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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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ヒロヒロクエスト第7話 紙の町で紙一重――大竹ペーパーバトル、ゆりえとノムさんが配信を燃やす

宮島で鹿に見送られたヒロヒロ一行は、オンボロのあきでんバスに揺られ、広島県最西部の大竹市へ向かった。


大竹市は、広島と山口の県境にある瀬戸内沿いの町である。派手な観光地というより、工場群と港、暮らしがしっかり根を張る実直な産業都市。製紙や化学工業の存在感があり、瀬戸内の海と山を背景に、広島西端を支えてきた働く町だった。


ノムさんは車内で企画書を掲げた。


「大竹いうたら紙じゃ! つまり紙で戦うんじゃ!」


のどかは即座に眉をひそめた。


「もう意味が分からんのですが」


今回の企画名は、動画配信サイト限定――


テレビじゃ見れないヒロヒロ劇場

大竹ペーパーバトル王決定戦


ヒロヒロ公式配信チャンネルは、ついに登録者120万人を突破していた。地上波では通せない低予算・高熱量・意味不明企画が、妙に刺さっていたのである。


最初の競技は、巨大紙相撲・ヒロイン場所。


段ボール土俵の上に、各自が作った紙人形を置き、土俵を叩いて戦わせる。


のどかはやたら真面目に作った。

ゆりえは可愛くデコった。

澪はぼーっとした顔の紙人形を作った。

沙羅は「美しくない」と言いながら、なぜか金色の紙を貼った。

梨乃の紙人形は、開始前に倒れた。


のどかが突っ込む。


「梨乃、まだ始まっとらん!」


梨乃は首をかしげた。


「うちの子、寝とるんかな」


コメント欄は爆発した。


梨乃の紙人形、本人より先に諦めた

ヒロヒロ地上波無理

澪の紙人形、目が虚無

沙羅だけ妙に高級感ある


次は、トイレットペーパー早巻きリレー。


大竹の紙産業リスペクトと言い張っているが、要するにトイレットペーパーをいかに速く巻き取るかというだけの競技である。


くだらない。

馬鹿馬鹿しい。

だが、全員本気だった。


ゆりえは異様に速かった。


「富山湾マーメイド、巻きます!」


手首のスナップ、笑顔、カメラ目線。全部が完璧だった。


ノムさんは大喜び。


「ゆりえちゃん、配信分かっとるのう!」


ブラックキャブプロダクションのスタッフも本気だった。照明、カメラ、テロップ、効果音。無駄にプロ仕様である。


テロップには、


紙を制する者、大竹を制す


と出た。


のどかは叫んだ。


「制さんでええ!」


最後は、紙吹雪リアクション王。


巨大送風機で紙吹雪を浴びながら、大竹市をPRしきれるかを競う。


澪は紙吹雪を浴びてもぼーっとしていた。


「……紙、多い」


梨乃は口を開けて紙を食べそうになり、結衣に止められた。


沙羅は髪を押さえながら言った。


「ちょっと、これ美容に悪いんですけど」


のどかは紙吹雪まみれで叫ぶ。


「大竹は地味じゃない! 瀬戸内の海と産業の力がある町じゃ!」


そしてノムさんも参戦。


「大竹は縁の下の力持ちじゃ! 紙も工場も人もある! 広島の西を支えとる町なんじゃ!」


紙吹雪まみれで、なぜか良いことを言う。


コメント欄がまた沸く。


ノムさん今日ちょっと良い

紙吹雪おじさん草

大竹行きたくなってきた

ゆりえ可愛すぎ

ヒロヒロ、くだらないのに地元PRうまい


一方、新橋ヒロ室。


遥室長と真帆は、配信を見ていた。


遥は静岡茶を持ったまま固まる。


「……これは何だよ」


真帆は真顔で答える。


「一応、大竹市PRです」


画面では、梨乃の紙人形がまた倒れていた。


遥は眉間を押さえる。


「次元が低いだよ」


真帆も頷く。


「かなり低いです」


しかし次の瞬間、ノムさんが紙吹雪にむせながら「紙も人生も巻き返しじゃ!」と叫び、二人とも吹き出した。


遥は慌てて口元を押さえる。


「笑ってないだよ」


真帆は冷静に言った。


「笑っていました」


「……悔しいだよ」


イベントは大盛況だった。


地元の子どもたちも巨大紙相撲に参加し、製紙関係者や商店街の人も笑顔で見守る。くだらないのに、町は確かに盛り上がっていた。


ゆりえが最後に締める。


「大竹は、紙も人もあったかい町でした!」


ノムさんが横から叫ぶ。


「登録者120万人突破じゃ! 次は200万じゃ!」


のどかは紙吹雪を払いながら呟いた。


「また遥室長に怒られる……」


こうしてヒロヒロは、大竹市でも意味不明なイベントを成功させた。


馬鹿馬鹿しい。

くだらない。

でも、なぜか地域愛だけは本物。


それがヒロヒロだった。


そしてオンボロバスは、ついに県境へ向かう。


のどかが窓の外を見て言った。


「次は……広島を出るんじゃね」


ノムさんは不敵に笑う。


「ヒロヒロ、県境を越えるで」


バスは、瀬戸内沿いの道を西へ走った。

次の町では、また別の騒動が待っている。

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