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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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30/40

第30話 ギルドからもいつの間にか大物認定されていた件

 生徒や教師の注目を浴び続けた学園での授業が終わり、放課後。


 レブルは早速、勇者パーティのバイトへ向かう。


「レブル君、今日は一緒に帰りませんか?」


 目視できないほどのスピードで講義室から出たレブル。

 しかし、彼に恋心を寄せるオッティはレブルを校門で待ち構えていた。


 彼女と共に研修を受けたシルフィも隣に立っている。


「レブルさんはわたくしと一緒に帰りますの。馬車が迎えにくることになっておりますので、レブルさんも――」


「僕はこれからバイトがあるんだ」


「あら、でしたらわたくしもご一緒しますわ。レブルさんを近くで観察することがわたくしの使命ですもの」


 その言葉はあながち間違いではなかった。

 シルフィは王都魔術師同盟に入ることになったのだが、初任務がレブルを観察することだったのだ。


 観察というよりは監視なのかもしれない。


 レブルという少年は規格外だ。

 あれだけの魔術の実力をどこで身につけたのか。


 本人に自覚がないことも非常に危険である。魔術師同盟でも王国騎士団でも、レブル・コスキートは要注意人物でありながら、スカウト最優先(・・・)人物であった。


「気持ちは嬉しいけど、お断りさせてもらうよ。バイト先のみんなを僕の都合に巻き込むわけにはいかないからね」


「そうですよ、シルフィさん。レブル君が困ってるじゃないですか。私はシルフィさんみたいにストーカーはしません。だからレブル君、ぜひ私と――」


「急いでるからまた今度ね」


 さりげなく爽やか笑顔(スマイル)を披露し、そのまま消えるレブル。


 消えるという表現は間違いだが、彼女たちから見たら消えたようなものだ。

 目に見えない速度で走り去っていったのだから。




「おっ、レブル大先生!」


 遅れてギルドに入ったレブルを歓迎したのは、かつてレブルを殺そうとしたことのあるシャドウだ。


 彼はレブルの姿を見た途端笑顔になり、すぐさまレブルに駆け寄った。

 もうすっかり大ファンである。


「シャドウさん、今日はいつもより楽しそうですね」


「いやぁ、実はお前を待ってたんだよ」


「そうなんですか?」


 確認のために周囲を見回す。

 勇者パーティのメンバーは全員揃っていた。


 首領(リーダー)のホークはギルドから渡された封筒(・・)に視線を向けたまま、真剣な表情で頷いた。


「ギルドから、ある極秘任務の依頼が来た」


「極秘任務……それって、臨時要員の僕に教えてもいいことなんですか?」


「本来であればダメなんだが、今回は特別にギルドから許可が下りている。まあ、それも当然だろうがな」


 ――全然当然とかじゃないと思うけど……。


 困惑するレブル。

 臨時的に参加しているだけの自分が、ここまで重要な任務に関与してもいいのか。


 普段は気楽に参加しているバイトだが、責任重大となってくれば話は別だ。ホークから何度も正式メンバーとしての勧誘をされながら、断り続けてきた。


 勇者パーティの任務や事情にガッツリ関わりすぎることは、レブルの方針(ポリシー)に反する。


 そう感じた金髪に碧眼の小柄な少年は、何も聞こえないように耳を塞いだ。


「レブルちゃん、何してるの?」


 急に耳を塞ぎ始めたレブル。

 カリーナはその仕草に思わずキュンとした。


 ――レブルちゃん、やっぱり可愛いわ……!


 行動の理由を聞いてみたものの、完全に聴覚をシャットアウトしてしまったのか、レブルは答えない。


 カリーナは優しく彼の手をつかみ、横に引っ張った。


「可愛い」


「僕がそんな大事なこと聞いてもいいのかな?」


「ギルドも私たちも、それを望んでるのよ」


「……」


 頑固になるのも良くないと思い、レブルは諦めた表情を作った。


 それを見たナディアが舌打ちする。


「あんた、いい加減自分の実力認めたら?」


「実力?」


「とぼけるのもいい加減にしろって言ってんの!」


「僕は別にとぼけてないですよ」


「ちっ」


 ナディアはレブルの近くにいるとイライラしがちだ。


 ちなみに、もうすでに酒が入っている。

 レブルが来るまでの間、カウンター席で3杯のカクテルを飲んでいた。


「ナディアはいい加減レブル大先生に対する態度を改めろ。あと、最近酒の飲みすぎだ」


「あんたは黙ってて」


「俺に対する態度もついでに改めろってんだ」


 シャドウとナディアの言い合い。

 ちょっとした喧嘩なのかもしれないが、全員慣れているので、止めに入ったりすることはない。


 殴り合いに発展しないだけマシである。


 ここで、話を戻すためにホークが咳払いをした。


「ギルドからの依頼の件だが……奥にある部屋で詳しく説明したいと思う。レブルもついてきてくれ」




 ギルドの奥の部屋は、完全な防音が施された秘密を守るための部屋だ。

 ギルドマスターから依頼が直接入る場所でもある。


 実際、ホークたちはレブルが来る前にこの部屋に呼び出され、ギルドマスターから詳しい説明を受けていた。


「レブル、これは命令のようなものなんだが……魔王ロードキングを倒しにいく。レブルの参加は絶対だ」


 バイトの少年を見つめながら、ホークが言う。


 その言葉を聞くと、レブルは固まってしまった。口を開かないまま、時間が過ぎる。


 ――魔王を倒すって言われても……。


 彼が困惑していたのは、魔王討伐の任務がとてつもなく難しく、大規模なことだったからではない。


 レブルは魔王軍でもバイトをしている。

 そして実際に魔王ロードキングとも面識がある。


 つまり、彼にとってはロードキングもバイト先の上司であり、身内なのだ。


 ――マグナさんにはどうやって説明しよう……?

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