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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク


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1169/1295

ヒロヒロ山陰どうでしょう 神様には真面目に、商売は全力で。――出雲大社参拝の午後、結衣の実家が過去最高売上!?

出雲の朝は、静かだった。


前夜。


出雲大社正門近くの老舗高級旅館に宿泊したヒロヒロ一行は、しまね和牛をはじめとする豪華な夕食に舌鼓を打ち、旅の疲れを十分に癒やした。


もっとも。


ノムさんだけは例によって酒が入って上機嫌となり、生配信中のコメント欄へ現れた、


芹沢遥(本人)


から、


『ノムさん出演禁止!!』


とまで書き込まれたにもかかわらず、見て見ぬふりをして出演を続けるという図太さを披露した。


最終的には、


「このしまね和牛はのう――」


などと堂々と食レポまで始め、


のどかから、


「出演禁止って文字読めんのですか!」


と怒鳴られていた。


そんな夜だったので。


翌朝。


視聴者の一部は当然のように期待していた。


《今日は誰が寝起きドッキリ?》


《みのり&ひかりに早朝バズーカ?》


《梨乃の鼻ピロピロ第三弾希望》


《知佳さんリベンジある?》


しかし。


午前六時。


静か。


六時半。


静か。


七時。


普通。


カメラ。


なし。


バズーカ。


なし。


ピロピロ笛。


なし。


ノムさんとのどかが誰かの部屋へ忍び込む気配も。


ない。


ただ。


梨乃だけは。


今日も。


寝相が悪かった。


布団。


半分。


蹴飛ばす。


枕。


なぜか横。


片足。


外。


髪。


ぼさ。


そして。


本人。


すー。


すー。


実に。


気持ちよさそう。


やがて。


自然に。


目を覚ます。


「……ん」


伸び。


「よく寝たでぇ……」


そこへ。


のどか。


「おはよう」


梨乃。


目。


細める。


のどか。


見る。


「……今日は何もしてない?」


「してない!」


「鼻に何か付けた?」


「付けてない!」


「ほんと?」


「ほんと!」


梨乃。


鼻。


触る。


何もない。


「今日は平和だで」


のどか。


「毎朝ドッキリがある前提にせんといて!」


知佳。


廊下。


通りかかる。


「むしろ江波さんたちが、ようやく普通の朝を迎えられるようになったと評価すべきでしょうか」


のどか。


「知佳さん、うちらを何だと思っとるんです?」


知佳。


少し。


考える。


「要注意人物」


のどか。


「早朝バズーカ一回でそこまで信用なくした!?」


知佳。


「一回?」


のどか。


「あ」


梨乃。


「鼻ピロピロ二回」


のどか。


「梨乃、数えんでええ!」


さらに。


ノムさん。


廊下。


歩いてくる。


「おはよう」


知佳。


「おはようございます」


のどか。


じろ。


「先輩も今日は大人しいですね」


「何じゃその言い方」


「何も企んでない?」


「今日は神さんのところへ行くんじゃぞ」


梨乃。


「ノムさんでも神様の前では真面目なん?」


ノムさん。


「梨乃ちゃん、わしを何じゃと思っとる」


まさにゃん。


横から。


「出演禁止を無視して酒飲んでた人」


ノムさん。


「まさにゃん!」


一同。


朝から。


笑う。


だが。


今日は。


確かに。


いつもとは少し違った。


朝食。


チェックアウト。


ただし。


荷物。


一部。


そのまま。


なぜなら。


この日も。


同じ高級旅館へ。


もう一泊する。


みのり。


「最高」


ひかり。


「昨日と同じ宿に戻れるって安心するね」


みのり。


「しかも今日も豪華ご飯?」


ひかり。


「たぶん」


梨乃。


「肉あるかな」


のどか。


「朝飯食べながら晩飯の心配せんといて!」


結衣。


笑う。


「地元に帰ってきたのに、家じゃなくて旅館に二泊するとは思わんかったわ」


梨乃。


「贅沢だで」


知佳。


「観光客の立場を体験するという意味では興味深いかもしれません」


伊織。


「今日は出雲大社ですね」


