第22話 猫皇帝との謁見
古代猫王国 王宮謁見の間
扉の向こうは、まさに別世界だった。
壮大な石造りの都市、澄んだ空気、そして時間の流れさえも違って感じられる神聖な空間。空には二つの太陽が輝き、建物は全て白い大理石で作られている。噴水からは清らかな水が湧き出し、その水音が心地よい。
王宮への道のりは、まるで夢の中を歩いているようだった。道の両側には、猫の姿をした衛兵が整列している。皆、直立二足歩行で、銀色の鎧を身に着けていた。
「お待ちしておりました」
謁見の間には、純白の毛を持つ威厳ある猫が座していた。体格は普通の猫の3倍はあり、額には金色の王冠が輝いている。
「私は第27代猫皇帝、シロウ・ザ・グレートです」
その存在感は圧倒的だった。声には千年の歴史の重みが感じられ、瞳には深い知恵が宿っている。
「陽の巫女ミク様、そしてユリ王女の転生者よ、お帰りなさい」
「私が...ユリ王女の?」
ユイが驚くと、皇帝は優しく微笑んだ。白い髭が揺れ、金色の瞳が慈愛に満ちた光を放つ。
「あなたの首の紋章が、その証です。1000年の時を経て、再び出会えたことを嬉しく思います」
皇帝は立ち上がり、二人に近づいた。大理石の床に、爪の音が響く。
「しかし、喜んでばかりもいられません」
皇帝の表情が厳しくなった。
「我が王国は、間もなく封印が解けます」
「封印が解けると?」
「三つの世界が強制的に繋がります。準備なしにそれが起これば、再び戦争になるでしょう」
皇帝は謁見の間の壁を示した。そこには、1000年前の戦争の様子が描かれた壁画がある。
「そして、もっと恐ろしいことに...」
皇帝の声が重くなった。
「コレクターが完全に目覚める可能性があります」
「コレクター...」
美久が震え声で言った。
「はい。あの存在は、1000年前の封印で完全には倒せませんでした」
「今も、どこかで力を蓄えているはずです」
「人々の負の感情を食べて、成長し続けている」
皇帝は古い書物を取り出した。表紙には『魂喰いの環』と書かれている。
「これが、コレクターの正体です」
ページを開くと、恐ろしい絵が描かれていた。巨大な口のような存在が、無数の魂を吸い込んでいる。
「それを防ぐため、三つの試練をクリアしていただきたいのです」
「試練?」
「第一の試練は『過去の罪を償う』」
「第二の試練は『現在の絆を結ぶ』」
「第三の試練は『未来の希望を示す』」
「これらをクリアすることで、平和な統合への道が開かれます」
「そして、コレクターに対抗する力も得られるでしょう」




