第41話 子供たちとの触れ合いと小さな異変
1週間後 祢古町小学校 午後3時
ユイは子供たちに猫語を教えるボランティアを始めていた。廃校になりかけていた小学校に、再び子供たちの声が響く。
教室の黒板には、猫の鳴き声と意味が書かれている。
「みんな、猫の『ありがとう』は『にゃーん』って言うんだよ」
子供たちが楽しそうに真似をする。
「にゃーん!」
「上手!じゃあ次は『おはよう』」
「みゃあ〜」
子供たちの純粋な笑顔に、ユイの心も温かくなる。
しかし、授業の途中で奇妙なことが起きた。
7歳の男の子、たろう君が、突然ぼんやりとした表情になった。瞳の焦点が合わなくなり、まるで夢遊病のような状態。
「たろう君、どうしたの?」
「...お腹すいた」
声が機械的で、感情がこもっていない。
「え?給食食べたばかりでしょ?」
「でも...すごくお腹すいた...」
「もっと...もっと食べたい...」
そして、次の瞬間には普通に戻った。瞳に光が戻り、いつもの元気な男の子に。
「あれ?僕、何か言った?」
同じようなことが、他の子供たちにも時々起きていた。
特に、とても楽しそうに笑った後に、急に元気がなくなる子が多い。まるで、楽しい感情を何かに「吸い取られた」かのように。
10歳の女の子、さくらちゃんが言った。
「先生、なんか最近、楽しいのに疲れるの」
「笑った後、すごく眠くなる」
「夢でね、誰かが『ごちそうさま』って言うの」
ユイの背筋が凍った。
(これは...まさか...)
放課後、ユイは学校の周りを調査した。
すると、校舎の裏の壁に、小さな落書きを見つけた。子供の字のような、拙い文字。
『きょうも おいしかった』
『あしたも たべたい』
『もっと もっと』
そして、その下に小さく...
『コレクター』
ユイは震えた。第一の試練で倒したはずのコレクターの名前が、なぜここに?




