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魔人9

花藤が公衆トイレから出るとまだ陽は落ちてはいなかったが、陽の光は既に国道6号沿いのマンションやビルに遮られ公園には影が落ちていた。

花藤はそのまま高橋署長と会うために隅田川署へと向かうつもりだったが騒がしい外人たちがどうにも気になった。

まあちょっと声をかけてみるか、田中の代わりに。

花藤は外人たちに向かって歩く。

あの二人の警官に喫煙を咎められたのはどうしても納得できなかった。罪悪感はないが、ほんのわずかな心に浮かんだわだかまりのようなものを残してはいたが。

もしここに田中がいたら同じように煙草を消すように言ったのだろうからだ。

花藤はラッキーストライクを咥え火を点けた。

公園が禁煙などとアホらしいし何より、田中はもういない。

外人たちのスピーカーがグウェンステファニーのホワットユーウェイティングフォー流し始めた。


楽しそうだな。

どんな仲間なんだ。

ここになにしにきた。

もう、俺だけだ。

チクタクチクタク・・・時間は戻らない。

サカっちまって車の中でおっぱじめる。

喘いで何も気にせずヤり続ける・・・。


花藤がゆっくりと外人たちに歩み寄る。

外人たちは階段というより数段の段差に腰かけ酒盛りを始めていた。周囲には196と書かれたいくつかの空き缶と煙草の吸殻とコンビニで買ってきたツマミなんだろう、いくつかのプラスティック容器が散らばっていた。せめてレジ袋にまとめておくといった気づかいなど無いのだろう、レジ袋はとうの昔に風に吹かれてどこか遠くに飛んで行ってしまったようだ。

ボリュームは花藤が捻り回した最大のままのようだった。

花藤はスピーカーへと歩み寄りボリュームを捻り音を消した。

すぐに4人の外人たちが反応し背後を振り返った。

何人かは分からないがやや褐色の肌でアラブなのか南米なのか、そうでなければそれ以外のどこかだろう。

まあどうでも良いけどな。

外人男の一人が立ち上がり花藤の前に歩み寄りスピーカーのボリュームを捻るとその場は再び騒がしくなる。

「Get the fuck out!!」

そう言って花藤の前に突き出すように顔を向ける。

花藤は外人男と視線を交わし、顔を下げた。

外人男の両手の指先はポケットに突っ込まれていた。


そして外人男は視線を反らし顔を下げた花藤を侮り仲間たちに振り返り言った。

「Look at him!he's a total chicken!」

「おい、こっちを見ろよ」花藤が静かに返すが外人男はそれを怯えていると受け取ったようだった。

「Hear that? He's shaking in his boots!!」

花藤はゆっくりと右手を上げた。

「こっちを見ろって」

外人男は右手を上げた花藤を見て再び中身に振り返り笑いながら言った。

「Look at him!begging for his teacher!!」


何を待っている?

何を待っているんだ?

マジで何してんだ?

チクタクチクタク・・・。

自らチャンスを捨てるバカか。

バカだから何度も繰り返す。

殴られるかもって考えないのか?

なんでそっぽ向いて突っ立っている?


花藤は右こぶしを握り締め背後を見たままの外人男に叩き落した。

花藤の右拳は外人男の右肩に打ち下ろされ外人男はそのまま膝をついた。

外人男は何が起きたのかすぐには理解が出来なかっただろうが右肩が訴える激痛をすぐに感じる事になった。咄嗟に左手で右肩を抑えるがそれは更なる激痛を叫ぶ行為だった。

外人男の右鎖骨は完全に折れていた。少なくとも二つ以上に。

叫び声を上げる外人男にもう一人の男が即座に反応した。

「What did you just do!? you miserable bastard!!!!」

男は右の回し蹴りを放ってきたが花藤は軽く左腕で受け止めると腕を返し、そのまま男の右足を抱えた。

「マンガかよ」

花藤にしてみれば叫んで注意を引いてからの攻撃など、必殺技の名前を叫んでから攻撃してくるマンガのように思えたのだ。

男は掴まれた右足を引き抜こうとしたのだろう、左足に重心をかけ踏ん張ったがそれを軽く刈られた。

地面との支えを完全に失った男の身体は投げだされるように後ろに倒れていき、反射的に手を突こうとするが、花藤が男の右足を抱えたまま身体を捻るとバランスが失われ一切の勢いを殺すことなく後頭部をコンクリートの地面へと打ち付けた。

ゴッ!と鈍いが大きな音が響き男は両手で頭を抱え悶絶した。

花藤が必要の無くなった右足を放してやると男は身体を丸め、頭を抱えながら呻き声を漏らす。

花藤は足元で膝をつき激痛に耐えようとしている男に、その激痛の原因を思い出させるかのように折れた鎖骨を押してやると男は転げるように花藤から距離を取る。


「なんで警戒しないんだ?」花藤は聞いたが彼らは日本語が分からないのだろうが、それ以前に二人の男のどちらも冷静に会話できるような状態ではない。

格闘技のフェイスオフならまだ分かるんだけどな。

喧嘩を吹っかけてきておいて両手はポケットに突っ込みそっぽ向くって、よほど強いか信じられないほどの馬鹿かどちらかだろう?

