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第52話 ナイルの力の暴走

地下通路の中層


さらに深く進むと、空間が広がった。


巨大な空洞で、天井は見えないほど高い。壁には無数の穴が開いていて、その奥から微かな光が漏れている。


突然、ナイルが苦しみ始めた。


「うああああ!」


彼の体から、制御不能のハーモニー・コアが放出される。虹色の光が、意思を持ったかのように動き回る。


それは地下の「何か」に吸い込まれていく。


光の帯となって、螺旋を描きながら、空洞の底へと流れていく。


「ナイル様!」


美久が助けようとするが、ナイルが止めた。


「来ないで!私の力が...完全に乗っ取られてる」


ナイルの瞳が、一瞬虚無に戻った。黒い穴のような瞳が、三人を見つめる。


「やっと分かった」


声が変わった。ナイルの声ではない、もっと古い、もっと邪悪な何か。


「私は最初から、これの『餌係』にされていたんだ」


「調和の神として転生させられたのも、全て計画の内」


「誰の計画?」


美久が震え声で尋ねる。


「それは...」


ナイルが下を指差した。


「もっと深い場所にいる、本当の支配者」


「『魂喰いの環』の中心」


「コレクターと呼ばれる、収集家」


その瞬間、ナイルの体が宙に浮いた。


見えない糸に吊られたように、手足が不自然に動く。


「私の役目は終わった」


「これからは、あなたたちが主役」


「最高の感情を、捧げてもらう」


ナイルの体が、人形のように階段を降りていく。


「ナイル様!」


三人は後を追った。

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