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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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第23話 告白されたことが実はちょっと嬉しかった件

 その後の剣術対決の結果は言うまでもない。


 レブルの圧勝だ。

 魔術学園の女子ふたりも、あっけなくレブルに敗れた。


 こうして、事実上のレブルの優勝が確定する。


 魔術対決でレブルが最下位を取り、イナズマが1位になった場合であれば、イナズマが優勝するが――イナズマはほとんど魔術が使えないので、可能性は低い。


「あとは消化試合ね。レブル、さっきのは最高だったわ」


「さっきの?」


「イナズマとブルバードに圧勝したことよ。女子にキャーキャー言われてたのはちょっとアレだけど……」


「ん?」


「な、なんでもないわ。とにかく、もうあんたの優勝は確定したし、魔術対決は適当にやっておけばいいのよ」


 適当にやっておけばいい、という言葉に、顔をしかめるレブル。


「せっかく魔術学園のふたりが輝ける舞台なんだし、僕が適当に参加することで会場が冷めるのは嫌かな」


「――ッ。そうよね。それはわたしが悪かったわ……」


 レブルに嫌われたかもしれないと、アイシスは焦る。


 確かに彼女の発言は他の選手や大会そのものに対して失礼なものだったのかもしれない。


 好きな人(レブル)の優勝を喜ぶあまり、周囲への配慮を怠っていた。

 そんな自分を全力で責めつつ、レブルの綺麗な心に惚れ直す。


「そ、それより……魔術学園の女子生徒から告白されたって聞いたのだけど、本当なの?」


「ああ、あれは錯覚だよ」


「錯覚?」


「少し大げさかもしれないけど、僕は彼女の命を救ったことになるし……命の恩人に特別な感情を抱いてしまうのは錯覚みたいなものだと思うね」


 彼の言う通り、命を救われたという事実は大きいのかもしれない。


 しかし、その意見は半分間違っている。


 命を救った男は、強くて優しくて、頭もいい美少年だったのだ。それで惚れない女はなかなかいない。


 アイシスはそう考えたが、口には出さなかった。

 レブルがそう解釈したままであれば、あの少女との恋も発展しないだろうと考えたからだ。


 ――わたしの方が先にレブルのことを好きになったんだから。


 彼への恋心を自覚したのは最近だが、考えてみればずっと前から好きだったのかもしれない。


 1年生の頃から、試験で圧倒的1位を守り抜いていたレブル。

 学級(クラス)は6年になるまで違ったので、直接的な接点はなかったものの、ずっとライバルとして意識していた。


 それがいつの間にか尊敬と恋心に変わっていたわけだ。


 きっかけは盗賊団(ストレイキャット)の一件だった。


「言われてみれば、確かに錯覚かもしれないわね。うん、錯覚に決まってるわ」


「え、あ……やっぱり、そうだよね」


 歯切れが悪いレブル。


 これはもしや……。


「あんた、ちょっと期待してたの?」


「――ッ。まさか。そんなわけないよ」


 珍しくビクッと。

 普段の落ち着いた姿とはかけ離れた反応をする。


 その新鮮な姿が可愛いとアイシスは思ったが、口に出すことはもちろんない。


 そして、改めて魔術学園の女子生徒に対する警戒心を高める。仮にその生徒が本気でレブルに恋をしたとして、これからも接点を持とうとしてくるのなら――要注意人物だ。


 ――わたしも告白とかした方がいいの……?


 金髪を揺らすレブルを見ながら、告白の時のシチュエーションを考える。


 学園の中で告白するのか、それとも街のおしゃれな飲食店で食事中に告白するか。

 さすがにそれは学生っぽくないか、などと思考を巡らせ、徐々に顔を赤くしていった。


「顔、赤くなってるよ」


 レブルにそう指摘され、さらに顔を紅潮させる。


 意識すればするほど、顔は真っ赤に染まっていくばかりだ。


「ばか」


 涙目でそう言って、アイシスはレブルに背を向けた。




 剣術対決が終わり、いよいよ最終種目、魔術対決が行われる。


 イナズマが魔術に覚醒したりしない限りは、レブルの優勝が決まっているわけだが、優勝を決めるためだけの大会ではない。


 それぞれの学園の代表生徒が実力を披露し、お互いを認め合うための大会だ。


 王都三大学園の結束力を高めることも、目的のひとつである。


「レブル・コスキートさん」


 控え室で精神を集中させていたレブル。

 そんなレブルに、シルフィが声をかけてきた。


 長い銀髪が光沢を放ち、整いすぎた顔立ちをさらに引き立てている。


「まさか、コスキートさんが剣術まで優秀だとは思いませんでしたわ」


「優秀な人に訓練を受けたからね。褒めてくれるのは嬉しいけど、僕の師匠(マスター)に比べたら全然だよ」


「魔術の実力にも期待してよろしくて?」


「使えないことはないけど、魔術学園の優等生の前で得意って言えるほど、僕は傲慢じゃないかな」


 どこまでも謙虚なレブルの笑み。

 シルフィはどこまでも美しい笑みを返した。


「あなたとの対決、楽しみにしていますわ」


 柑橘系の香りを漂わせながら、余裕の表情で(きびす)を返すシルフィ。


 レブルへの警戒心は相変わらずだが、魔術まで優秀であれば、学術学園には通っていないだろう。


 それは剣術にも言えることかもしれないが……シルフィはそれ以上考えないことにした。


 魔術対決においては、絶対に勝つ。

 覚悟を固め、戦場(フィールド)で最大出力の魔術を放出するため、精神を集中した。


 ――魔術においては……魔術だけでは、絶対に負けませんわ。


 魔術学園で最も優秀な生徒こそ、シルフィ・ブラウエンである。


 そんなシルフィに学術学園の優等生であるレブルが勝つようなことがあれば――。


 ――もしわたくしがコスキートさんに勝てなかったら……その時は、魔術学園を辞める覚悟ですわ。


 恐ろしい覚悟を、シルフィは決めてしまった。

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