お前らの国の学校では、日本ではブン殴られる心配はありませんので何をしても大丈夫ですよ。とでも習ったのか?

お前らがそれほど勉強熱心には見えないけどな。


花藤が後頭部を抑える外人男に歩み寄ろうとすると横から押された。

「What the fuck are you doing!?」

ロングヘアーの外人女が両手で花藤を突いてきた。

当然、花藤はビクともしない。怪訝そうな表情をロングヘアーに向ける。

「Fuck you!!!」

そう何度も繰り返しロングヘアーは両手で花藤を突き続けた。

攻撃?いや違う、女が素手で俺を突いても無駄だ。

男を守ろうとしているのか?それも違うだろう。もしそうであるのならその両手は俺に向けるのではなく地面に付けた方が良いだろう。

まあお前がどこの国から来たのか、お前の国ではどういった教育をしているのかは知らないがここは日本だ。

花藤はロングヘアーの髪の毛を掴んだ。

ロングヘアーは腕を振り回し、花藤を殴ると言うより叩いてきた。やはりそれもまるで意味がなかった。

ウザったいな・・。

花藤はまとわりつく蠅を手で払うかのように掴んだ髪の毛を左右に振るとロングヘアーは金切り声を上げる。

キンキンキンキンうるせえな、風鈴かよ。

投げ捨てようかと思ったがもう一人のショートボブ女がジャケットに手を伸ばすのを見て反射的に風鈴女を盾にした。

だがショートボブがジャケットから取り出したのはスマートフォンで、それを花藤に向けてきた。


「それで何をするつもりなんだ?」

花藤は自問するように聞き、風鈴女を横に放り投げた。

ショートボブ女は地面を転がる風鈴女にスマートフォンを向け、再び花藤に向けた。

「I'm recording this!!!」

花藤は手にまとまりついた風鈴女の髪の毛を払い落としショートボブに向けた。

「それを、よこせ」

「Re...re..recoooording!!!!」

ショートボブはこれが切り札だとでも言うかのように微動だにせずにスマートフォンを向け続けている。

ああ、そうか。少しだけ理解した花藤は言い直す。

「スマートフォンをよこせ」

「No!!nooo!!I'm recording all!!」

ノーってことは俺の言ったことは理解できたんだろ。だけどよ、録画しているからなんだって言うんだ?それはこっちに向けるより110って押して耳に当てた方がまだいいだろ。

花藤が一歩進むとショートボブも一歩下がった。


面倒だな・・。

花藤はスピーカーに手を伸ばしボリュームを捻るとスピーカーは再び周囲を騒がしくする。

花藤は二歩ほど下がり、よく見ていろとスピーカーを指さした。

そして蹴った。

スピーカーは想像以上に脆く、そして軽かった。破片をバラまきながら吹き飛び川岸のフェンスまで吹っ飛び激突し更に破片をバラまいた。

ショートボブはスピーカーではなくただのガラクタと化した物を怯えながら見つめそれ以上動くことはなかった。

花藤はショートボブが手にするスマートフォンを取り上げ隅田川へと放り投げた。

花藤は身振り手振りで他の三人のスマートフォンを集めてこいと。ショートボブは怯えて動けなかったが花藤が自分でやるかとロングヘアーに歩み寄るとショートボブは慌てて三人のスマートフォンを回収し花藤へと差し出した。

