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第三十三話 始動

バベルタワーを出る。


第一街区の空は青かった。


整備された道路。近未来的な街並み。


行き交う人々の笑顔は他の街も変わらないが


藤崎には薄っぺらく見えた。


高木は隣を歩いていた。


暫く無言だったが、大きくため息を吐く。


「はぁ……」


高木は頭を掻いた。


「何でよりによって代表者じゃなくてお前なんだよ」


その言葉に。藤崎は少しだけ笑った。


「不満か」


「そりゃな」


「俺が統治者になる予定だったんだぞ」


「それはお前の妄想だろ。俺もまだ実感は湧かない。

システムの異常かもな。ともかく、決定事項だ。」


高木は肩を落とした。


数秒の沈黙。高木が吹き出した。


「ははっ、まぁ…俺も何となくわかってたのかもな。

お前が何度俺に反抗してきても切り捨てなかったのは、お前の中にある『何か』に惹かれてたんだ」


そして。少しだけ真面目な顔になる。


「なぁ、本当にやるのか」


藤崎は静かに答えた。


「俺は、世を正すための機能に過ぎない」


高木は眉をひそめる。


「機能ねぇ」


藤崎は続ける。


「だから、お前と俺は対等だ。」


黒いスマホを握る。


No.0。


その数字は重かった。


「協力者として手伝ってくれ、高木」


「ん?」


藤崎はとある男を睨みつける。


街の一角の酒場、真昼間から酒を飲み。


店員を怒鳴りつけ、周囲を威圧している男がいた。


沢田。


あいを虐待していた男だ。


藤崎はその姿をじっと見ていた。


「まずはこの街からだ。この世界に不必要なゴミは片付ける必要がある。」


高木も男を見る、そして。

小さく鼻で笑った。


「なるほどな」


しばらく黙る。


そして。両手を頭の後ろで組んだ。


「まぁ、ここ数ヶ月で実感したよ。俺は現場向きだ。会議とか性に合わねえし」


藤崎は黙って聞いていた。


高木は笑う。


「でも、どうすんだ。一街区の住民を強制同期でもすんのか?」


「いや、もうそんなフェーズじゃない。不必要な物は排除する。その仕組みは先程作ってきた。」


「お前の理想の世界を作ってやれる。高木、力を貸せ。」


藤崎はスマホの画面。自身の適正を見せた。


高木はどこか不敵な笑みを浮かべた。


「よくわかんねぇけど、楽しめそうだ。ついていくぜ」


そして。初めてその名を呼んだ。


「ゼロ」

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