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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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第16話 実は優秀な魔術の使い手でもある件

「代表選手になっちゃうなんてね」


試験(テスト)の成績がいい人が選ばれる決まりみたいだし、しかたないよ」


 集会が終わり、普通の授業に戻る。


 レブルとアイシスの学級(クラス)はたまたま自習だった。

 担当の教師が地方に出張中だからである。


 授業が自習になった場合、生徒は学園の中であればどこで自習をしてもいいということになっていた。


 教師から与えられた課題さえしていれば、問題ない。


 よって、レブルは中庭の静かな場所に足を運んだのだが、なぜかアイシスまでついてきた。


「でも……あんたの実力なら、ほんとに優勝できちゃうんじゃない?」


 顔を紅潮させ、小さな声で呟くアイシス。

 無論、レブルにはしっかり聞こえている。


「それはないよ。もしかして、僕のことを剣術とかできる人だって思ってるのかい?」


「あれだけの剣術を見せられたら、当然そう思うわよ」


「チンピラ相手だと強いように見えたかもしれないけど、今回の相手は剣術学園の生徒なんだ。プロみたいなものだと思っていい」


「だ・か・ら、あいつらはチンピラじゃなくて王都最強盗賊集団(ストレイキャット)の――」


「相変わらず面白いこと言うね」


 クスッと破顔するレブル。


 その笑みを見て、またアイシスの胸がドキッとする。


「あ……でも、魔術もあるから……」


 ここでアイシスは重要なことを思い出した。


 筆記なら無敵、剣術でもおそらく最強であろうレブル。

 しかし、今回の戦いは魔術も含むのだ。こればかりはどうしようもない。


 ――魔術が使えたり……さすがにそれはないわよね。


 とはいえ、レブルに優勝してほしいと本気で思っているアイシス。自分でも気づかないうちに、レブルが優勝する方法について考えを巡られていた。


「決めたわ! あんたは筆記と剣術で圧倒的な1位を獲って、魔術は魔術学園の生徒に1位を譲る。総合的に考えれば、これでも優勝できる確率は高いはずよ」


「それはどうだろう」


「魔術は剣術学園の生徒もほぼ使えないと考えれば、わたしたちだけが下位になるわけじゃないし……これ、イケるわ!」


 勝手に盛り上がっているアイシス。

 レブルは遠慮がちだったが、絶対に彼は優勝できる。


 そうアイシスは確信した。


 ――あとは他の学園の生徒を下調べしておく必要がありそうね。


 毎回の試験の好敵手(ライバル)であるレブルを優勝させるべく、アイシスは動き出した。




 夜。


 放課後は勇者パーティのバイトがなかったので、学園図書館で勉強をして夜を待った。


 裏道を抜け、こっそり王都を出るレブル。


 彼は魔界への入り口を知っていた。

 シャドウが自分を穴に閉じ込めた時と同じくらいのサイズの岩に手を当て、魔力を込める。


 すると、岩が発光し、じわじわと真っ二つに割れ始めた。


 それこそ、魔界の入り口。


 魔王軍幹部であるマグナに教わった、人間が魔界に入る方法である。




「レブル君、今日は3分の遅刻だ。一体何があったのかね?」


「学園を出ようとしたらストーカーに話しかけられたもので」


 これは紛れもない事実だ。


 しかしそのストーカーとは、シャドウだった。


 勇者パーティでのバイトがない日も、レブルに剣術を教えてもらうために付き纏ってくるのだ。


 2日前に剣術の腕を披露したのが始まりだった。

 レブルはそんなに大したことないと思っているが、シャドウは彼の剣術の美しさに心奪われた。


 それ以来、会うたびに剣術を教えてくれと頼み込んでくる。


 あれだけ自分のことを嫌っていたシャドウ。

 そんなシャドウとここまで距離が近くなるとは思っていなかったため困惑する一方、わかり合えたようで嬉しくもあった。


「キミはストーカーされる香水でもつけているのか? ここ最近、かなりストーカー被害に遭っているようだが」


「それは否定できませんね」


「まあいいだろう。レブル君が嘘をつくようなヒューマンでないことはよく知っている。ついてきたまえ」


 彼を出迎えたのは、魔王軍幹部であるマグナだ。


 紫紺の髪は七三分けにしていて、ヘアオイルでしっかりと潤わせている。前髪が少しかかった紅の瞳は、人々に恐怖を与えるように不気味に光っていた。


 長身で、整った顔立ち。

 ハンサムなホークと比較すると、マグナの方がより美形だ。


 そんなマグナの種族はヴァンパイア。


 ヒューマンやエルフなどの人間の血を吸うことで、生きることができている。


「その前に、少しその……構わないかね?」


「はい」


 レブルの首に美しい顔を近づけるマグナ。


 驚くほど優しく、そして自然に、レブルの首を嚙んだ。


 それはヴァンパイアにとっての食事だ。レブルの血液は、これまでに味わったことのあるヒューマンの血液の中でも抜群に美味だった。


 マグナがレブルを気に入っている理由のひとつは、彼の血液の美味しさである。


「では、早速今日の仕事に取りかかろう」


 低い美声がレブルの耳元で囁かれた。


 魔界でのバイトはなかなかにハードだ。勇者パーティでのバイトがお遊びに思えるほどに。


「レブル君、我々は今、非常に困っている」


「何にですか?」


「管轄外のモンスターが大量に魔王ロードキング領に攻めてくるのだ。戦える者は前線に出てモンスターの一斉討伐をしているのだが……人手が足りない。そこで、優秀な魔術の使い手(・・・・・・)であるキミの力を借りたい」

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