花藤は三台のスマートフォンを受け取るとフェンスへと歩み寄りそれらを隅田川に投げ捨て、ついでに壊れ切ったスピーカーも川の中へと投げ捨てた。

そしてタバコを一吸いしてから川に吐き捨てると四人の外人達には目も向けずに歩き去る。


公園の端までくると控えめで静かにアコースティックギターを弾いている外人男がいた。

ユーガッタフレンドミーか。

男は花藤が公衆トイレから出るとまだ陽は落ちてはいなかったが、陽の光は既に国道6号沿いのマンションやビルに遮られ公園には影が落ちていた。

花藤はそのまま高橋署長と会うために隅田川署へと向かうつもりだったが騒がしい外人たちがどうにも気になった。

まあちょっと声をかけてみるか、田中の代わりに。

花藤は外人たちに向かって歩く。

あの二人の警官に喫煙を咎められたのはどうしても納得できなかった。罪悪感はないが、ほんのわずかな心に浮かんだわだかまりのようなものを残してはいたが。

もしここに田中がいたら同じように煙草を消すように言ったのだろうからだ。

花藤はラッキーストライクを咥え火を点けた。

公園が禁煙などとアホらしいし何より、田中はもういない。

外人たちのスピーカーがグウェンステファニーのホワットユーウェイティングフォー流し始めた。


楽しそうだな。

どんな仲間なんだ。

ここになにしにきた。

もう、俺だけだ。

チクタクチクタク・・・時間は戻らない。

サカっちまって車の中でおっぱじめる。

喘いで何も気にせずヤり続ける・・・。


花藤がゆっくりと外人たちに歩み寄る。

外人たちは階段というより数段の段差に腰かけ酒盛りを始めていた。周囲には196と書かれたいくつかの空き缶と煙草の吸殻とコンビニで買ってきたツマミなんだろう、いくつかのプラスティック容器が散らばっていた。せめてレジ袋にまとめておくといった気づかいなど無いのだろう、レジ袋はとうの昔に風に吹かれてどこか遠くに飛んで行ってしまったようだ。

ボリュームは花藤が捻り回した最大のままのようだった。

花藤はスピーカーへと歩み寄りボリュームを捻り音を消した。

すぐに4人の外人たちが反応し背後を振り返った。

何人かは分からないがやや褐色の肌でアラブなのか南米なのか、そうでなければそれ以外のどこかだろう。

まあどうでも良いけどな。

外人男の一人が立ち上がり花藤の前に歩み寄りスピーカーのボリュームを捻るとその場は再び騒がしくなる。

「Get the fuck out!!」

そう言って花藤の前に突き出すように顔を向ける。

花藤は外人男と視線を交わし、顔を下げた。

外人男の両手の指先はポケットに突っ込まれていた。


そして外人男は視線を反らし顔を下げた花藤を侮り仲間たちに振り返り言った。

「Look at him!he's a total chicken!」

「おい、こっちを見ろよ」花藤が静かに返すが外人男はそれを怯えていると受け取ったようだった。

「Hear that? He's shaking in his boots!!」

花藤はゆっくりと右手を上げた。

「こっちを見ろって」

外人男は右手を上げた花藤を見て再び中身に振り返り笑いながら言った。

「Look at him!begging for his teacher!!」


何を待っている?

何を待っているんだ?

マジで何してんだ?

チクタクチクタク・・・。

自らチャンスを捨てるバカか。

バカだから何度も繰り返す。

殴られるかもって考えないのか?

なんでそっぽ向いて突っ立っている?


花藤は右こぶしを握り締め背後を見たままの外人男に叩き落した。

花藤の右拳は外人男の右肩に打ち下ろされ外人男はそのまま膝をついた。

外人男は何が起きたのかすぐには理解が出来なかっただろうが右肩が訴える激痛をすぐに感じる事になった。咄嗟に左手で右肩を抑えるがそれは更なる激痛を叫ぶ行為だった。

外人男の右鎖骨は完全に折れていた。少なくとも二つ以上に。

叫び声を上げる外人男にもう一人の男が即座に反応した。

「What did you just do!? you miserable bastard!!!!」

男は右の回し蹴りを放ってきたが花藤は軽く左腕で受け止めると腕を返し、そのまま男の右足を抱えた。

「マンガかよ」

花藤にしてみれば叫んで注意を引いてからの攻撃など、必殺技の名前を叫んでから攻撃してくるマンガのように思えたのだ。

男は掴まれた右足を引き抜こうとしたのだろう、左足に重心をかけ踏ん張ったがそれを軽く刈られた。

地面との支えを完全に失った男の身体は投げだされるように後ろに倒れていき、反射的に手を突こうとするが、花藤が男の右足を抱えたまま身体を捻るとバランスが失われ一切の勢いを殺すことなく後頭部をコンクリートの地面へと打ち付けた。

ゴッ!と鈍いが大きな音が響き男は両手で頭を抱え悶絶した。

花藤が必要の無くなった右足を放してやると男は身体を丸め、頭を抱えながら呻き声を漏らす。

花藤は足元で膝をつき激痛に耐えようとしている男に、その激痛の原因を思い出させるかのように折れた鎖骨を押してやると男は転げるように花藤から距離を取る。


「なんで警戒しないんだ?」花藤は聞いたが彼らは日本語が分からないのだろうが、それ以前に二人の男のどちらも冷静に会話できるような状態ではない。

格闘技のフェイスオフならまだ分かるんだけどな。

喧嘩を吹っかけてきておいて両手はポケットに突っ込みそっぽ向くって、よほど強いか信じられないほどの馬鹿かどちらかだろう?

