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第十六話 回収班

雨は止む気配がなかった。


俺たちはアパートへ急いでいた。


榊の表情は珍しく険しい。


安田も無言だ。


他の保持者たちも皆、鬼気迫る表情をしていた。




アパートが見えた。


その瞬間。


俺は思わず駆け出した。




「……いた」




街灯の下。


あいが立っていた。




無事だった。




胸の奥に溜まっていた不安が一気に抜ける。




「ふじさきさん!」




あいが手を振る。


その手には一本の傘。




「なんで外に出てるんだ!」




思わず声が大きくなる。




あいは少しだけ困った顔をした。




「ごめんなさい」




そして傘を差し出す。




「わすれもの、です」




「……え?」




「かさ」




あいは当然のように言った。




「ふじさきさん、もっていかなかったから」




俺は言葉を失う。




雑居ビルへ向かう時。


確かに傘を忘れた。




そのせいで。




あいはわざわざ外に出てきたらしい。




「お前なぁ……」




呆れながらも少し笑いそうになる。




無事だった。




それだけでよかった。




「とにかく行こう」




俺はあいの肩を軽く押す。




「知り合いのところだ」




「?」




「安全な場所がある」




あいは意味が分からないながらも頷いた。




その時だった。




「安全な場所、ね。辿り着けるならそうかもな。」




知らない声がした。




全員の動きが止まる。




路地の奥。




白いレインコートを着た男たち。




一人。


二人。


三人。



次々と姿を現す。



気付けば十五人ほど。



完全に囲まれていた。



全員同じ刻印がされた白い国民スマホを腰に下げている。



回収班。一瞬でそう察した。



榊の顔色が変わった。



「最悪だな」



中央から一人の男が前へ出る。



背は高い。



傘を差している。



そしてその顔を見た瞬間。



俺の呼吸が止まった。



「……高木?」



男が笑った。



「おう」



懐かしい笑い方だった。



昔と変わらない。



だからこそ気味が悪い。



高木は俺を見る。



「久しぶりだな、藤崎」



そして周囲を見回した。



榊。


安田。


保持者たち。



最後にあいへ視線が止まる。



「反応がやたらデカいから来てみたんだが」



白いスマホを手の中で回しながら言う。



「これは思わぬ収穫だな」



その笑顔を見た瞬間。



俺は本能的に理解した。



こいつはもう、


俺の知っている高木じゃない。

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