表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
60/95

第60話 子供たちとの最初の遭遇

廃墟の路地裏


狭い路地裏を進んでいると、突然子供たちが現れた。


10人ほどの子供たち。年齢は5歳から12歳くらい。しかし、その目は全員、飢餓に満ちていた。瞳孔が開き、緑色に光っている。服はボロボロで、肌は青白い。


「あ、新しいごはんだ」


先頭の男の子が言った。声は無邪気だが、その裏に潜む飢餓感が恐ろしい。


「美味しそう」


「特にあの猫、いい匂いがする」


「ひさしぶりの、ごちそうだね」


子供たちが、じりじりと距離を詰めてくる。手には錆びたナイフや、折れた瓶を持っている。


ユイが震えた。


子供たちの心の声は、純粋な飢餓感に満ちている。罪悪感も、良心の呵責もない。ただ、食べたいという欲求だけ。


しかし、その奥底に、微かに人間性の欠片が残っているのも感じた。


『さみしい...』


『おかあさん...どこ...』


『いつになったら...かえれるの...』


「みんな、話を聞いて」


美久が優しく語りかけるが、子供たちは聞く耳を持たない。


「ごはん、ごはん」


「早く食べたい」


「もう、がまんできない」


リーダー格の少年が前に出た。10歳くらいの男の子で、他の子供たちよりも理性的な光が瞳に宿っている。


「僕は周平。300年前からここにいるんだ」


「300年...」


美久が息を呑む。


「新しいごはんが来るの、久しぶりだね」


「前に来た人は、すぐに食べちゃったから」


「でも、君たちは違う。特別な匂いがする」


周平の瞳が、一瞬人間らしい色を取り戻した。


「ねえ、お姉ちゃんたち」


「逃げた方がいいよ」


「ここにいると、僕たちみたいになっちゃう」


しかし、すぐに飢餓の色に戻る。


「でも、逃がさない」


「だって、お腹すいてるんだもん」


子供たちが一斉に襲いかかってきた。


三人は必死に逃げながら、別の道を探した。


子供たちは追ってこなかった。まるで、獲物を追い詰める遊びを楽しんでいるかのように、後ろで笑い声を上げている。


『にげて にげて』


『でも つかまえる』


『たのしい たのしい』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