お前らの国の学校では、日本ではブン殴られる心配はありませんので何をしても大丈夫ですよ。とでも習ったのか?

お前らがそれほど勉強熱心には見えないけどな。


花藤が後頭部を抑える外人男に歩み寄ろうとすると横から押された。

「What the fuck are you doing!?」

ロングヘアーの外人女が両手で花藤を突いてきた。

当然、花藤はビクともしない。怪訝そうな表情をロングヘアーに向ける。

「Fuck you!!!」

そう何度も繰り返しロングヘアーは両手で花藤を突き続けた。

攻撃?いや違う、女が素手で俺を突いても無駄だ。

男を守ろうとしているのか?それも違うだろう。もしそうであるのならその両手は俺に向けるのではなく地面に付けた方が良いだろう。

まあお前がどこの国から来たのか、お前の国ではどういった教育をしているのかは知らないがここは日本だ。

花藤はロングヘアーの髪の毛を掴んだ。

ロングヘアーは腕を振り回し、花藤を殴ると言うより叩いてきた。やはりそれもまるで意味がなかった。

ウザったいな・・。

花藤はまとわりつく蠅を手で払うかのように掴んだ髪の毛を左右に振るとロングヘアーは金切り声を上げる。

キンキンキンキンうるせえな、風鈴かよ。

投げ捨てようかと思ったがもう一人のショートボブ女がジャケットに手を伸ばすのを見て反射的に風鈴女を盾にした。

だがショートボブがジャケットから取り出したのはスマートフォンで、それを花藤に向けてきた。


「それで何をするつもりなんだ?」

花藤は自問するように聞き、風鈴女を横に放り投げた。

ショートボブ女は地面を転がる風鈴女にスマートフォンを向け、再び花藤に向けた。

「I'm recording this!!!」

花藤は手にまとまりついた風鈴女の髪の毛を払い落としショートボブに向けた。

「それを、よこせ」

「Re...re..recoooording!!!!」

ショートボブはこれが切り札だとでも言うかのように微動だにせずにスマートフォンを向け続けている。

ああ、そうか。少しだけ理解した花藤は言い直す。

「スマートフォンをよこせ」

「No!!nooo!!I'm recording all!!」

ノーってことは俺の言ったことは理解できたんだろ。だけどよ、録画しているからなんだって言うんだ?それはこっちに向けるより110って押して耳に当てた方がまだいいだろ。

花藤が一歩進むとショートボブも一歩下がった。


面倒だな・・。

花藤はスピーカーに手を伸ばしボリュームを捻るとスピーカーは再び周囲を騒がしくする。

花藤は二歩ほど下がり、よく見ていろとスピーカーを指さした。

そして蹴った。

スピーカーは想像以上に脆く、そして軽かった。破片をバラまきながら吹き飛び川岸のフェンスまで吹っ飛び激突し更に破片をバラまいた。

ショートボブはスピーカーではなくただのガラクタと化した物を怯えながら見つめそれ以上動くことはなかった。

花藤はショートボブが手にするスマートフォンを取り上げ隅田川へと放り投げた。

花藤は身振り手振りで他の三人のスマートフォンを集めてこいと。ショートボブは怯えて動けなかったが花藤が自分でやるかとロングヘアーに歩み寄るとショートボブは慌てて三人のスマートフォンを回収し花藤へと差し出した。

花藤は三台のスマートフォンを受け取るとフェンスへと歩み寄りそれらを隅田川に投げ捨て、ついでに壊れ切ったスピーカーも川の中へと投げ捨てた。

そしてタバコを一吸いしてから川に吐き捨てると四人の外人達には目も向けずに歩き去る。


公園の端までくると控えめで静かにアコースティックギターを弾いている外人男がいた。

ユーガッタフレンドミーか。

男は優し気な歌声を披露した。それは通りかかった数人の足を止めさせるくらいには美しかった。

花藤もその一人だったが周囲の人年齢を見るにCGアニメではなく銀髪で白人の老人を思い浮かべているのは花藤だけだっただろう。

ほんの1分か2分だったが花藤を爽やかな気分にさせるには十分すぎるほど静かで美しかった。

花藤はポケットに手を突っ込み500円玉を取り出し男の前に置かれていたギターケースに投げ入れた。

「I'm very happy with it.」

ギター男は笑みを浮かべ、花藤は右手の親指を立てて返した。

「So beautiful. 」
















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