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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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ヒロ九クエスト 第17話 白球に乗せた町の誇り ― 大津町、“走る工場の街”でつなぐ夢のバトン ―

黒煙をたなびかせながら、ヒロ九ラッピングバスは熊本産業交通本社をあとにして大津町へと向かった。


ゴロロロロ……モクモク……


「……ほんとにこのまま走るんですか?」


菜々子支配人が真顔で言う。


「大丈夫です、気合いでいけます!」


ひなたが即答。


「だからそれで動く仕組みじゃないですって!」


だが、止まらない。止まったら困るからである。


大津町は、整然とした街並みと活気ある工場が印象的な“ものづくりの町”。大手自動車メーカーの巨大拠点を抱える企業城下町であり、同時に社会人野球の強豪チームが拠点を置く、野球の街でもある。


「なんか空気がシャキッとしてますね」


つばさが静かに言う。


「働く町やなぁ」


真央が腕を組む。


「野球も強いし、全部強いがや」


「まとめ方雑すぎません?」


今回の任務は、地域イベントとして開催される野球教室の盛り上げ役。すでに多くの子どもたちと保護者でグラウンドは賑わっていた。


「さあさあ、今日は楽しんでいってくださいねぇ!」


香澄のMCで一気に空気がまとまる。柔らかい声と絶妙な間合いで、場はすぐに温まった。


そこへ真央が割って入る。


「はい注目!今日は野球もヒロインも全部盛りだがや!」


テンポのいいしゃべくりで観客を煽る。知識はそこそこだが勢いがすごい。


「この人、なんでこんなに回せるんですか……」


菜々子が呆れる。


「一番活躍してますねぇ」


ひなたが笑う。


グラウンドでは役割分担も完璧だった。


麻衣は未就学児の相手をし、大翔は当然のようにその中心にいる。


「麻衣センセー見て!」


「上手だねぇ、大翔くん!」


すっかり“先生と園児”の関係だ。


茉莉花が苦笑する。


「ほんと助かるっちゃね」


美紀は看護学生として本領発揮。体調不良の子や保護者にすぐ気づき、的確にサポートする。


「はい、ここで休みましょう」


動きが早く、迷いがない。


「もう現場の人やん」


「学生です」


即答だった。


陽菜は――何もしていないようで、実は一番仕事をしていた。


いるだけで人が集まり、場の空気が柔らかくなる。


「スター性ってすごいですね……」


菜々子が感心する。


ひなたは子どもたちと走り回り、つばさは保護者対応や誘導で全体を支える。誰が困っているかを一瞬で見抜くその動きはさすがだった。


そして大翔。


野球部員たちに完全に可愛がられていた。


「ちび監督や!」

「打ってみるか!」


バットを握り、空振りして笑いが起きる。次の一振りでボールに当たると、拍手が湧いた。


大翔は満面の笑みだった。


それを見て、茉莉花も静かに笑った。


イベントは大成功のまま終了。


野球部の部長が前に出る。


「今日はありがとうございました」


深々と頭を下げる。


続いてキャプテンが言う。


「今年も都市対抗野球に出場できるよう頑張ります。ぜひ応援に来てください」


真っ直ぐな目だった。


菜々子が応える。


「必ず応援に行きます」


ひなたも香澄も、全員が頷いた。


夕方、グラウンドの端で野球部員たちが見送る中、ヒロ九バスは再び動き出す。


ゴロロロロ……モクモク……


「……このタイミングで煙出るのどうなんですかね」


菜々子がぼそり。


「味ですたい」


香澄が即答。


「もういいですそれ!」


全員が笑った。


車内では自然と野球の話になる。


「野球ってええですねぇ」


ひなたが言う。


「頑張りよる人見ると元気出るっちゃね。」


茉莉花も頷く。


「ええもんだがね、野球は。」


真央が珍しく静かに言った。


つばさも小さく笑う。


「また来たいですね」


ヒロ九はまだ小さい。

ボロいバスに乗り、雨漏りする拠点から始まった組織だ。


それでも――


人と人をつなぎ、何かを残せている。


その確かな手応えを胸に、ヒロ九バスは次の町へと走り続けた。


■一言まとめ

「町の誇りは、人がつなぐ」

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