その言葉。


空気。


少し。


変わる。


結衣。


頷く。


「うん」


のどか。


「今日はちゃんと行こう」


ノムさん。


「ああ」


梨乃。


「配信する?」


のどか。


すぐ。


首。


振る。


「参拝中はせん」


梨乃。


「全部?」


「全部」


「コメントも?」


「見ん」


知佳。


「賛成です」


伊織。


「私もです」


ひかり。


「うん」


みのり。


「そうしよう」


結衣。


一瞬。


皆。


見る。


そして。


小さく。


「だんだん」


のどか。


「当たり前じゃん」


結衣。


「それでも嬉しいよ」


出雲大社。


朝。


参道。


大鳥居。


松並木。


境内へ近づくにつれて。


七人。


そしてノムさん。


まさにゃん。


自然。


声。


小さくなる。


いつもの。


スマートフォン。


ない。


生配信。


ない。


コメント。


ない。


カメラを向けて大騒ぎすることも。


ない。


梨乃ですら。


周囲。


じっと。


見る。


「……すごいな」


のどか。


「ね」


知佳。


「空気が違いますね」


伊織。


静かに。


頷く。


ひかり。


みのり。


二人。


並ぶ。


いつも通り。


近い。


しかし。


今日は。


誰も。


そこをいじらない。


結衣。


少し。


先。


歩く。


地元。


幼い頃。


何度も。


見た。


景色。


観光地。


だけではない。


故郷の。


大切な場所。


のどか。


その背中。


見る。


今日。


ここまで来たこと。


少し。


嬉しくなる。


三次。


潮温泉。


江の川。


江津。


出雲。


何度も。


サイコロ。


転がして。


何度も。


寄り道。


して。


やっと。


来た。


だから。


今日は。


ちゃんとする。


参拝。


全員。


真面目。


縁。


というもの。


それぞれ。


考える。


恋愛。


だけではない。


家族。


友人。


仲間。


仕事。


故郷。


旅先で会う人。


人生の中で。


誰と。


つながるか。


知佳。


目。


閉じる。


「これからも良い人と出会えますように」


自分の人生。


学び。


仕事。


仲間。


そして。


自分に足りないものを教えてくれる人。


そうした。


良縁。


願う。


伊織。


静か。


誰かに。


支えられること。


誰かを。


支えること。


そんな関係を。


大事にできますように。


梨乃。


意外。


長い。


のどか。


横。


ちら。


後で。


聞く。


「何お願いした?」


梨乃。


「これからもいっぱい、ええ人に会えますようにって」


のどか。


少し。


驚く。


「恋愛じゃないん?」


「恋愛も縁だで。でも友達も縁だし、おばあちゃんもおじいちゃんも縁だで」


結衣。


「梨乃らしいね」


知佳。


「素敵だと思います」


梨乃。


「ほんと?」


「はい」


梨乃。


嬉しい。


「うち今日賢い?」


のどか。


「そこで台無しにすんな!」


そして。


結衣。


家族。


仲間。


ヒロヒロ。


故郷。


自分が。


外へ出たからこそ。


改めて。


分かった。


出雲。


好き。


家族。


好き。


そして。


一緒に来てくれた人たち。


大切。


だから。


願う。


これから先も。


この縁。


続きますように。


グレースフォース。


ひかり。


みのり。


並ぶ。


二人。


祈る。


やたら。


長い。


梨乃。


遠く。


じー。


参拝。


終わる。


みのり。


ひかり。


戻る。


梨乃。


即。


「何お願いした?」


みのり。


「秘密」


ひかり。


「私も」


「二人一緒?」


二人。


目。


合う。


ちょっと。


間。


みのり。


「さあ?」


ひかり。


「どうだろうね」


梨乃。


じー。


のどか。


「梨乃、詮索せんときんさい」


「気になるで」


「他人のお願いは秘密!」


梨乃。


「もしかして、もっと仲良くなれますように?」


みのり。


「なっ……!」


ひかり。


