↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/31

第十八話 骸骨だらけ

 8階層の光景は目を疑うほどだった。一昨日とは全く違う光景。目の前にあるのは、骸骨、骸骨、骸骨……。


「さ、さすがにすごいですね……」


 モモカさんが圧倒されるようにそう言う。

 9階層に入ったときよりも多いんじゃないか……?


「来るぞ……!」


 骸骨(スケルトン)の一部がこちらに気づいた。既に攻撃してくる気満々だ。


「発動しておきますよ!『守護者(ガーディアン)』


 モモカさんの言葉が耳に入る。

 実際、モモカさんの『守護者(ガーディアン)』は発動しても空間にも自分自身のパラメータにも変化はないから、発動の実感が持てない。これは、本人もそうらしい。空間内部で攻撃が行われたとしても、痛みを感じないから分からない。結局、俺たちが何もダメージを受けないという事実から、うまく発動できていることが分かるということらしい。


「とりあえず、最初はいつも通りやりましょうか!」


「そうだな。『狂化』と賢さの振り分け。今回はモモカさんもいるから防御力もそれぞれに振り分けよう!」


「じゃあ、行きますよ!『狂化』」


 そのユイの発言に合わせて俺もいつも通り『平均化』を使用する。


 今、使ってみて分かったことが一つ。

 俺とユイの二人で使うときよりも明らかに考えることができている。

 モモカさんの賢さも一緒に『平均化』しているからだろう。これ、仲間が増えていけばいくほど考えられるようになっていくのかもな。『狂化』を使っている間でも、作戦を考えることができるようになっていそうだ。

 その変化をユイも感じているのか、動きが普段よりも滑らかに見える。


 とりあえず、モモカさんは入り口のところで待機。俺たちが前に向かって攻撃をする。

 モモカさんのスキルの効いている場所から離れれば俺たちの攻撃も骸骨(スケルトン)には通る。


「いいですね!少し敵からの攻撃が当たっても全然痛くない!」


 ユイはモモカさんのスキルの効き目も感じているらしい。うん。いい感じだ。

 俺も、次々に向かってくる骸骨(スケルトン)を一人一人倒していく。

 しかし……数が本当に多いな……。

 これだけの数を相手にすると、ショウならとてつもなく強くなっていただろうし、魔力切れを起こしてしまったという話も納得できる。

 500体ぐらいいるんじゃないか……?

 俺も、攻撃を繰り返し続けるが、さすがに疲れてくる。そして、疲れてきても全く骸骨(スケルトン)の数は減っていく感じがしない。

 やばい……心が折れそう……。


 そのまま、延々と続くのではないかと思える攻撃を繰り返していくうちに、『狂化』の効果が切れてしまった。

 思考力がほぼ変わらないから、攻撃が少し通りづらくなったことからしか判断できなくなっているが、確実に効果時間が終わったようだ。


「ユイ、一旦モモカさんの所に戻るぞ。このまま続けていてもらちが明かない。少し作戦会議だ」


「あ、分かりました!」


 俺たちは、攻撃を止めるとすぐに後ろに戻る。『狂化』の効果は終わっていたとしても、『守護者(ガーディアン)』の効果は切れていないから、攻撃されることなんてほとんど気にせずに戻ることができる。本当に便利だな、『守護者(ガーディアン)』


 モモカさんに近づくと、その骸骨(スケルトン)の数に圧倒される。『平均化』の効果でモモカさんの攻撃力も上がっているから戦えば倒せるはずなんだけど……あっ『守護者(ガーディアン)』の効果が発動してるから、範囲内の敵は倒せないんだった……。


 俺たちは、どんなに攻撃を受けても倒れない不死身の軍隊になっている骸骨(スケルトン)の群れをかき分けてモモカさんのもとにたどり着く。


「だ、大丈夫ですか?」


 モモカさんは顔をふさいで倒れこんでいる。もしかして、やられてしまったのか?いや、『守護者(ガーディアン)』は発動したままだから大丈夫か。


「あ、コウヘイさん。ユイさん。大丈夫です。いや……さすがにここまで多くの骸骨(スケルトン)が自分を襲ってくるのは、たとえダメージを受けないとしても気持ち悪くて……。うずくまって耐えてました」


