第82話 ルナの小さな魔法教室
祢古町公民館 午後3時
古い木造の公民館の一室で、ルナの魔法教室が開かれていた。
畳の部屋に、小さな机が並べられ、10人ほどの子供たちが正座している。年齢は5歳から12歳まで。人間の子供が7人、猫人間の子供が3人。
「今日は、光の玉を作ってみましょう」
ルナが優しく説明する。
銀髪を後ろで結び、動きやすい服装。もう王女の格好ではなく、普通の先生のような姿だった。
「魔法って、特別な人だけのものじゃないんです」
「誰でも、心を込めれば、小さな魔法は使えます」
ルナが手本を見せる。
両手を合わせ、ゆっくりと開く。
すると、手のひらの間に、小さな銀色の光の玉が浮かんだ。
それは月光のように優しく、温かい光だった。
「わぁ、きれい!」
子供たちの目がキラキラと輝く。
7歳の人間の女の子、さくらちゃんが手を挙げる。
「先生、私にもできる?」
「もちろん。まず、心を落ち着けて」
「楽しかったことを思い出してみて」
さくらちゃんが目を閉じて集中する。
小さな手を合わせ、ゆっくりと開く。
すると、ほんの少しだけ、光が生まれた。
蛍の光のような、小さな小さな光。
「できた!見て見て!」
「上手ですね、さくらちゃん」
ルナが優しく褒める。
猫人間の男の子、ミータンも挑戦する。
「僕も!僕も!」
彼の手からは、少し大きめの光が生まれた。
猫人間の方が、魔法への親和性が高いようだ。
「すごいね、ミータン」
人間の男の子、たかしくんが羨ましそうに言う。
「でも、たかしくんの光も素敵よ」
ルナが励ます。
「大きさじゃないの。気持ちが大切」
一時間の授業の最後、ルナが提案した。
「みんなの光を合わせてみましょう」
子供たちが作った小さな光を、中央に集める。
10個の光が一つになった瞬間——
大きな光の花が咲いた。
銀色の花びらが、ゆらゆらと舞う。
「わぁぁぁ!」
子供たちの歓声が上がる。
「これが、協力の魔法」
ルナが説明する。
「一人の力は小さくても、みんなで力を合わせれば、素敵なことができる」
「人間も、猫人間も、関係ない」
「心を合わせることが、一番の魔法なんです」
授業が終わって、子供たちが帰っていく。
「先生、来週も来るね!」
「楽しみにしてるわ」
さくらちゃんとミータンが、手を繋いで帰っていく。
人間と猫人間の子供が、自然に友達になっている。
これが、ルナの教える本当の魔法。
技術ではなく、心を繋ぐ魔法だった。