「梨乃ちゃん!」


梨乃。


「当たり?」


のどか。


「参道で百合推理始めんで!」


結衣。


「仲ええのは確かだがね」


知佳。


「そこまでにしましょう」


伊織。


口元。


微笑む。


真相。


二人。


だけ。


知っている。


そして。


のどか。


参拝。


長い。


梨乃。


待つ。


まだ。


待つ。


さらに。


待つ。


梨乃。


小声。


「のどか長いで」


知佳。


「色々あるのでしょう」


結衣。


「支部長だからね」


実際。


のどか。


本気。


だった。


ヒロヒロがこれからも良い形で続きますように。


広島支部のみんなが怪我なく、無事に活動できますように。


全国の戦隊ヒロインたちが元気でいられますように。


今まで出会った人たちが幸せでありますように。


そして。


何より。


戦争や争いのない、平和な世界でありますように。


江波のどか。


被爆四世。


自分。


広島。


生まれ。


父。


路面電車。


母。


祖母。


店。


街。


平和。


普段は。


ノムさん。


悪ノリ。


梨乃。


ツッコミ。


ヒロヒロ。


大騒ぎ。


でも。


平和だけは。


冗談にしない。


それが。


のどか。


だから。


誰にも。


言わず。


しっかり。


祈る。


参拝。


終わる。


伊織。


「何をお願いしたんですか?」


のどか。


「みんなの無事」


知佳。


頷く。


「はい」


「ヒロヒロがちゃんと続きますように」


結衣。


「うん」


「あと世界平和」


梨乃。


「のどからしいで」


のどか。


少し。


照れる。


「まあね」


そして。


少し。


間。


「あと梨乃の頭がもうちょっと良うなりますように」


梨乃。


「何で!?」


知佳。


「それは重要ですね」


梨乃。


「知佳さんまで!」


結衣。


「切実だがね」


梨乃。


「結衣!」


伊織。


笑う。


のどか。


「せめて奇数偶数くらいは二度と忘れませんように!」


梨乃。


「今は分かる!」


のどか。


「じゃあ9!」


「奇数!」


のどか。


両手。


合わせる。


「御利益あった!」


梨乃。


「今ここで確認せんで!」


みのり。


吹き出す。


ひかり。


口元。


押さえる。


知佳。


「効果判定が早すぎます」


参拝。


終わって。


ようやく。


いつもの。


ヒロヒロ。


戻る。


昼。


出雲そば。


割子。


朱色。


器。


重なる。


梨乃。


「いっぱいあるで!」


結衣。


「普通は段になっとるんだよ」


知佳。


「つゆを一段ずつ――」


梨乃。


「知っとる!」


知佳。


止まる。


のどか。


「梨乃、ほんま?」


「今結衣に聞いた!」


のどか。


「それ“知っとる”じゃなくて“今知った”!」


梨乃。


「知ったから知っとる!」


知佳。


「論理的には間違いではありません」


のどか。


「知佳さん、そこ認めるんです!?」


七人。


ノムさん。


まさにゃん。


そば。


食べる。


ここから。


生配信。


再開。


コメント。


《おかえり》


《ちゃんと参拝してていいね》


《出雲そばうまそう》


《今日はこの後何する?》


のどか。


最後。


読む。


「あ」


ノムさん。


見る。


「先輩」


「何じゃ」


「今日はこのあと?」


前日。


江津。


昼。


同じ。


質問。


答え。


決まっていない。


だった。


だから。


知佳。


身構える。


伊織。


ちょっと。


笑う。


みのり。


「またノープラン?」


ひかり。


「まさか」


ノムさん。


蕎麦。


すすり。


「決まっとるぞ」


全員。


「え!?」


ノムさん。


箸。


止まる。


「何で驚くんじゃ!」


のどか。


「先輩の口から“決まっとる”が出た!」


知佳。


「昨日より明確な進歩です」


梨乃。


「ノムさんも出雲大社で頭良くなった?」


ノムさん。


「梨乃ちゃんに言われとうない!」


そして。


今日。


午後。


企画。


発表。


ノムさん。


「結衣ちゃんの実家」


結衣。


「うん」


