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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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第22話 魔術学園の女子生徒に惚れられて告白された件

 ブルバードも、イナズマと同じ順番でシルフィやアイシスたちを下していった。


 そして、ついにレブルが戦場(フィールド)に足を踏み入れる。


 鼓膜を破るような大歓声に顔をしかめていたが、その表情は引き締まり、気合いが入っていた。


 控え室ではアイシス、イナズマ、シルフィ、オーラが彼らの戦いに注目している。

 レブルの圧倒的な強さを目の当たりにしたイナズマは、次はどんな勝ち方(・・・)を見せてくれるのかと期待を膨らませた。


「イナズマが世話になった」


 レブルと対面したブルバードが、低い声で言う。


 剣を(さや)から解放し、無駄のない所作で構えまで持っていく。


「確かにイナズマは強いが、純粋な剣技では俺の方が上だ」


「その構えを見ていれば、なんとなくわかるよ」


「やはり、貴様は剣術がどんなものなのかよくわかっている」


「どういうことだい?」


「構えを見れば相手の技量がわかる。貴様は俺の構えを見て警戒心を強めた。そして俺も――貴様の構えを見たことで、剣士としての魂に火がついた」


 クールな見た目と声に反して、中身は熱血なブルバード。


 そのギャップに少し驚きつつも、戦闘開始の合図を待ち続けるレブル。


 イナズマ戦の時とは違う緊張感が、客席にまで広がっていた。

 今回は両者の勝利に対する期待が半分半分だ。レブルが勝つという予想の方がやや多いか。


 しかし、ブルバードの実力を甘く見てはいけない。


 イナズマが敗北したからといって、ブルバードも同じように負けるとは限らない。


 鳴り響く戦闘開始の声。


 ふたりの剣が同時に衝突し、火花を散らす。


 イナズマとの戦いとは違い、こちらは地に足のついた剣術(・・)の対決だ。


 相手の振り下ろす剣に合わせ、自分の剣を動かしていく。


 ――かっこいい……。


 控え室で見守るアイシスは素直に感動していた。


 剣を打ち合うレブルの後ろ姿が、色気があってかっこよかったからだ。


 イナズマとの対決では、剣技を見せるというより一撃の大きさで圧倒的なパワーを見せた感じだった。


 だが今回は違う。

 繊細な剣(さば)きで、ブルバードに応戦している。


「攻撃的な戦い方だね」


「随分と……余裕だな……」


 息を切らしながら、レブルの素早い反応速度に追いつこうと必死になっているブルバード。


 顔から汗がぽとぽとと垂れる。


 彼の剣術のスタイルは攻撃型だった。

 相手の守備をしつこい攻撃の繰り返しによって崩していく戦い方だ。


 一方、レブルの戦い方には余裕がある。


 戦いの最中に会話できる余裕もそうだが、動きを最小限にしつつ、相手の攻撃へのカウンターを狙うスタイルなので、体力を温存しながら剣を振れるのだ。


 ブルバードの動きは激しさを増すばかりだが、レブルの動きは安定していて、ブレることがない。


「……貴様、なぜ攻撃してこない?」


 レブルには余裕があった。


 ブルバードの動きを見切っていたし、彼の防御が甘いところを狙って攻撃を放つこともできたはずだ。


 だが、彼は相手の剣を受け止めるだけで、自分から攻撃しようとはしない。


「え?」


 切れ長の碧眼を丸くして、レブルが聞き返す。


「なぜ攻撃してこない?」


 聞こえなかったのかと思い、ブルバードは同じ質問を投げかけた。


 だが、レブルは聞こえなかったから聞き返したわけではない。

 彼の質問が意外だったから困惑していたのだ。


「戦いを長期化させて観客を楽しませるってことじゃないのかい?」


「は……?」


「君こそ、もっと強い攻撃が出せるのにセーブしてるだろう?」


「いや、俺は本気で……」


 剣がぶつかり、金属音が鳴り響くたび、観客は歓声を上げる。


「そうだなぁ……もう会場も盛り上がったと思うし、お互いそろそろ本気を出して戦おうか」


「え――」


 いきなり動きを変えるレブル。


 これまでずっと受け身だったのに、今度は急に前傾姿勢になり、手首のスナップを応用して剣を回転させた。


 突進するような勢いでブルバードに剣を突き出し、防御が不十分だった(わき)の下をえぐる。

 その際、ブルバードの握る剣まで絡めとり、遠くに弾き飛ばしてしまった。


「――ッ」


 激痛に顔を歪めるブルバード。


 この時点ですでに彼の負けは確定していた。


 客席の方へ飛んでいくブルバードの剣。


 落ちてくるのは自分の座っているところかもしれないと、客席の生徒たちが悲鳴を上げ、剣から逃れようとする。


 だが、その心配は必要なかった。


「剣を弾き飛ばすのは危険だったね。ごめん、怖い思いさせて」


 爽やかな笑みを浮かべながら、ブルバードの剣を握っているレブル。


 いつの間にか、彼は客席まで上がってきていた。

 戦場(フィールド)からここまでの高低差と距離を考えても、一瞬で飛んでくるなど不可能だ。というか、飛んでくること自体が馬鹿げている。


 瞬間、黄色い歓声。


 レブルに命を救われた魔術学園の女子生徒は、目をハートにしてレブルを見つめていた。


「惚れました。付き合ってください」


「それはちょっとチョロすぎるよ。悪い男に騙されないように気をつけてね」


「――きゅん」


 いつもの調子でさらっと返したレブルだったが、その一言が女子生徒の心臓に突き刺さったようだ。


「私、魔術学園に通ってるんですけど、明日から学術学園に通います!」


「それは……冷静に考えてみた方がいいんじゃないかな」


「いえ、これは運命です。私はもうレブル君との恋しか考えられません。結婚しましょう」


「面白いこと言うね。僕は戻るよ」


 ふわっと飛び上がり、そのまま戦場(フィールド)に着地するレブル。

 これがまたかっこよかったのか、魔術学園の女子生徒たちの歓声が凄いことになっている。


 ――注目を浴びるのも疲れるんだよなぁ……。


『勝者、レブル・コスキート!』


 そして、レブルはブルバードにも勝利した。


 結局あっさりと負けてしまった敗者(ブルバード)は、悟りを得たような表情でイナズマと顔を見合わせた。

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