第26話 第一の試練への準備と不吉な前兆
王宮作戦会議室 修行開始から1週間後
「では、第一の試練について説明します」
シロウ皇帝が古い地図を広げた。羊皮紙に描かれた地図は、1000年前の戦場を示している。
「『過去の罪を償う』...これは、1000年前の戦場跡地に残る怨念を浄化することです」
地図に示された場所は、現在の祢古町の中心部だった。
「あそこに、怨念が?」
美久が驚く。
「はい。人間と猫族、両方の魂が今も彷徨っています」
「戦争で命を落とした者たちの、憎しみと悲しみが」
「1000年経った今も、消えずに残っている」
皇帝の表情が重くなる。
「彼らを成仏させなければ、王国の復活は叶いません」
「そして...」
皇帝は地図の隅を指差した。そこには小さく、不吉な印が描かれている。
「ここに、『魂喰いの環』の一部があります」
「コレクターが残した、罠のようなもの」
「もし怨念が一定以上集まれば...」
「コレクターが復活する可能性があります」
美久の顔が青ざめた。
「私の...私のせいで死んだ人たちも?」
「美久様のせいではありません」
皇帝が優しく言った。
「戦争に、一人だけの責任者などいません」
「みんなが、それぞれの正義のために戦った」
「その結果が、悲劇を生んだのです」
「でも...」
「美久さん」
ユイが美久の手を取った。
「今度は、私たちがいます。一緒に償いましょう」
「そうです」
ルナも加わった。
「三人なら、きっとできます」
「過去の悲劇を、未来への希望に変えられます」
美久は涙を拭いて、頷いた。
「そうね...みんなでやりましょう」
その時、クロード長老が慌てて入ってきた。
「陛下、大変です!」
「どうした?」
「祢古町で、異変が起きています」
「住民たちが、奇妙な夢を見始めました」
「『お腹すいた』という子供の声が聞こえる夢を」
三人は顔を見合わせた。
「コレクター...」
「動き始めたのかもしれません」
皇帝が立ち上がった。
「急ぎましょう。第一の試練を、すぐに開始します」
「時間がありません」




