第74話 飢餓の主の正体と哀しき真実
追い詰められた飢餓の主が、ついに真実を語り始めた。
『知りたいか...私の正体を』
飢餓の主の体が変化し始める。
触手が収縮し、人間の形に近づいていく。黒い霧が晴れ、中から姿が現れる。
そして現れたのは——
一人の少年の姿だった。
10歳くらいの、痩せこけた少年。目は虚ろで、頬はこけ、骨が浮き出ている。
『私は...1000年前、最初に封印された子供だった』
少年の姿をした飢餓の主が、涙を流しながら語る。声は掠れ、震えている。
『名前は...ヒロシ』
『戦争で家族を失い、絶望の中で死んだ』
『でも、封印の呪術で、この地下に閉じ込められた』
『最初は一人だった...とても寂しかった...』
ヒロシの瞳から、黒い涙が流れる。
『だから、仲間を増やした』
『絶望を集めて、みんなを引き寄せた』
『もう、寂しくないように...』
『でも、みんなお腹が空いて...』
『感情を食べないと、消えてしまいそうで...』
美久が息を呑んだ。
「あなたも...被害者だったのね」
『最初は、ただ寂しかっただけなんだ』
ヒロシが続ける。
『でも、100年、200年と経つうちに...』
『飢餓だけが、生きている証になった』
『食べること、それだけが存在理由になった』
ルナが悲しそうに言う。
「1000年の孤独と飢餓...」 「それは、誰も耐えられない苦しみ」
『でも、もう遅い』
少年の姿が再び異形へと変わり始める。
『1000年の孤独と飢餓は、私を化物に変えた』
『もう、元には戻れない』
『これが、私の運命なんだ』
触手が再び伸び始める。
しかし、その動きには、先ほどまでの勢いがない。