「手伝うぞ」


全員。


「…………」


梨乃。


「土産物屋?」


「そうじゃ」


のどか。


「誰が?」


「みんな」


「ヒロイン七人?」


「もちろん」


「先輩は?」


「わしも」


まさにゃん。


そば。


食べる。


ノムさん。


見る。


「まさにゃんも」


まさにゃん。


止まる。


「俺も!?」


「当たり前じゃ」


「俺、室長代理なんだけど!」


のどか。


「今日は店員代理!」


まさにゃん。


「役職変えんで!」


梨乃。


「まさにゃん、箱運び似合いそう」


「どういう評価だよ!」


コメント欄。


《www》


《ヒロイン7人+おじさん2人》


《土産物屋の人員が豪華》


《今から行く》


《まさにゃん小間使い》


まさにゃん。


画面。


見る。


「誰が小間使いだ!」


梨乃。


「小役人?」


まさにゃん。


「もっと悪くなった!」


のどか。


「まあ、室長代理って所詮小役人じゃろ」


「江波まで!」


知佳。


「行政組織ではありませんけれどね」


ノムさん。


「まあ細かいことはええ」


知佳。


「細かくありません」


結衣。


「両親には昨日話してあるよ」


知佳。


「事前了承済みですか?」


「うん」


伊織。


「来客増加の可能性も?」


「一応」


知佳。


ノムさん。


見る。


「今回はかなり準備されていますね」


ノムさん。


胸。


張る。


「わしがやった」


結衣。


即。


「私もやった」


ノムさん。


「結衣ちゃん!」


のどか。


「ほぼ結衣なんじゃないです?」


「わしも電話したぞ!」


梨乃。


「何の?」


「打ち合わせ」


「ちゃんと?」


「ちゃんと!」


梨乃。


「ノムさんやればできるで」


ノムさん。


「何で上からなんじゃ!」


視聴者。


《珍しく段取りしてる》


《今日はまとも》


《結衣ちゃんが監視してるからでは》


のどか。


最後。


読む。


「それじゃ!」


ノムさん。


「何が!」


午後。


結衣の実家。


出雲大社。


門前。


土産物店。


いつもなら。


家族。


数人。


営業。


今日は。


異様。


入口。


戦隊ヒロイン。


七人。


+。


ノムさん。


+。


まさにゃん。


九人。


梨乃。


エプロン。


「似合う?」


のどか。


「店員さんっぽい」


梨乃。


「いらっしゃいませー!」


結衣。


「まだ始まってないよ」


「練習!」


知佳。


商品棚。


確認。


「出雲そばセットはこちら」


「縁結び関連はこちらですね」


「発送伝票は?」


結衣。


「ここ」


伊織。


「包装資材は?」


「下」


ひかり。


「包装手伝うね」


みのり。


「私も!」


のどか。


「うちはレジ周りと列整理やる」


ノムさん。


「わしは全体監督」


一同。


「…………」


梨乃。


「楽なやつ?」


ノムさん。


「違う!」


まさにゃん。


「俺は?」


ノムさん。


「何でも」


まさにゃん。


「一番雑!」


のどか。


「小間使い」


まさにゃん。


「正式名称みたいに言うな!」


そして。


配信。


開始。


『ヒロヒロ、今日は結衣の実家で店員やります!』


コメント。


《ほんとにやってるw》


《結衣ちゃんの実家》


《今日店員豪華》


《今出雲いるから行く》


《そば買いたい》


梨乃。


画面。


見る。


「ほんに来る?」


のどか。


「来られる方は混雑せんようお願いしますよ!」


知佳。


「お店への通常のお客様を最優先でお願いします」


伊織。


「周囲のご迷惑にならないようお願いします」


この辺り。


ちゃんと。


する。


そして。


営業。


開始。


梨乃。


店頭。


笑顔。


「いらっしゃいませー!」


五分。


地元。


おばあさん。


「あら、結衣ちゃん?」


結衣。


「おばちゃん、久しぶり」


「帰ってきたの」


「うん」


梨乃。


横。


「こんにちは!」


一分。


話。


成立。


のどか。


遠く。


「梨乃、もう地元民と喋っとる!」


知佳。


「予想通りですね」


梨乃。


「鳥取出身だで!」


おばあさん。


「そうなの」


