第55話 第三の試練の真の内容判明
最深部の扉の前
扉が完全に開く前に、シロウ皇帝の声が、突然響いた。
魔法による遠隔通信だった。映像が空中に浮かび上がる。
『聞こえますか、美久殿、ユイ殿、ルナ殿』
「陛下!」
『第三の試練の真実をお伝えする時が来ました』
皇帝の声は重い。顔には、深い後悔の色が浮かんでいる。
『「未来の希望を示す」とは、過去の呪いを断ち切ること』
『1000年前、戦争を止めるため、ある呪術が使われました』
『人々の負の感情を、地下に封印する呪術です』
美久が驚く。
「それって...」
『はい。当時の指導者たちが、苦肉の策として行ったこと』
『表面的な平和を保つため、憎しみや悲しみを地下に押し込めた』
『しかし、封印された感情は、独自の意識を持ち始めた』
『それが、魂喰いの環です』
皇帝の映像が、古い絵巻物を見せる。
そこには、恐ろしい光景が描かれていた。
地下に巨大な穴を掘り、そこに人々の負の感情を注ぎ込む様子。
最初は上手くいっていた。地上は平和になり、人々は笑顔を取り戻した。
しかし、100年後...
地下の感情が、意識を持ち始めた。
飢餓感という形で。
『最初の犠牲者は、子供たちでした』
『好奇心から地下に降りた子供たちが、戻ってこなかった』
『彼らは、魂喰いの環に取り込まれ、その一部となった』
ユイが震える。
「あの日記を書いた子も...」
『はい。そして、時が経つにつれ、魂喰いの環は成長した』
『今では、自ら感情を集める能力を持つまでに』
『コレクターは、その中心的存在』
『元は、最初に取り込まれた子供だったと言われています』
美久が理解した。
「つまり、1000年分の負の感情が、地下で一つの存在になった」
『その通りです』
『そして今、それが目覚めようとしている』
『もし完全に覚醒すれば、祢古町どころか、日本中の感情を食い尽くすでしょう』
『世界中の人々が、感情を失い、ただの抜け殻になる』
ルナが拳を握りしめる。
「それを防ぐのが、第三の試練」
『はい。しかし、方法は一つしかありません』
皇帝の表情が、さらに重くなる。
『魂喰いの環の中心に行き、コレクターと対話すること』
『そして、彼の1000年の飢餓を癒すこと』
『戦いではなく、理解と共感によって』




