第14話 妹系メイドができて一緒のベッドで添い寝した件
結局、レブルは勇者パーティの本拠地に泊まることになった。
今日もベルタの家に泊まることになっていたが、カリーナとホーク、シャドウがどうしても帰してくれないのだ。
「今日は私の抱き枕にしてあげるから」
「レブル、せっかくだからこのまま正式なメンバーにならないか?」
「レブル大先生、一緒に寝ようぜ!」
そんな3人の様子を冷めた目で見ているのはナディアだ。
特にシャドウに対してはどこまでも冷酷な視線を送っていた。
ちなみにシャドウとナディアは、ホークに厳しく叱りつけられた後だ。
カリーナの言う通り、彼らは地獄を見た。
まずは異常なほどに怒り狂ったホークの叱責、そして罰則として王都の外での奉仕活動まで命じられた。
レブルがそれを望んでいないということで、彼らが刑務所に入ることにはならなそうだ。しかし、ホークの怒りは当然のもので、シャドウたちも素直に受け入れた。
その反省の気持ちがしっかり伝わったのか、叱責の後はいつも通りの柔らかい対応が続いている。
異性として好意を持っているホークに叱られ、ナディアはかなり落ち込んでいた。
「レブルはゲストルームを使ってくれ」
ホークとメイドの女性に案内され、ひとり用にしてはやけに大きい部屋に入るレブル。
「どうせ今後もこの部屋を使うことになるだろうし、もうレブル専用のメイドもつけておいたから、ごゆっくり」
有無は言わせぬ勢いで、ホークは部屋を出ていった。
残されたのはキングサイズのベッドを見て感動するレブルと、彼専用であるというメイドのみ。
――いつの間にかここに住む流れになっているような気がするけど……。
とりあえずベッドに腰を下ろす。
だが、ドアの近くでメイドが立っていることに気づき、慌てて腰を上げた。
「なんかすみません。僕、レブルっていいます」
「存じ上げております、レブル様」
「いやいや、『様』とかいいですって。普通にレブルって呼んでください」
「これが規則なんです。それとレブル様、私への敬語はおやめください」
「えぇ……」
本人がそう言うのならしかたがない。
「それで、お姉さんの名前は?」
「セリカです……」
セリカと答えたメイドは、なぜかレブルを涙目で見つめてプルプルし始めた。
「えーっと……どうしたの?」
「私はお姉さんじゃありません……レブル様の妹ですっ」
「ん?」
言っている意味がわからず、反射的に聞き返すレブル。
セリカは小柄なメイドで可愛らしい顔立ちだ。
だから年下なのではないかとレブルも感じていた。
「もしかして、僕より年下だった?」
「うん」
コクリと可愛らしく頷くセリカ。
そのいたいけな瞳に、思わず心を奪われそうになるレブルだった。
「でも、年下だからといって妹になるわけじゃないと思うよ。血が繋がってるならまだしも」
「私はずっとお兄様がほしかったのです。ひとつ上の」
「ふーん? つまり、セリカは今16歳ってことかな?」
「うん」
「でも僕でいいのかい? そんなに頼りないお兄ちゃんかもしれないないど」
可愛い顔をブンブンと縦に振るセリカ。
その姿は人懐っこい犬のようで、レブルは微笑ましい気分になった。
「頭、撫でてください」
「わかった」
「にゃー」
どうやら犬ではなく猫だったようだ。
黒髪ボブの頭を優しく撫でると、表情を崩して鳴き声を上げた。
――この娘、可愛いなぁ。
エルフのお姉さんに鍛えられ、先輩のお姉さんに甘やかされ。
年下の女子と関わることがなかったレブルにとって、セリカとの交流は新鮮なものだった。
夕食はパーティのメンバーと共に食べた。
王都三ツ星の一流シェフが作った豪華料理に、レブルは感動する。
このまま正式なメンバーとして迎え入れられれば、毎日このクオリティの料理を楽しむことができるのだ。
――でも、ちょっとした特別な日に食べたりするだけで満足だよね。
さすがはレブル。
料理に感動したとしても、その謙虚なスタンスは変わらない。
大浴場にホークとホーネット、シャドウと入り、すっきりしたところで、自分の部屋に入る。
そこには、自分の専用メイドとしてあてがわれたセリカの姿があった。
「レブ――お兄様、私も一緒に寝ていいですか?」
「え……困ったな……」
「どうしてですか? 兄と妹が一緒に寝るのは当然のことです。それに、私はメイドであり妹なので、お兄様の思い通りに――」
「ベッドも大きいし、一緒に寝ようか」
「はいっ!」
ベルタに抱きしめられながら寝ることに慣れているレブルは、女子と一緒に寝ることに抵抗がない。
今日が初対面のセリカと寝ることに関しては少し考えたものの、お兄ちゃん的ポジションができて嬉しそうなセリカの笑顔を守りたい気持ちが勝ったのだった。
深夜。
静かな寝息を立てるセリカを眺めながら、お兄ちゃんポジであるレブルも眠りにつく。
しかし――。
『し、侵入者です!』
『あのセキュリティを突破できるなんて――』
『侵入者は、エルフの女です!』
建物が一気に騒がしくなり、隣で寝ていたセリカも目を覚ました。
「んにゃ」
「侵入者がどうとか言ってるけど……ホークさんたちがいるし、大丈夫だと思うよ」
「足音がこの部屋に近づいてきているような気がするんですが……」
「そうかなぁ……いや、そうだね」
レブルにはわかる。
強いオーラを放つ人物が、自分の部屋に向かって勢いよく接近していることが。
そして、その人物の正体もわかってしまった。
「レブル! 無事か!」
「師匠」
部屋の扉をぶち破って登場したのは、レブルの師匠であるベルタだ。
エルフの女とは彼女のことだった。
そしてベルタの後ろには、困惑した表情を見せるホークたちパーティメンバーの姿が。
「すみません、今日はここに泊まることになっていて――」
「あ……レブルが……そんな……レブルが……」
ショックを受けて固まっているベルタ。
カリーナもまた、彼女と同じように後ろで固まっていた。
「レブルが……メイドと一夜を共にしていたなんて……」
《キャラクター紹介》
・名前:セリカ
・性別:女
・年齢:16歳
・種族:ヒューマン
・身長:150cm
勇者パーティの本拠地に住み込みで働いているメイド。ひとつ上のお兄様に憧れていたので、レブルの登場を心から喜んでいる。