「今広島!」


「まあ遠くから」


結衣。


苦笑。


「梨乃は誰とでも話すんだわ」


客。


来る。


知佳。


商品説明。


「こちらは出雲そばのセットで――」


梨乃。


横。


「美味しいで!」


知佳。


止まる。


梨乃。


「ほんとに」


知佳。


数秒。


そして。


「はい。非常に分かりやすい説明です」


のどか。


「知佳さんが梨乃に適応しすぎとる!」


梨乃。


「褒められた!」


知佳。


「端的すぎるだけです」


伊織。


接客。


柔らかい。


「地方発送もできますよ」


お客。


「じゃあお願いしようかしら」


「ありがとうございます」


落ち着く。


上品。


店。


突然。


老舗百貨店。


みたい。


のどか。


「伊織さんが接客すると高級店感出るね」


梨乃。


「うちだと?」


のどか。


「祭り」


梨乃。


「何で!」


グレースフォース。


みのり。


ひかり。


包装。


ひかり。


「みのり、こっち折って」


「こう?」


「うん」


「次?」


「リボンお願い」


「はい」


肩。


近い。


手。


近い。


梨乃。


作業。


止める。


じー。


「……夫婦みたいだで」


みのり。


「ちょっ!」


ひかり。


「梨乃ちゃん!」


のどか。


「客おる前で何言うとるん!」


客。


笑う。


みのり。


顔。


赤い。


ひかり。


妙に。


否定。


遅い。


結衣。


小声。


「まあ距離近いけんね」


知佳。


「それ以上は触れない方が」


梨乃。


「何で?」


全員。


「仕事しんさい!」


そして。


ノムさん。


当初。


予想。


何もしない。


だった。


ところが。


客。


増える。


入口。


詰まり。


ノムさん。


すぐ。


動く。


「のどか」


「はい?」


「あそこ、入口と出口ごっちゃになっとる」


「あ」


「梨乃ちゃん、もうちいと中へ。歩道塞いだらいけん」


梨乃。


「はい!」


「会計待ちと商品選ぶ人、列分けよう」


知佳。


「その方がいいですね」


「地方発送は奥でまとめた方が早い」


伊織。


「移動します」


のどか。


じー。


ノムさん。


「何じゃ?」


「先輩、ちゃんと仕事できるんですね」


「当たり前じゃ!」


梨乃。


「ほんとだで」


「梨乃ちゃんまで!」


のどか。


「普段からこれやってくださいよ!」


ノムさん。


「普段からやったら、ありがたみないじゃろ」


知佳。


「その理屈は分かりません」


とはいえ。


ノムさん。


イベント。


人流。


客。


配置。


トラブル。


経験。


長い。


こういう時。


妙に。


役に立つ。


コメント。


《ノムさん有能》


《酒飲んでないと強い》


《本職感》


《いつも働け》


ノムさん。


画面。


見る。


「“本職感”じゃない! 本職じゃ!」


のどか。


「“いつも働け”は?」


ノムさん。


「見えん」


「都合の悪いコメントだけ見えんのやめて!」


一方。


まさにゃん。


完全。


小間使い。


結衣。


「まさにゃん、奥から箱お願い」


「はい!」


走る。


のどか。


「まさにゃん、テープ!」


「今行く!」


伊織。


「発送箱が不足しています」


「倉庫見てくる!」


みのり。


「包装紙追加お願い!」


「了解!」


梨乃。


「まさにゃん!」


まさにゃん。


走りながら。


「今度は何!?」


「お茶飲みたい」


「それは自分で行け!」


梨乃。


「小間使いなのに」


まさにゃん。


「俺は小間使いじゃない!」


のどか。


「小役人」


「もっと嫌だ!」


知佳。


「ですが、現場の細かい作業を滞りなく処理している点では非常に有用です」


まさにゃん。


目。


輝く。


「知佳ちゃん!」


知佳。


「業務内容はほぼ小間使いですけれど」


まさにゃん。


「上げて落とした!」


コメント。


《まさにゃんMVP》


《所詮は小役人》


《でも一番働いてる》


《頑張れまさにゃん》


本人。


ぶつぶつ。


言う。


でも。


全部。


やる。


そして。


配信。


効果。


出始める。


