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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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東海着任は罰ゲームか――炎の補佐官・藤堂隼人、美月と真央を押しつけられる

戦隊ヒロインプロジェクトでは、地域特化型の活動強化が進んでいた。


最も成功しているのは、広島支部、通称ヒロヒロである。江波のどかとノムさんという、地元広島の高校の先輩後輩コンビが悪乗りに悪乗りを重ね、遥室長から何度も「それ以上やるな」と止められながらも、動画配信チャンネルは登録者数百五十万人目前。くだらないのに見てしまう、腹立つほど地元愛が強い、そして妙に熱い。そんな独自路線でコアな人気を獲得していた。


一方、九州支部、通称ヒロ九は、熊本を拠点に古賀菜々子支配人と有村ひなた副支配人が上手に運営していた。ひなたの飲酒量がやや問題視されているものの、まだ致命的ではない。


「致命的ではない、という評価でええんかい」


遥室長は報告書を読みながら、少し頭を抱えた。


そして北方管区、通称ノースフロント。


こちらは仙台の玲香と盛岡の柚希の対立が激しく、フィールドマネージャーのるみねぇが疲労困ぱい。総監督の遥室長も現場から手が離せない状態だった。


「東北は寒いのに現場は熱すぎる……」


遥室長はぼやいた。


そんな中、次に浮上したのが東海地区の地盤強化だった。


愛知、岐阜、三重、静岡。


商業も工業も観光も強い。交通の要衝でもある。戦隊ヒロインプロジェクトとして、ここを固めない手はない。


中心人物として白羽の矢が立ったのは、愛知県春日井市出身の山田真央。


器用で明るく、現場勘もいい。何でもそこそこできる愛知県人らしいバランス型である。ただし、口を開くとドギツイ尾張弁が飛び出す。


「任せときゃあ! 東海はわしが盛り上げたるでよ!」


そして、そこへ協力要員として投入されるのが、赤嶺美月だった。


美月は最近、NSTの隠密活動を嗅ぎ回りすぎていた。彩香も麻衣も忙しく、綾乃は海外任務で不在。暇を持て余した河内のスピーカーは、秘密に近づきすぎていたのである。


ヒロ室としては、美月に別の大仕事を与える必要があった。


ところが、ここで問題が発生した。


誰がこの二人を監督するのか。


会議室は静まり返った。


美月と真央。


二人とも人気者。二人とも明るい。二人とも行動力がある。


そして、二人ともやかましい。


真帆がそっと資料を閉じた。


「私は中央官庁との交渉が……」


琴音が視線を逸らす。


「私は議事録と弁当手配が……」


理沙が書類を抱えた。


「保険会社との打ち合わせが……」


けちのんが電卓を叩く。


「伝票が山ほどあるさかい」


寿葉が真顔で言った。


「戦隊ヒロイングッズ最新作の打ち合わせが入っています」


全員、逃げた。


美月が不満げに叫ぶ。


「お前ら、絶対嘘やろ!」


真央も続く。


「なんでみんな目ぇ合わせんのだわ!」


誰も答えない。


本来、美月と真央を抑え込めるのは遥室長しかいない。だが遥室長は北方管区の総監督として多忙だった。仙台の玲香と盛岡の柚希の対立が激化し、るみねぇからは「もう無理だべ」と切実な連絡が入っている。


遥室長は深いため息をついた。


そして、ゆっくり一人の男を見た。


藤堂隼人。


熱いハートの持ち主。

炎のランニングバック。

ヒロ室補佐官。

そして、遥室長と恋人関係にあるのかないのか、半同棲状態なのかどうなのか、周囲が扱いに困っている男である。


遥室長はにっこり笑った。


「隼人くん、お願いね」


隼人は固まった。


「え?」


遥室長はもう一度、優しく言った。


「お願いね」


その一言で決定だった。


会議室に拍手が起きた。


真帆が拍手する。

琴音も拍手する。

理沙も拍手する。

けちのんも無表情で拍手する。

寿葉まで拍手する。


ほぼ満場一致だった。


隼人は頭を抱えた。


「あの二人かぁ……」


美月が睨む。


「何や。私が問題児みたいやん」


真央も胸を張る。


「わしも扱いやすい方だがね!」


隼人は思った。


問題児が二人とも自覚していない。


だが、彼は熱い男だった。


逃げるという選択肢はない。


「分かりました。やります」


遥室長は満足げに頷いた。


「さすが隼人くん」


美月はすぐに乗った。


「よっしゃ、東海や! 真央、暴れたるで!」


真央も拳を握る。


「美月さん、まず名古屋めしから攻めるでよ!」


隼人は即座に言った。


「まず活動計画からだ」


二人は同時に不満顔になった。


「固いわぁ」


「つまらんがね」


隼人はすでに疲れていた。


こうして、ヒロ室東海、仮称が立ち上がった。


河内のスピーカー・赤嶺美月。

尾張の暴走娘・山田真央。

そして、それを押しつけられた炎の補佐官・藤堂隼人。


NSTの秘密を守るために始まったはずの人事発令は、いつの間にか東海地方を巻き込む新章の幕開けになっていた。


遥室長は北方管区の資料を抱えながら、ぽつりと呟いた。


「隼人くんなら、きっと何とかしてくれる」


その頃、隼人は隣室で美月と真央に挟まれていた。


美月が言う。


「移動は近鉄特急な。できれば新型」


真央が言う。


「春日井もちゃんと寄るでよ。あと味噌カツも」


隼人は天井を見上げた。


「……まず会議をしよう」


熱い男・藤堂隼人と、ヒロ室東海仮称。


その戦いは、始まる前からすでに騒がしかった。

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