第64話 翔太の孤独な戦い
廃校舎 理科室
翔太は、ユイの声に勇気をもらって立ち上がった。
足はガクガクと震え、壁に手をついてようやく立っている状態。しかし、生きる意志だけは失っていない。
しかし、教室の外から子供たちの声が聞こえてきた。
足音が、どんどん近づいてくる。
『もうすぐ収穫の時間』
『翔太お兄ちゃん、美味しくなったかな』
『3日目、ちょうどいい』
ドアノブが回り始める。
ギィィィ...
扉が開いて、周平を筆頭にした子供たちが入ってきた。
全員の目が、緑色に光っている。手には、収穫用の道具を持っている。錆びた鎌、折れた包丁、鋭く尖った棒。
「観念して、僕たちの仲間になりなよ」
周平が不気味に微笑む。その笑顔は、子供のものとは思えない邪悪さを含んでいる。
「嫌だ!」
翔太が叫ぶ。残った力を振り絞って。
「俺はまだ...まだ諦めない!」
「誰かが助けに来てくれるって...信じてる!」
「無駄だよ」
周平が冷たく言う。
「300年間、誰も逃げられなかった」
「みんな、最後は諦めて、収穫された」
「君も、永遠に飢え続ける仲間になるんだ」
「それが、ここのルール」
子供たちが、じりじりと距離を詰める。
翔太は必死に抵抗するが、3日間の飢餓で体力は限界だった。
子供たちの力は人間を超えていた。小さな体から、信じられない力が発揮される。
黒い蔓のようなものが、床から生えてきて、翔太の体に巻き付いていく。
冷たく、ヌルヌルとした感触。生き物のように蠢き、体を締め上げる。
「うわああああ!」
翔太の絶叫が、廃校舎に響き渡った。




