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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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ヒロ九クエスト 第2話 走る博物館!? ― ヒロ九バス、昭和が止まらない ―

熊本産業交通本社での“初クエスト(なお本来の目的未達)”を終え、ヒロ九一行は改めて長崎方面へ――いや、その前に天草へ向かって出発した。


ヒロ九ラッピングバスがゆっくりと本社を後にする。


外観は完璧だった。


・デフォルメされたヒロインたち

・ポップで鮮やかな配色

・やたらクオリティが高い仕上がり


通行人が振り返る。


「何あれ!?」

「かわいい!」

「写真撮っていいですか!?」


香澄が手を振る。


「ありがとさんです〜!」


完全にスター。


だが――


一歩バスに乗り込んだ瞬間、空気が変わる。


「……あれ?」


沙羅が眉をひそめた。


「なんか……」


澪が小声で続ける。


「昭和……?」


天井には無駄に豪華な間接照明。


キラキラしている。


だがどこか古い。


座席は意外と座り心地がいい。


だが――


「ちょっと待って」


沙羅が座席を指差す。


「なんで灰皿ついてんの?」


沈黙。


菜々子がゆっくり答える。


「……時代です」


「時代で片付けるな!!」


ひなたが興味津々で触る。


「これって吸っていいやつですか?」


「ダメです!!」


即答。


さらに問題は続く。


「カラオケあるじゃん!!」


沙羅、テンション爆上がり。


天井からモニターが降りてくる。


マイクもある。


一見、完璧。


だが――


香澄がゆっくりと取り出した。


ドン。


「……でか」


澪、後ずさる。


「何これ」


沙羅、真顔。


「レーザーディスクたい」


沈黙。


「……何それ?」


「知らんと?」


香澄、軽くショック。


「え、CDの親戚ですか?」


「違うたい」


「レコード?」


「ちょっと近いけど違うたい」


説明が難しい。


香澄の顔が一瞬だけ真剣になる。


「これはね」


「壊れたら終わりやけん」


「え?」


「修理できんとよ」


「は?」


「替えもなか」


空気、ピリッとする。


温厚な香澄が、珍しく圧を出す。


「勝手に触らんで」


「はい」


全員即答。


だが沙羅は諦めない。


「歌いたい」


「よかよ」


香澄が操作する。


曲目リスト表示。


・演歌

・昭和歌謡

・謎のカテゴリ「流行歌」


「どこで流行してんのこれ!?」


沙羅、爆発。


「若い子の曲ゼロじゃん!」


澪も困惑。


「……聞いたことないのしかない」


ひなたが画面を覗く。


「これ、なんとなくいけそうな気がします!」


「なんで!?」


試しにひなたが歌う。


演歌。


なぜか――


上手い。


「……なんで?」


「いや、ノリで」


「ノリで歌うジャンルじゃなかです!!」


一通り騒いだあと、香澄が言う。


「ほんなら、一曲いきます」


空気が変わる。


流れるイントロ。


それは、熊本を代表する名曲――


熊本出身で、紅白歌合戦のトリを何度も務める国民的美人演歌歌手のご当地ソング

「火の国へ」


香澄が歌い出す。


透き通る声。


無駄がない。


そして――


完璧な鼻濁音。


車内が静まり返る。


沙羅、口を開けたまま固まる。


澪、目を丸くする。


ひなた、小さく呟く。


「……すごかですね」


標準語の中に、ふっと大隅弁が混じる。


歌が終わる。


しばしの沈黙。


そして――


拍手。


「……で、これ何の曲?」


沙羅、素に戻る。


「知らんと?」


香澄、軽くショック再び。


「初めて聞きました……」


澪も素直。


前方では、ベテラン運転手が頷いている。


「よか歌やった」


満足気。


完全に世代。


ひなたが笑う。


「よかチームになりそうですねぇ」


少し強めの大隅なまり。


「いきなりカラオケでまとまるチーム初めて見ました」


菜々子がツッコむ。


気づけば、車内はすっかり遠足のような空気になっていた。


・笑い声

・雑談

・ゆるい一体感


「なんか……楽しいですね」


澪がぽつり。


「旅行みたいじゃん」


沙羅も乗る。


窓の外に海が見えてくる。


「天草ですねぇ」


香澄が指差す。


青い海。


島影。


風景が一気に変わる。


菜々子はその景色を見ながら、小さく言う。


「……ここからが本番です」


ひなたが即答する。


「やりましょう!」


ヒロ九バスは、ゆっくりと進む。


昭和の匂いを残したまま。

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