第27話 いざ、第一の試練へ
試練当日 早朝 祢古町郊外
朝靄が立ち込める中、三人は祢古町の戦場跡地に立っていた。
一見、普通の広場に見える。しかし、霊感のある者には分かる。ここには、深い悲しみと怒りが渦巻いている。地面から立ち上る瘴気が、肌をちりちりと刺激する。
「始めましょう」
美久がアミュレットを掲げる。金色の光が朝靄を貫く。
ルナが月の杖を構える。銀色の光が地面に魔法陣を描く。
ユイが翻訳の構えを取る。全ての声を聞き、伝える準備。
三人の力が一つになった時、景色が変わった。
現代の風景が薄れ、1000年前の戦場が目の前に現れた。
血に染まった大地、折れた剣、砕けた杖。人間と猫族が争い、悲鳴が響き、血が流れる。地獄のような光景。
その中心に、若き日のミクとユリ王女の姿があった。
「やめて!戦いをやめて!」
必死に止めようとする二人。しかし、憎しみの連鎖は止まらない。
そして、最後の瞬間。ユリ王女が、ミクを守って致命傷を負う場面。
「ミク...生きて...」
「ユリちゃん!」
1000年前の記憶が、生々しく蘇る。
美久が涙を流す。
「これが...1000年前の真実」
「でも、今なら変えられる」
ユイが前に出た。小さな体から、強い光が放たれる。
「皆さん!聞いてください!」
ユイの声が、時空を超えて響いた。
「戦いは終わりました!もう、憎み合う必要はありません!」
ルナが月の光で、戦場を優しく包む。
「安らかに眠ってください」
美久が陽の光で、傷ついた魂を癒す。
「許し合いましょう。そして、前に進みましょう」
そして、ユイが全ての魂の声を翻訳し、伝え合う。
『もう、疲れた...』
『家族に会いたい...』
『許してほしい...』
『許します...』
憎しみが許しに変わり、怒りが悲しみに変わり、そして最後には...
安らぎに変わった。
1000年の怨念が、ゆっくりと浄化されていく。
「ありがとう...」
無数の声が、感謝の言葉を残して天に昇っていく。
しかし、その時。
地面の奥深くから、不気味な声が響いてきた。
『おなかすいた...』
『もっと...もっと...』
『たべさせて...』
コレクターの声だった。
第一の試練は完了した。しかし、それは新たな戦いの始まりでもあった。
「急いで、第二、第三の試練も完了させないと」
美久が言った。
「コレクターが、完全に目覚める前に」
三人は頷いた。
運命の戦いは、まだ始まったばかりだった。