「配信見ました!」


本当に。


客。


来る。


のどか。


「ありがとうございます!」


結衣。


「ありがとうございます」


梨乃。


「ほんとに来たで!」


若者。


「梨乃ちゃん!」


「はい!」


「鼻ピロピロ見た!」


梨乃。


止まる。


のどか。


顔。


そらす。


梨乃。


ゆっくり。


「のどか」


「今は仕事中!」


「後で話あるで」


のどか。


「はい……」


知佳。


小声。


「自業自得ですね」


客。


笑う。


出雲そばセット。


減る。


梨乃。


数える。


「あと10!」


結衣。


「結構出たね」


五分。


「あと7!」


さらに。


「5!」


知佳。


「かなり早いですね」


「3!」


のどか。


「実況せんでええ!」


「2!」


「1!」


客。


最後。


購入。


梨乃。


両手。


上。


「売り切れ!」


結衣。


「ほんとに?」


棚。


空。


倉庫。


確認。


父。


「ないな」


のどか。


「え!?」


知佳。


「開始からまだ半日も経っていません」


結衣。


父。


「追加どうする?」


知佳。


「製造元から直接発送できませんか?」


電話。


確認。


できる。


店。


急遽。


表示。


『出雲そばセット 本日店頭分完売 ご注文分は製造元より直送いたします』


客。


「じゃあ配送で」


伊織。


「ありがとうございます」


知佳。


「こちらの伝票へお願いします」


まさにゃん。


伝票。


抱える。


「仕事増えた!」


梨乃。


「働け小役人!」


まさにゃん。


「誰が教えたその言葉!」


のどか。


そっぽ。


「知らんなあ」


「絶対江波だろ!」


さらに。


縁結び菓子。


売れる。


神話モチーフ。


商品。


売れる。


地元銘菓。


売れる。


民芸品。


売れる。


梨乃。


接客。


妙に。


強い。


「これかわいいで!」


客。


「じゃあ孫に」


「こっちは?」


「それもいいね」


「両方?」


「じゃあ両方」


のどか。


「梨乃、販売員適性ある!」


知佳。


「押し売り感が全くないのが強みですね」


結衣。


「本人ほんとにおすすめしとるだけだもん」


梨乃。


「役立っとる?」


のどか。


「めちゃくちゃ!」


梨乃。


嬉しい。


「出雲大社の御利益?」


知佳。


「それは頭脳向上の願いとは別でしょう」


のどか。


「でも今日は右左間違えてない!」


梨乃。


「基準低すぎるで!」


夕方。


客。


ようやく。


落ち着く。


店。


棚。


かなり。


空。


地方発送。


伝票。


山。


結衣。


父。


計算。


母。


横。


待つ。


七人。


少し。


気になる。


ノムさん。


後ろ。


腕。


組む。


まさにゃん。


椅子。


座りたい。


でも。


まだ。


立つ。


父。


計算。


もう一回。


そして。


顔。


上げる。


「……半日としては、たぶん過去最高だな」


一瞬。


静か。


結衣。


「ほんと?」


「うん。こんなの初めてだ」


母。


笑う。


「みんな、本当にありがとう」


結衣。


家族。


見る。


仲間。


見る。


のどか。


梨乃。


知佳。


伊織。


ひかり。


みのり。


ノムさん。


まさにゃん。


騒がしい。


妙。


番組。


でも。


自分の家。


こんなに。


賑わった。


両親。


喜ぶ。


結衣。


少し。


目。


潤む。


「……だんだん」


のどか。


「うちらも楽しかったけえ!」


梨乃。


「またやる?」


結衣。


「うん」


知佳。


「ただし次回は在庫を多めに」


父。


笑う。


「そうするよ」


伊織。


「発送対応も増えそうですね」


母。


「本当に助かったわ」


みのり。


「また手伝いたい!」


ひかり。


「私も」


梨乃。


「うち明日も!」


結衣。


即。


「大学へ帰りんさい」


梨乃。


「休みの日!」


結衣。


「それなら」


少し。


笑う。


「お願いするかもしれんね」


梨乃。


ぱあ。


「やった!」


