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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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第15話 王都三大学園合同イベントの代表選手にされてしまった件

 レブルが冒険者ギルドに向かった時から、こんな予感はしていた。


 案の定、ベルタの家には帰らずに勇者パーティの本拠地(ホーム)に泊まることを決めたレブル。


 ベルタがそれを知ったのは、ギルドからずっとつけてきていたからである。


 彼女の尾行がレブルにバレることはなかった。

 貴族令嬢(アイシス)とは違い、ベルタ・クリスタンテはSランク冒険者。


 尾行も一流で、気配を完全に消しながら尾行対象をつけることが可能だ。


 しかしこれまでレブルには何度もバレているため、今回は細心の注意を払って尾行を続けた。


 夜になり、愛弟子(レブル)を取り返すべく豪邸に乗り込むベルタ。

 彼女の予感では、カリーナとかいうお姉さんポジションの魔術師が怪しい。


 可哀想なレブルが寝込みを襲われていないか心配になったのだ。自分以外の女に襲われるくらいなら、師匠である自分に襲われた方がレブルも嬉しいだろう。


 そう思い、レブルのオーラが放たれている部屋を目指して猛ダッシュ。


 勇者パーティの面々でさえも追いつけないほどの速度で走りながら、レブルの匂いがする寝室に辿り着く。


 そして、絶望した。


 レブルは今、自分の知らないメイドの女の子と同じベッドで寝ている。


 これはどういう状況か。

 相手はメイドの女だ。


 可愛い弟子のレブルも男である。それはつまり……そういうことだとベルタは認識した。


「そこのメイド、ちょっと来てもらおうか」


「え……お、お兄様、助けてくださいぃ」


 涙目になってレブルを見つめるいたいけな少女。


師匠(マスター)、僕はただ添い寝していただけですよ。この()は僕の妹になりたいそうです」


「……レブル、何を言っている?」


「兄と妹が一緒に寝るのは当然ですよね? 師匠(マスター)と弟子の僕がいつも一緒に寝るくらいですし――」


 ベルタの後ろで、同じく絶望している美女がいた。


 その名もカリーナ。

 そして今、彼女は恐ろしいことを耳にした。


「レブルちゃん? いつもこの……ベルタ・クリスタンテと寝てるの?」


「いつもっていうか……ベルタさんの家に泊まった時はそうだし……一人暮らしする前は毎日そうしてたし――」


「このクソビッチ」


「今のは私に対する罵倒か?」


「レブルちゃん、姉と弟が一緒に寝るのは当然よね? だから今から私と一緒に――」


「弟子と師匠が一緒に寝るのが当然なら、俺もレブル大先生と一緒に寝たいもんだぜ」


「あんたたち、馬鹿(バッカ)じゃないの?」


 この茶番はいろいろあってしばらく続いた。




 あれから数日が経過した。


 ビクトリア学術学園の大講義室。


 レブルの所属する学年である6年生全員が、この大講義室に集められていた。


 その数、およそ240名。


「本日は2週間後に控えた最大の行事(イベント)、王都三大学園合同大会について説明する」


 前で説明を始めたのは、学年主任のスティードだ。

 王国史を担当する中年のイケオジ教師である。


 レブルは講義室の1番前の席に座っていた。その隣には同じ学級(クラス)のアイシスもいる。


「学術学園、剣術学園、魔術学園の生徒が出場し、筆記試験に加え、剣術と魔術の大会が行われる」


 スティードは気合いを込めて説明を続けた。


「いいか、諸君。これは戦いだ。学術学園として、筆記試験だけでも1位を勝ち取る必要がある。しかし、問題は剣術と魔術だ。筆記試験の成績に加え、剣術大会と魔術大会での結果まで総合し、最もポイントの高かった代表が表彰台の頂上にのぼる」


 教師であるスティードは熱を込めて言うものの、集められた生徒の熱量はそこまでではない。


 この大会はそれぞれの学園の代表選手同士が争うことになるのだが、例年の学術学園6年の代表は筆記だけでしか優秀な成績を残せず、剣術と魔術ではボコボコにやられてしまう。


 それも当然だ。

 ここは学術学園であり、剣術も魔術も習わない。


 それに加え、自分に剣術や魔術の特性がないと判断してこの学園に入学した生徒も意外に多い。


 この大会の結果は、学術学園にとって屈辱的なもので終わることがほとんどなのだ。だからこそ、絶対に最下位は阻止するぞ、という今年の6年へのプレッシャーを全員が感じ取っていた。


 そんなプレッシャーの中、代表に選ばれたい生徒などいるはずもない。


 しかし、心配はいらなかった。

 代表に選ばれるのは、試験の成績の1位と2位のみ。


 つまり――。


「今年の代表選手は、レブルとアイシスだ。ふたりとも、前に出てきてくれ」


 生徒全体から安堵の溜め息と、感謝の拍手が送られる。


 自分が選ばれなかったことへの感謝だ。


「こんなことだろうと思ったわ」


「なるほど。だからわざわざ前に座るよう言われたんだね」


「もっと早く気づきなさいよ」


 拍手を浴びながら、壇上にあがる。


 ふたりとも、注目されることに慣れていないわけではない。


 特にレブルは不動の学年1位として朝会で表彰されることが多かったので、これはいつもの光景である。


「レブルはこの学年で最も優秀な生徒だ。不動の総合1位として、知らない生徒はいない」


 レブルの肩をポンポン叩きながら、誇らしげに紹介を始めるスティード。


 そして、次はアイシスの紹介に移った。


「しかし先日の期末試験、そんな不動の1位を打ち倒し、レブルを王座から引きずりおろしたのがアイシスだ。ふたりはバチバチなのかと思いきや……仲が良さそうで嬉しいよ」


 拍手はさらに大きくなる。


「ではレブル、アイシス。君たちにはせめて、最下位にならないように頑張ってほしい。いや、これはさすがに失礼か……では、ぜひ優勝してくれ!」

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