第46話 復興祭当日、表面上の大成功
祭り当日 春分の日 昼
春分の日、祢古町は祭り一色に染まった。
朝から快晴で、桜も満開。まさに祭り日和だった。
屋台が並び、太鼓の音が響き、子供たちの笑い声が溢れる。焼きそばの香ばしい匂い、綿あめの甘い香り、金魚すくいの水音。五感すべてを刺激する、賑やかな祭り。
表の住民も、地下の猫人間も、古代王国の使者も、みんな一緒に祭りを楽しんでいた。
「大成功ね!」
美久が喜ぶ。浴衣姿の美久は、いつもより華やかで美しい。
確かに、表面上はこれ以上ない成功だった。
人間の子供と猫族の子供が一緒に遊び、大人たちも談笑している。
屋台では、人間の料理と猫族の料理が並んで売られ、どちらも大人気。
舞台では、三つの世界の芸能が披露される。人間の和太鼓、猫族の月光舞踊、古代王国の魔法ショー。
シロウ皇帝も満足そうに頷いている。
「見事です。第三の試練は...」
しかし、ユイが手を上げた。小さな前足を、精一杯高く上げる。
「待ってください」
「みんなの心の声を、もう一度聞かせてください」
ユイが翻訳能力を最大限に発揮すると、恐ろしい真実が見えた。
参加者たちの心は「楽しい」と言っているが、その奥に巨大な「空洞」があった。
まるで、感情のエネルギーが何かに吸い取られているような。
佐藤会長の心『楽しい...でも空っぽ...』
山田さんの心『幸せ...なのに満たされない...』
子供たちの心『わーい...でも疲れた...お腹すいた...』
そして、その吸い取られた感情が、地下へ地下へと流れていく様子が見えた。
まるで、巨大な掃除機が、地下から感情を吸い上げているかのよう。
「これは...」
その時、ナイルが膝をついた。
「もう...限界です...」
ナイルの体から、制御不能のハーモニー・コアが暴走し始めた。
虹色の光が、竜巻のように渦を巻く。
そして、地面が震え始めた。