「びっくりしましたよ!やられちゃったかと思ったじゃないですか!」


 ユイの言葉に、更に申し訳なさそうになるモモカさん。まぁ、無事でよかった。


「ちょっと、ここじゃあ作戦会議っていうのもやりづらいですね……。7階層に戻りますか……」


 俺の提案に二人がうなずく。たとえ、攻撃を全く受けないとしても、さすがに敵の群れの中にずっといられるほど俺たちは精神力が強くない。


 それから、7階層に戻ると、俺たちは状況を整理する。


「とりあえず、数はすさまじいものの、ダメージは一切受けないことが分かりましたね」


 ユイが言うその言葉に俺もうなずく。


「そうだな。モモカさんのスキルがあれだけ強いとは思わなかった。すごい防御力ですね」


「私としては、いつもよりも少し痛みを感じるかな?といった気はするのですが、お二人が問題ないならよかったです」


「あ、そうなんですね。それだと、相手の攻撃力が強くなると少しは傷を受けてしまうかもしれませんね……」


「そうですね……とりあえず骸骨(スケルトン)に対しては有効ですが、これが骸骨将軍(スケルトンジェネラル)相手になってもダメージを受けないかは分からないと思います」


 そうか……その辺は9階層にたどり着いてみないと分からないよな……。


「ただ、とにかく数が多いんですよね……あれ、倒し続けてたらすぐに時間が経っちゃいますよ……」


 ユイがそう嘆くが実際その通りだ。俺たちは2分間ずっと攻撃し続けたわけだけれど、倒せた数は二人合わせて100体ほどだと思う。最初は500体ぐらいかと思ったけど、あれだけ攻撃しても数が減っている様子が見えないってことは、奥の方にはまだまだいると考えた方がよさそうだ。


「どうしますかね……」


 確かに、何度も何度も同じことを繰り返せば全て倒せるのかもしれない。だけど、それには時間がかかりすぎる。ダメージを食らわないとしても、スタミナは減っていくからな……。これで終わりってわけじゃないことを考えると、できる限り時間はかけたくない。


「倒さないで8階層は突っ切るっていうのはどうですか?結局、討伐対象は骸骨将軍(スケルトンジェネラル)なんだし、別に8階層の骸骨(スケルトン)軍団を相手にする必要ないんじゃ……」


 あぁ、考えてなかったな。確かに、ずっと『守護者(ガーディアン)』を発動した状態なら、全くダメージを受けることなく突っ走ることも可能だろう。


「いえ。骸骨将軍(スケルトンジェネラル)は自分の軍勢の数だけ力が上がります。確かに、骸骨(スケルトン)ではその伸びは少ないといっても、あれだけの数が生きている状態だと相当実力が上がってしまっていると考えられます。相手の強さを削るという意味でも8階層の大軍は出来るだけ倒した方がいいと思います」


 俺は作戦の方法としてはありかと思ったけれど、モモカさんが却下してしまう。

 ユイは自分の提案が却下されて残念そう。


「いや、ユイさんの作戦も相手が骸骨将軍(スケルトンジェネラル)ではないのであれば有効だと思いますよ。なんか、少し冷たい言い方になってしまった申し訳ありません……」


「あ、大丈夫ですよ。少し残念に思っただけで、別にモモカさんの言い方が気になったとかじゃないですから。だけど、うーん……どうすればいいですかね……」


 作戦が思いつかなくて、俺たちは黙り込んでしまう。

 とにかく剣をふり続けるわけにはいかない、かといって強行突破するわけにもいかない。範囲攻撃できる技を持たない俺たちでは、これ以上の作戦はないんじゃないか?

 ここは、一旦戻って範囲攻撃の使える仲間をスカウトするっていう方法もあるかもしれないよな……。


「範囲攻撃が使える人をスカウトしましょうよ!そうだ、そうすればいいんですよ!」


 ユイも俺と同じことを考えていたらしい。


「いえ……それも……人数が増えるとどうしても私のスキルの効果に不安が出てくると思うんです。いつかはそういったことも必要かもしれませんが、とりあえず今回は仲間を増やしすぎるのは危険だと思います……」


 あぁ、そうだよな。モモカさんは普段よりも少し痛みを感じたと言っていた。そうなると、味方の数を増やして、一人一人の防御力が下がるとどうなるか想像がつきづらい……。

 え?やっぱり、俺たちじゃあ無理なんじゃない?


「範囲攻撃ということだと、一つ私に考えがあるのですが……」


 モモカさんが言いづらそうにそう話しだす。


「え?なんですか?話してください」


 ユイも興味深そうに身を乗り出している。


「えーっとですね……」


 モモカさんの作戦を聞いた俺たちはうなずいた。そうか、その手があったな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。