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第77話 脱出と地上への帰還

四人は崩壊する施設を必死に駆け抜けた。


頭上から降ってくる瓦礫を、美久の光の盾が防ぐ。


足元で崩れる床を、ルナの月の魔法が一時的に固定する。


行く手を阻む炎を、ユイが最適な迂回路を見つけて回避する。


翔太は、残った体力を振り絞って走る。


耳を劈く崩落音、鼻を突く煙と埃、肌を焼く熱気。


五感すべてが危険を告げている。


「こっちです!」


ユイが猫の本能で安全な道を見つける。小さな体が、瓦礫の間をすり抜けていく。


「階段が崩れてる!」


「私が橋を作ります!」


ルナが月の魔法で、光の橋を作る。


翔太は体力の限界だったが、美久とルナが支えながら走る。


汗が目に入り、視界がぼやける。肺が燃えるように痛み、足がもつれる。


それでも、四人は走り続けた。


もう少し、もう少しで出口。


ついに、地上への階段が見えた。


しかし、その階段も崩れ始めている。


「間に合わない!」


その時、上から光が差し込んできた。


地上からロープが降りてくる。


「掴まれ!」


黒田大佐と自衛隊員たちが、救助に来ていた。


最後の力を振り絞って、ロープに掴まる。


引き上げられる瞬間、地下施設が完全に崩壊した。


ドォォォン!


巨大な陥没穴ができ、全てが地の底に消えていく。




地上 祢古町 早朝5時


四人が地上に飛び出した瞬間、朝日が顔を照らした。


眩しい光に目を細めながら、新鮮な空気を胸いっぱいに吸い込む。


土の匂い、草の香り、朝露の清々しさ。


生きている実感が、全身を包み込む。


「助かった...」


翔太が地面に膝をついた。


「本当に...生きてる...」


涙が止まらない。恐怖の涙ではない。解放の涙、そして感謝の涙だった。


振り返ると、地下への入り口が完全に崩落していた。


巨大な陥没穴だけが残り、もう、魂喰いの環は存在しない。


「終わった...」


美久が安堵の息をつく。


「本当に...終わったんだ...」


その時、空から声が響いた。


『見事です』


シロウ皇帝の魔法通信だった。


空中に、皇帝の姿が投影される。


『第三の試練「未来の希望を示す」、完了です』

『1000年の呪いを断ち切り、真の平和への道を開いた』

『あなたたちこそ、未来の希望そのものです』


地上では、住民たちが集まってきた。


地下の邪気が消えたことで、みんな正気を取り戻している。


失われた記憶も、少しずつ戻ってきている。


「美久様!」

「皆さん、ご無事で!」

「ありがとうございました!」


住民たちが、四人を囲む。


拍手が起こり、歓声が上がる。


「君たちは英雄だ!」


黒田大佐が敬礼する。


「日本を、いや、世界を救った」

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