第75話 翔太の覚悟と希望の爆発
決戦の転機
「違う!」
翔太が叫んだ。全身全霊を込めて。
「遅くなんかない!」
翔太が一歩前に出る。足はガクガクと震えているが、目は真っ直ぐコレクターを見つめている。
「俺も、承認欲求の化物だった!」
「数字ばかり追いかけて、本当の繋がりを知らなかった!」
「登録者数、再生回数、高評価の数...」
「それだけが、俺の価値だと思ってた!」
翔太の体から、さらに強い光が放たれ始める。
「でも、変われた!」
「ユイさんたちのおかげで、本当の仲間の意味を知った!」
「数字じゃない、心の繋がりを知った!」
「あなたも変われる!」
翔太が手を差し伸べる。
「ヒロシ君、一緒に生きよう」
「もう一人じゃない」
「俺たちが、君の仲間になる」
翔太の体から、さらに強い光が放たれた。
それは承認欲求が変化した、純粋な「繋がりたい」という願い。
白い光が、部屋全体を包み込む。
『まぶしい...』
飢餓の主が目を覆う。
その光に呼応して、培養槽の中の精神体たちも光を放ち始めた。
300年前の画家も、200年前の詩人も、100年前の音楽家も。
みんな、本当は誰かと繋がりたかった。認められたかった。愛されたかった。
その純粋な願いが、希望の光となって部屋中に満ちていく。
『これは...』
コレクターの声が震える。
『温かい...』
「みんな、今よ!」
美久が叫んだ。
三人と翔太、そして目覚めた精神体たち、さらに周平たち子供も加わり、全員の力が一つに融合した。
美久の陽の光——希望と生命の力 ユイの心を繋ぐ力——理解と共感の力 ルナの月の癒し——浄化と再生の力 翔太の純粋な希望——変化と成長の力
それらが螺旋を描きながら融合し、虹色の巨大な光の柱となった。
部屋の空気が振動し、壁が軋む音が響く。床が割れ、天井から瓦礫が降ってくる。
しかし、誰も恐れない。
全員が、一つの意志で結ばれている。
「合体技『永遠の絆』!」
光の柱が飢餓の主を包み込む。
それは攻撃ではなく、抱擁だった。
1000年の孤独を癒す、温かい抱擁。
『ああああああ!』
飢餓の主の絶叫が響き渡る。
しかし、それは苦痛の叫びではなかった。
『温かい...』
『1000年ぶりに...温かい...』
『お母さん...お父さん...』
『みんな...ごめんなさい...』
飢餓の主の異形の体が、少しずつ浄化されていく。
黒い触手が消え、埋め込まれた顔が解放され、光となって天に昇っていく。
最後に残ったのは、一人の少年の姿だった。
ヒロシ本来の姿。
『ありがとう...』
ヒロシが微笑む。1000年ぶりの、純粋な笑顔。
『やっと...眠れる...』
『やっと...家族に会える...』
ヒロシの体が、光の粒子となって消えていく。
しかし、完全に消える前に、ヒロシが言った。
『みんな...ありがとう...』
『もう...誰も...寂しくないね...』
そして、静かに消えていった。




