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第90話 全国への静かな広がり
同日午後 町役場 会議室
定例会議に、全国から問い合わせが来ていた。
「今月だけで、23の自治体から視察依頼です」
町長の田沼が資料を見せる。
「『祢古町モデル』として、注目されています」
黒田大佐も同席していた。彼は今、防衛省ではなく、内閣府の異文化共生推進室の室長になっている。
「政府としても、祢古町の成功を評価しています」
「ただし、性急な全国展開は避けたい」
美久が頷く。
「そうですね。それぞれの地域には、それぞれの事情がある」
「画一的なやり方では、うまくいきません」
クロード長老も同意する。
「我々も、全国の猫人間に呼びかけていますが」
「『焦るな、祢古町を見習え』と伝えています」
ユイが付け加える。
「大切なのは、対話です」
「相手を知り、理解し、共に歩む」
「それには時間がかかります」
ルナが具体的な提案をする。
「視察は受け入れますが、少人数で」
「そして、必ず猫カフェでお茶を飲んでもらいましょう」
「リラックスした雰囲気で、本音を聞けますから」
翔太も意見を述べる。
「記録も大切です」
「成功例だけでなく、失敗例も」
「全てを包み隠さず伝えることで、他の地域の参考になります」
会議の結果、「祢古町式共生マニュアル」を作ることになった。
ただし、それは「こうしなさい」という命令ではなく、「こんな方法もありますよ」という提案集。




