かない。


 ---


◆ 血抜きの準備


 ドロルはキラーベアの巨体を見ながら腕を組んだ。


「解体しても、冒険者ギルドまで持って行くのどうしよう」


 窮奇は即座に言った。


「街まで運びますか、ドロル様」


「そうしてもらおうか。

 だけど血抜きはしたほうが良いな」


 ドロルは腰のナイフを抜いた。


 キラーベアの首元に刃を入れると、

 濃い血がどろりと溢れ出した。


「窮奇、ちょっと後ろ足を持って飛び上がってくれ」


「承知しました」


 窮奇はキラーベアの後ろ足を咥え、

 翼を広げて飛び上がった。


 だが――


 上空で旋回した瞬間、

 キラーベアの血が風に乗って四方へ飛び散った。


「グルッ!? 血が……!」


 窮奇はホバリングができず、

 空中でふらつきながら必死に体勢を保とうとする。


 ドロルはため息をついた。


「ホバリングできないのか……」


「す、すみません……!」


 仕方なく、

 近くの大木にキラーベアを引っ掛けて血抜きを行った。


 ---


◆ 窮奇、腹が減る


 血抜きが終わる頃、窮奇がドロルを見た。


「……ドロル様。

 少し……お腹が空きました」


 その声は、従魔らしく控えめだったが、

 どこか情けなさも滲んでいた。


 ドロルは肩をすくめた。


「まあ、いいか。

 少しくらいなら食っていいぞ」


「ありがとうございます!」


 窮奇は嬉しそうに森へ飛び去った。


 ---


◆ 街へ向かう準備


 しばらくして窮奇が戻ってきた。

 腹が満たされたのか、翼の動きが軽い。


「戻りました、ドロル様」


「じゃあ、血抜きしたキラーベアを抱えて飛んでくれ。

 俺は歩いてついていく」


 窮奇はキラーベアを抱え、

 空へ舞い上がった。


 だが――


 ドロルの歩く速度が遅すぎて、

 窮奇は何度も振り返っては待つ羽目になった。


「……ドロル様、遅いです」


「俺は飛べないんだよ。

 先に街の手前で待っててくれ」


「承知しました」


 窮奇はキラーベアを抱えたまま、

 街へ向かって飛び去った。


 ---


◆ 街の手前で起きた“事件”


 街の手前で待ち合わせ――

 そのはずだった。


 しかし。


 街の門の上で見張っていた冒険者が、

 空から近づく巨大な影を見つけた。


「な……なんだあれは……!?」


 白い翼を持つ虎。

 その虎が――

 森の王者キラーベアを抱えて飛んでくる。


 冒険者は絶叫した。


「街に魔物が来たぞ!!

 キラーベアを抱えてる!!

 窮奇だ!!」


 その叫びは街中に響き渡った。


 ---


◆ 街の大騒ぎ


● 住民の悲鳴

「虎だぁぁぁ!! 翼のある虎だぁ!!」


「キラーベアを抱えてる!? なんで!? なんで!?!?」


「街が滅ぶ!! 逃げろ!!」


 住民は家から飛び出し、

 子どもを抱えて走り、

 荷物を放り出して逃げ惑った。


 ---


● 衛兵の混乱

 衛兵たちは慌てて門を閉めた。


「閉門!! 閉門!!」


「弓を構えろ!!」


「いや、効かねぇだろ!!」


「どうすんだよ!!」


 街は完全に警戒態勢に入った。


 ---


● 冒険者ギルドの大わらわ

 ギルドでは、受付嬢が蒼白になり、

 ギルドマスターが怒鳴り散らしていた。


「全冒険者を門前に集めろ!!」


「窮奇が街に来てるぞ!!」


「キラーベアを抱えてるってどういう状況だ!!」


 冒険者たちは武器を構え、

 門前で陣形を組んだ。


「来るぞ!!」


「戦闘準備!!」


「いや、勝てるわけねぇだろ!!」


「でもやるしかねぇ!!」


 街は完全に戦闘態勢だった。


 ---


◆ そして――ドロルが歩いてくる


 その騒動の中、森の奥から、

 ゆっくりと歩いてくる影があった。


 ドロルだった。


 窮奇が街の手前で待っているはずが、

 街はすでに大騒ぎになっていた。


 ドロルは眉をひそめた。


「……なんだこの騒ぎ」


 窮奇はキラーベアを抱えたまま、

 門の前で困ったように立っていた。


「ドロル様……

 街が……騒いでおります……」


 その姿は、

 かつて森の王者を喰らった聖獣ではなく――


 ただのドロルの荷物持ちだった。

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