表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
30/95

第30話 美久の勇気ある告白

同日夕方 猫カフェ「ねこまち」


閉店後のカフェは、夕陽に染まって金色に輝いていた。テーブルの上には、お茶とお菓子が用意されている。


美久は、最も信頼できる常連客の田中さんを呼んでいた。60代の優しい女性で、毎日のようにカフェに通ってくる。猫たちからも慕われている、心優しい人だった。


「田中さん、実は大切なお話があります」


美久は震える声で切り出した。手のひらには汗が滲み、心臓が早鐘を打っている。


「なあに?美久ちゃん」


田中さんが優しく微笑む。皺の刻まれた顔に、慈愛の表情が浮かんでいる。


「何でも聞くわよ」


「私...普通の人間じゃないんです」


美久は意を決して、アミュレットを見せた。古代の紋様が刻まれた銀のアミュレット。それが急に光り始める。


「これは、1000年前から受け継がれた、陽の巫女の証です」


「陽の巫女?」


田中さんが首を傾げる。


美久は深呼吸をして、アミュレットの力を少しだけ解放した。


金色の光が美久を包み、彼女の姿が変化する。髪が光り輝き、瞳が金色に染まる。そして一瞬、背後に巨大な太陽の幻影が現れた。1000年前の陽の巫女ミクの姿が、現代の美久に重なって見える。


部屋の中の植物が一斉に花を咲かせ、時計が逆回りを始め、空間そのものが震える。


「まあ...」


田中さんは驚いたが、恐れる様子はなかった。むしろ、感動したような表情を浮かべている。


「美久ちゃん、あなたって特別な子だと思っていたけど...」


「こんなに美しい力を持っていたのね」


「怖くないですか?」


美久が不安そうに尋ねる。


「どうして?」


田中さんが優しく美久の手を取った。温かい手のひらが、美久の震えを止める。


「あなたは、いつも優しい美久ちゃんでしょう?」


「特別な力を持っていても、それは変わらない」


「むしろ、そんな秘密を打ち明けてくれて嬉しいわ」


その時、ユイが現れた。小さな黒猫の姿で、窓から飛び込んでくる。


「美久さん、大丈夫ですか?」


人間の言葉を話す猫を見て、田中さんは一瞬驚いた。


「きゃあ!猫がしゃべった!」


でも、すぐに目を輝かせた。


「まあ、可愛い!あなたがユイちゃんね?」


「は、はい...」


ユイも田中さんの反応に戸惑った。


「美久ちゃんから聞いたことがあるわ」


「特別な友達がいるって」


田中さんは膝をついて、ユイと目線を合わせた。


「初めまして、ユイちゃん」


「私は田中よ。よろしくね」


その自然な受け入れ方に、ユイは感動した。


「田中さん...ありがとうございます」


「実は、もっとお話があるんです」


美久が続ける。


「この世界には、人間だけじゃなく、猫族という存在もいて...」


「そして今、三つの世界が統合されようとしています」


田中さんは真剣に聞いていた。時折頷きながら、理解しようと努めている。


「それで、私に何かできることがあるの?」


「はい。他の人たちにも、少しずつ理解してもらいたいんです」


「平和的に、世界を繋げるために」


田中さんは微笑んだ。


「もちろん、協力するわ」


「私の友達にも、きっと理解してくれる人がいるはずよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