第42話 住民たちの奇妙な疲労感
2週間後 準備委員会 夕方6時
祭りの準備は順調に進んでいた。屋台の配置、出し物の内容、すべてが円滑に決まっていく。会議室には、完成した祭りのポスターが貼られ、スケジュール表が整然と並んでいる。
「本当に対立が起きませんね」
美久が感心している。いつもなら、どこかで意見の相違があるはずなのに。
「ナイル様のハーモニー・コアのおかげです」
佐藤会長が満足そうに言った。しかし、その顔色はどこか悪い。
会議中、ナイルは部屋の隅で静かに瞑想していた。虹色のオーラが彼を包み、それが波紋のように広がって参加者全員を包んでいる。
しかし、会議が終わると、参加者たちがひどく疲れた様子を見せた。
「なんだか、すごく眠い...」
山田さんが大きなあくびをする。
「私も。楽しかったはずなのに、記憶が曖昧...」
鈴木青年団長が頭を押さえる。
「さっきまで何を話してたんだっけ?」
ユイが心の声を聞くと、さらに奇妙なことが分かった。
参加者たちの心に、ところどころ「空白」があるのだ。
まるで、記憶や感情の一部が「食べられた」ような欠落。
山田さんの心『楽しい...でも何かが欠けてる...』
鈴木さんの心『充実してる...なのに空虚...』
高橋さんの心『みんなと一緒...でも孤独...』
「美久さん、ルナちゃん」
ユイが小声で二人を呼んだ。
「みんなの心に、穴が開いてるんです」
「穴?」
「感情や記憶の一部が、まるで何かに食べられたみたいに消えてる」
美久が青ざめた。
「それって...」
「コレクターの仕業かもしれません」
ルナが警戒態勢を取る。
「でも、コレクターは封印されたはず...」
その時、ナイルが苦しそうにうめいた。
「うっ...」
額に脂汗が浮かび、体が小刻みに震えている。
「ナイル様!」
美久が駆け寄る。
「大丈夫...です...」
ナイルが苦しそうに言う。
「ただ...ハーモニー・コアが...」
「制御が...難しくなってきて...」




