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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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ヒロヒロクエスト第18話 さらばオンボロバス――ヒロヒロ、帰り道でも次の馬鹿を考える

宇部の巨大私道を借り切った、ヒロヒロ史上最大級の馬鹿げた大イベントは、セメント製トロフィー紛失事件まで含めて、ようやく幕を閉じた。


夕暮れの私道に大型車両が戻っていく光景を見届けたあと、ヒロヒロ一行は山口宇部空港へ向かった。広島から始まり、呉、江田島、宮島、岩国、光、周南、防府、山口、そして宇部。長かった旅の終着点である。


空港ロビーに着くと、急に旅の終わりらしい空気になった。


帰京するのは、南部沙羅、水無瀬澪、氷見ゆりえの三人。


沙羅は最後まで少し高飛車だった。


「最初は、こんなオンボロバスで本当に大丈夫なのかと思いました」


のどかが笑う。


「最初だけじゃなくて、ずっと言うとったじゃろ」


沙羅は少しだけ目を伏せた。


「でも……楽しかったです。悔しいけど」


澪はいつものように眠そうだった。


「……ぼーっとしてたら、終わった」


のどかは肩をすくめる。


「澪らしい感想じゃね」


澪は少し間を置いて言った。


「でも、また行きたい」


それだけで十分だった。


ゆりえは目を潤ませていた。


「ボートレースも競輪も、工場も私道も、全部初めてで……馬鹿馬鹿しいのに、すごく楽しかったです。またヒロヒロで旅したいです」


梨乃が真顔で聞いた。


「また熱湯入る?」


ゆりえは涙目のまま笑った。


「それは考えます」


ロビーに笑いが起きた。


結月は、この日は帰阪しない。翌日、新山口から新幹線で大阪へ帰る予定だった。


ゆりえが心配そうに聞く。


「結月さん、自転車で大阪まで帰るんじゃないですよね?」


結月は爽やかに笑った。


「さすがに違います。明日は新幹線です」


往復五十キロを折りたたみ自転車で走らされた後とは思えないほど、姿勢も表情もきれいだった。


のどかが感心する。


「結月、ほんまに体力おばけじゃね」


結月は笑う。


「良いトレーニングでしたから」


目だけは、少しだけノムさんの方を見ていた。


ノムさんはすぐに目を逸らした。


真帆もこの日は帰京しない。


「私は実家に寄ってから帰ります。まず、あのトロフィーの置き場を考えないといけないので」


のどかが小声で言う。


「やっぱり困っとるんじゃ」


真帆は涼しい顔で返す。


「宇部らしい記念品ですから」


「答えになっとらん」


一方、ノムさんとまさにゃんは車で帰る。


長旅になるが、ノムさんはまったく気にしていない。


「ワシは寝とるだけじゃけぇ、楽なもんよ」


まさにゃんがげんなりした顔で言った。


「運転するの、僕なんですけど」


ノムさんは豪快に笑った。


「頼んだぞ、まさにゃん!」


「頼み方が軽すぎます」


最後に搭乗案内が流れた。


沙羅が手を振る。


「次は、もう少し綺麗なバスを用意してください」


澪が小さく手を振る。


「……またね」


ゆりえは両手を振った。


「皆さん、本当にありがとうございました!」


三人が保安検査場へ消えていく。


少しだけ静かになった。


のどかはぽつりと言った。


「ええ旅じゃったね」


梨乃も頷く。


「うん。ごはんもおいしかった」


「そこだけじゃないんよ」


残ったヒロヒロ本隊――のどか、梨乃、みーちゃん、結衣は、あきでんのオンボロバスで広島へ帰る。


エンジンがかかると、いつもの重たい音が響いた。


ゴゴゴゴゴ……。


みーちゃんが苦笑する。


「最後までこの音なんですね」


梨乃はなぜか嬉しそうだった。


「帰ってきた感じするなぁ」


のどかが突っ込む。


「感覚おかしくなっとるよ」


バスが宇部空港を出て、広島方面へ走り出す。


旅は終わったはずだった。


だが、車内ではすでに次の話が始まっていた。


のどかが言う。


「で、次どこ行く?」


みーちゃんが呆れる。


「もう次を考えるんですか?」


梨乃は当然のように言った。


「考えるやろ」


そこで、結衣が静かに口を開いた。


「瀬戸内を回ったので……次は山陰を一周する旅はどうでしょう」


一同が反応する。


「山陰?」


結衣は穏やかに続けた。


「出雲、松江、境港、鳥取。神話も歴史もあります。ヒロヒロらしくない静かな旅にできるかもしれません」


のどかはにやりと笑った。


「静かな旅になると思う?」


結衣は少し考えた。


「……難しいですね」


梨乃が目を輝かせる。


「鳥取砂丘でラクダ乗れる?」


みーちゃんが言う。


「それ、絶対企画に入りますね」


のどかは窓の外を見ながら笑った。


「山陰編、ええね」


車内にまた笑い声が広がる。


広島へ戻るオンボロバスの中で、ヒロヒロはもう次の馬鹿げた旅を考えていた。


願わくば、次回は綺麗なバスが割り当てられますように。


しかし誰も、本気で期待はしていなかった。

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