そして。


ノムさん。


満を持して。


一歩。


前。


「どうじゃ!」


全員。


「?」


胸。


張る。


「これがヒロヒロの地域経済効果じゃ!」


のどか。


「先輩」


「何じゃ」


「今日ちょっとだけ見直したんですけど」


「おう」


「最後に全部自分の手柄みたいに言ったんで取り消します」


ノムさん。


「何でじゃ!」


まさにゃん。


横。


段ボール。


抱える。


「俺の方が働いた!」


梨乃。


「それはほんと」


知佳。


「実働時間では葛城さんが上でしょうね」


伊織。


「かなり動いていました」


まさにゃん。


「ほら!」


ノムさん。


「わしは指揮じゃ!」


のどか。


「今日は微妙に役立ったから、それで満足しんさい!」


ノムさん。


「微妙言うな!」


コメント欄。


《wwww》


《たまにはヒロヒロもいいことする》


《結衣ちゃんの家族嬉しそう》


《半日最高売上すごい》


《ノムさん今日は70点》


《まさにゃん90点》


《梨乃80点》


梨乃。


「何でうち80?」


のどか。


「高いじゃん」


コメント。


さらに。


《ただし頭脳は20点》


梨乃。


「誰だで!」


のどか。


腹。


抱える。


「神様にお願いしたばっかり!」


営業。


終了。


店先。


夕暮れ。


出雲。


空。


少し。


赤い。


のどか。


配信。


締め。


「今日は!」


「朝、出雲大社へ参拝して!」


「午後から結衣の実家のお土産屋さんをお手伝いしました!」


梨乃。


「いっぱい売れたで!」


知佳。


「出雲そばセットは店頭分完売となりました」


伊織。


「ご来店いただいた皆さん、本当にありがとうございました」


みのり。


「楽しかった!」


ひかり。


「また来たいね」


結衣。


カメラ。


少し。


照れる。


そして。


「みんな、ほんにだんだん」


コメント。


《いい回だった》


《結衣ちゃん良かったね》


《出雲編好き》


《こういう地域企画いいな》


《たまにはヒロヒロも良いことする》


《ノムさん酒飲まなければ有能》


ノムさん。


最後。


読む。


「何で酒関係あるんじゃ!」


のどか。


「大いにある!」


そして。


一行。


再び。


前夜。


宿泊。


高級旅館。


戻る。


梨乃。


「今日平和だったな」


知佳。


「少なくとも早朝バズーカはありませんでした」


のどか。


「基準そこ?」


伊織。


「誰も乗り遅れませんでした」


梨乃。


「うちも!」


のどか。


「当たり前!」


みのり。


「出雲大社行けた」


ひかり。


「お店も大成功」


結衣。


少し。


嬉しそう。


「うん」


そして。


旅館。


玄関前。


ノムさん。


「ほいじゃ今夜も――」


全員。


じー。


ノムさん。


止まる。


「……何じゃ」


のどか。


「酒はほどほどに」


「まだ酒言うてない!」


梨乃。


「顔に書いてあるで」


知佳。


「昨日の実績があります」


まさにゃん。


「俺は今日は働いたから一杯くらい――」


のどか。


「まさにゃんはまあええです」


ノムさん。


「何でまさにゃんはええんじゃ!」


伊織。


「本日かなり働いていましたから」


ノムさん。


「わしも働いた!」


梨乃。


「微妙に」


のどか。


「微妙に」


知佳。


「微妙に」


結衣。


「微妙に」


みのり。


「微妙に?」


ひかり。


「微妙に」


ノムさん。


「全員で言うな!」


出雲の夜。


二泊目。


この日は。


サイコロ。


なし。


早朝バズーカ。


なし。


乗り遅れ。


なし。


なのに。


十分。


騒がしい。


十分。


面白い。


そして。


十分。


いい一日だった。


ヒロヒロは、ふざけなくても面白い。


いや。


正確には。


真面目にやろうとしても、なぜか最後には少しふざけてしまう。


それが。


ヒロヒロだった。


そして何より。


この日ばかりは。


胸を張って。


言える。


たまにはヒロヒロも、本当に良いことをする。

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