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勇者パーティと魔王軍でのバイトを掛け持ちしていたら、いつの間にか最強になっていた件  作者: エース皇命


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11/22

第11話 いつの間にか大先生になってしまっている件

「「レブル……?」」


 冒険者ギルドに突如として現れた亡霊。


 死んだはずのレブルが、自分たちが殺したはずのレブルが、今こうして話しかけてきている。


 最初はそんな想像を膨らませたが、5秒もすればこの人物が本物のレブル・コスキートであることがわかった。

 肌の色も良く、服装にも清潔感があり、少なくとも露出している部分の肌に傷はない。


 そこから導き出される結論は、レブルはどうにかしてあの穴から脱出した、ということになる。


 しかし、どうやって……?


「レブル、お前……死んだはずじゃ……」


「まさか。あれで死ぬわけないじゃないですか」


「……は?」


「僕を落とし穴に落としたのって、遠回しに僕を助けようとしてくれていたんですよね?」


 嫌味のない笑み。

 やや疲れているような表情なのはいつも通りだ。


 いつも通りの優しい笑みを浮かべるレブルの一言。


 シャドウもナディアも信じられない。


「ちょっと待って。あんた、まずどうやってあの穴から出たのよ?」


「そう言われても……ジャンプして――」


「ジャンプ!?」


 ナディアの声がギルド内に響く。

 周囲の冒険者の注目及び受付嬢からの注目を集めたが、それも一時的なものだ。


 少しすれば周囲からの関心や興味も薄れていく。


「あの岩はどうやって突破した? あの状況で普通にジャンプしたら頭ぶつけて死ぬぞ」


 今度はシャドウが問いかける。


「殴ったんですよ」


「殴った……?」


「ジャンプと同時に殴って、岩を吹き飛ばすんです。簡単に出られるような仕掛けを作ってもらってたみたいで」


 無論、簡単に出られる仕掛けなどなかった。

 レブルが勘違いしているだけだ。


 シャドウは深い溜め息をついた。


 レブルは異常だ。


 彼の言っていることは馬鹿げている。


 しかし、信じないわけにはいかない。実際ここにケロッとした顔で存在していることがその証拠だし、そもそもレブルが嘘をつくとは思えない。

 嫌っていたとはいえ、レブルが嘘をつけない性格であることはしっかりと理解し、認めていたのだ。


「それで、遠回しに助けるとか助けないとかの話は?」


 またナディアが聞いた。

 レブルの発言に対する疑問その2である。


「実際僕はあのパーティのレベルに見合わないですし、ああいう形で僕を強制的にパーティから抹消して、新しいバイト先を探させようと――」


「もういい。それ以上言わないで」


 ナディアは頭をぼりぼりかきながら、やってられないと酒をグイッと飲んだ。


 ここで、シャドウもナディアも気づいた。


 レブルが生きていてくれたことが嬉しい。

 そして、彼を通して、何よりも重要なことを学ぶことができたのではないか。今後生きていく上で、本当に必要な教訓を得ることができたのではないか。


 その教訓とは、受け入れることの大切さだ。


 彼らはレブルに嫉妬していた。彼らはレブルを拒絶し、受け入れようとしなかった。


 そして、自分のうちに秘めた嫉妬心を受け入れる努力も、彼らはしなかった。嫉妬心を受け入れられなかったことで、レブルを殺そうなどと、罪深き悪感情が生まれてしまったのだ。


「完敗だ」


 シャドウはそう小さな声で言うと、椅子から勢いよく立ち上がり、地面に両膝をついた。


 体が向いている方向はレブルである。


 ――こんなところで土下座するのか……。


 土下座を察知し、すぐにやめさせようとするレブル。

 だが、シャドウは頷かない。


 正座したまま姿勢を正し、頭を勢いよく地面につけた。


「本当に悪かった!」


「……」


「こんなことで許してもらえるとは思ってない。首領(リーダー)たちにも本当のことを伝えるし、自首して刑務所に――」


「いや、そんなことしないでください。全然大したことないので」


「大したことないって――俺はお前を殺そうとしたんだぞ!」


 さっきよりも強い周囲からの視線。


 しかし、冒険者同士で殺し合いが起きることもよくある。

 冒険者にとって、その話題はそこまで珍しいものではない。


 勇者パーティに所属するメンバーがそれを口にしたことは問題かもしれないが、ホークが一緒にいなければ、シャドウが勇者パーティの一員(メンバー)であるという認識は薄い。


「そう言われても、あの穴に落ちたくらいで死ぬわけないし……ちょっとした嫌がらせみたいなものですよ。そんなに謝らなくても――」


「凄いなお前は! もう弟子入りしたいくらいだよ! てか弟子にしてくれ!」


「えぇ……」


 気まずそうな表情を作り、困った様子を見せるレブル。


 助けを求めるようにナディアを見る。


「あたしはあんたに弟子入りするつもりなんてないけど……悪かったとは思ってる」


「おいナディア、その言い方はないだろう。レブル大先生にもっと敬意を――」


「あんたはふざけんな! いい加減にしろ」


「俺のことはともかく、もっとしっかりレブル大先生に謝れ」


 ――いつの間にか大先生になってるんだけど。


 レブルとしては、早くこの場を丸く収めたいところ。謝罪を受け入れ、また勇者パーティの補助(サポート)メンバーとして受け入れてもらいたい。


「……あの時は思いっきり蹴ってごめん」


 椅子に座ったままだったが、ナディアにしては真剣に謝った方だ。


 彼女は反省するという言葉が嫌いで、人に謝罪することは滅多にない。


 今回はさすがに罪の重さを感じたのか、本気で反省している様子だった。

 レブルが現れる前までに見せていた後悔が、今の彼女に反省を促しているのだろうか。


「てか、なんであんたってこんな強いわけ?」


 最後に――。


 シャドウもナディアも、そしておそらくホークたちも。

 レブルに抱く当然の疑問をぶつけた。

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