ヒロ九クエスト 第12話 声で救え、港のピンチ! ― 佐世保、迷子と混線をほどく“ボイス・レスキュー” ―
翌朝の佐世保は、昨日とは違う顔でヒロ九を迎えた。
軍港の街は朝から活気に満ち、港には大小の船が並び、観光客と地元民が自然に混ざり合う。
バーガーは豪快、魚は新鮮、そしてどこかアメリカンでどこか人情味のある――そんな“雑多さが魅力の街”が佐世保である。
「なんか、生活感と観光がええ感じで混ざっとるな」
彩香が感心する。
「バーガーの匂いが既にします」
澪が真顔で言う。
「まだ朝やで?」
沙羅が呆れる。
「終わったら食べましょう」
ひなたが優しくまとめた。
ヒロ九、今日も食で団結。
舞台は港近くの観光広場。
地元の屋台と観光客向けイベントが合体した、小規模ながら賑やかな現場だ。
ヒロ九もミニステージに出演し、会場は和やかな雰囲気でスタートした――
はずだった。
「ちょっと、どこ並べばいいの!?」
「そっちは関係者やろ!」
「子どもがいない!!」
一気に崩壊。
観光客と地元民の動線が完全に混線。
列はぐちゃぐちゃ、案内は届かず、迷子が続出。
さらに――
「さっきから案内が分かりにくい!」
「ちゃんとしろや!」
クレーム連鎖発生。
「これは……まずいですね」
澪が冷静に言う。
「まずいどころちゃうやろ」
彩香が即答。
菜々子は走り回る。
「こちらに並んでください!」
「スタッフさん、誘導を――」
だが追いつかない。
香澄も拡声器を持つ。
「右側通路ば使うてください!」
元バスガイドの本領発揮
しかし――
音がかき消される。
「声、届いてない……!」
ひなたが焦る。
現場、軽くパニック。
その時だった。
「放送、代わりましょうか」
聞き覚えのある声。
振り向く一同。
川原つばさ、再登場。
「拡声器、貸してください」
迷いがない。
「ただいま混雑しとりますけん、右側通路をご利用ください〜」
一発で通る声
柔らかいのに強い
「迷子のお子さんはインフォメーション前でお預かりしとります〜」
安心感つき
ざわついていた空気が、すっと整理されていく。
「すごか……」
ひなたが呟く。
「声だけで制圧してる……」
澪が分析。
「これ、武器やん」
彩香が笑う。
ヒロ九も動き出す。
・彩香が導線整理
・迫田ツインズが人流誘導
・ひなたがフォロー
・澪が迷子対応
つばさの声を軸に現場が回る
数十分後。
完全収束。
「助かりました……!」
スタッフが頭を下げる。
「さっきの人、プロやろ」
観光客も納得顔。
ミニステージも仕切り直しで再開。
今度は何事もなく進行し――
無事終了。
「やった……」
澪が満面の笑みで手にしているのは、
念願の佐世保バーガー。
「でかっ」
沙羅が呆れる。
「これが正義です」
澪、断言。
その横で、菜々子とひなたはつばさと向き合っていた。
「正式にお願いしたいです」
菜々子が言う。
「ヒロ九に来てください」
ひなたも続く。
「一緒にやりましょう。絶対必要な人です」
つばさは少し困ったように笑う。
「実は今、体調を崩して療養中で……」
一瞬、空気が止まる。
その時。
バーガーを頬張りながら澪が言った。
「私たちと一緒にいれば体調良くなりますよ、多分……」
適当すぎる理論
「根拠ゼロやん」
沙羅がツッコむ。
迫田ツインズ。
「でも悪くはならんと思う」
「うん、悪くはならん」
謎の後押し
ひなたは優しく言う。
「無理せんでよかです。でも、待っとります」
その空気は――温かかった。
つばさは、少しだけ考えて。
「……私でよければ」
加入決定。
・長崎は栞奈に続いて2人目
・ヒロ九クエスト初の仲間
最大の成果
夕方の佐世保港。
オレンジ色の光が海に揺れる。
ヒロ九バスの前で、全員が並ぶ。
「今回の遠征、大成功だね」
沙羅が言う。
「栞奈ちゃんに続いて、つばささんも」
澪が頷く。
菜々子は静かに言う。
「ヒロ九、形になってきました」
ひなたが笑う。
「まだまだこれからばい!」
つばさは少し離れて、その光景を見る。
だが――
もう“外側”ではなかった。
港の風が、静かに吹いた。
■一言まとめ
「仲間は、必要な時に現れる」




