表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【10万PV 百合小説】白百合の満開 ― 運命に咲く禁断の花【ヴィジュアル・ドラマチック・ノベル】  作者: 泉水
第3部 最後は愛がすべて

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/135

第86話 白百合家の優しい地獄 ― リフレッシュ食事会は大惨事!?

儀式の練習は、本当に体力を消耗した。

花芯合わせの段階になると、心・体・花の能力を同時にコントロールしなければならないため、

終わった後の四人は毎回ぐったりと疲れ果てていた。

そんなある日の放課後、白百合 桜良が皆を集めて、にこやかに言った。

「みんな、今日はお疲れ様。

 お母様から提案があったの。

 リフレッシュに、白百合家で簡単な食事会をしましょうって。

 咲良と紡、ゆかりとあかりの二組だけよ。

 ゆっくり食べて、力を蓄えましょう」

あかりが即座に両手を上げて喜んだ。

「わあ! 理事長様、ありがとうございます! 行きます行きます!」

ゆかりも少し緊張しながら微笑む。

「理事長様のお誘い……光栄です」

紡は琥珀の瞳を輝かせて桜良の手を握った。

「桜良さんのおうち……楽しみ……」

桜良は優等生らしい穏やかな笑顔で頷いたが、内心ではすでに小さな冷や汗をかいていた。

「お母様の優しさ」は、時に恐ろしいプレッシャーになることを、彼女はよく知っていた。


白百合家に到着した瞬間、四人はダイニングルームの光景を見て固まった。

円卓の上には、まるで宮廷料理のような豪華な和洋折衷のフルコースが20品近く並んでいた。

しかも一つひとつの皿に、麗華の手書きの小さなカードが添えられている。

『咲良の好きな白百合風味ハニーチキン♡』

『紡ちゃんの小さいお口に合わせた柔らか野菜テリーヌ』

『ゆかりちゃんの体に優しい藤色人参と紫芋グラタン』

『あかりちゃんの元気が出る特製栄養ゼリー』

そこへ、白百合 麗華(理事長)が気品たっぷりの笑顔で現れた。


挿絵(By みてみん)


「みんな、よく来てくれたわね。

 理事長としてではなく、咲良のお母様として、今日は存分にくつろいでちょうだい。

 ……もちろん、明日の訓練にも繋がるよう、栄養をしっかり摂ってね?」

その瞬間、四人の背筋が同時にピンと伸びた。

あかりが小声でゆかりに囁く。

「ゆかりちゃん……理事長様の『優しい笑顔』が……なんか怖い……」

ゆかりも顔を引きつらせながら返す。

「あかりちゃん……理事長様の優しさは、いつも優しすぎてプレッシャーなんだよね……」

桜良は完璧な笑顔を保ちながら、皆に声をかけた。

「みんな、お母様がわざわざ作ってくださったのよ。

 遠慮なく食べてね」

麗華は優しく微笑みながら、さらに追い打ちをかける。

「咲良の言う通りよ。

 みんな、守り人候補なんだから、体力が大事。

 あかりちゃんは特に元気いっぱいだから、たくさん食べてね。

 ゆかりちゃんも、従妹としてしっかり食べて、みんなのお手本になってちょうだい。

 紡ちゃんは小柄だから、野菜を多めに。

 咲良は……お母様が一番心配しているから、しっかり食べてね?」

四人は一斉に笑顔を固めた。

あかり(心の声)「……理事長様、優しいのに……言葉の一つ一つがスパルタ……!」

ゆかり(心の声)「……理事長様の視線が……重い……」

紡(小声で桜良に)「……桜良さん……私、もう3皿目で限界……」

桜良(微笑みながら小声で)「……紡、頑張って……お母様が見てる……」

食事は表向きは和やかだったが、実際は大惨事だった。

麗華が優しい声で「おかわりは?」と聞くたび、四人は笑顔で「ありがとうございます!」と言いながら、必死に口に詰め込む。

あかりは元気いっぱいに食べ進めていたが、5個目のチキンを頰張ったところで限界を迎え、

ゆかりの太ももを小刻みに叩きながら小声で叫んだ。

「ゆかりちゃん……助けて……お腹パンパン……理事長様の視線が……痛い……」

ゆかりも青い顔で返す。

「あかりちゃん……私も……理事長様が『ゆかりちゃん、ちゃんと食べてね』って微笑んでる……逃げたい……」

紡は小さな体で必死に戦いながら、桜良の袖をぎゅっと握る。

「桜良さん……デザート3種類目で……死にそう……」

桜良は優等生らしく完璧に食べ進めながら、こっそり紡の皿から野菜を自分の皿に移そうとするが、

麗華の優しい視線がすぐに飛んでくる。

「咲良、紡ちゃんの分まで食べないでね♡」

麗華は終始、最高の笑顔で紅茶を注ぎ足し、

「みんな可愛いわね。もっと食べて、もっと元気になって。

 満開が近づいているんだから、体力も大事よ?」

と、優しく、優しく、容赦なく追い詰めていく。

あかりがついに限界で、小声で絶叫した。

「うう……理事長様の優しさ……プレッシャー強すぎて……お腹より心がパンパン……!」

ゆかりがあかりの背中をさすりながら、必死に笑顔を作る。

「理事長様……本当に、ありがとうございます……(心の声:もう無理……雪乃お姉ちゃん助けて……)」

桜良と紡も、優等生コンビで必死に耐えながら、

時々視線を交わして「生きて帰ろう……」という無言の誓いを立てていた。

食事会の最後、麗華は満足そうに微笑みながら言った。

「みんな、よく食べたわね。

 次はもっと量を増やしましょうか?」

その瞬間、四人全員の顔が一斉に青ざめた。

あかり「……次……?」

ゆかり「……量を……増やす……?」

桜良「……お母様……」

紡「……(無言で桜良の袖をぎゅっと握る)」

白百合家の「優しいリフレッシュ食事会」は、

表向きは華やかで温かく、

裏では四人の少女たちが「理事長様の優しさのプレッシャー」に押しつぶされそうな、

非常にコミカルな戦いの場となっていた。

麗華は最後まで優しい笑顔を崩さず、

「みんな、明日も頑張ってね」と締めくくった。

四人は満面の笑顔で「はい!」と答えたが、

心の中では「リフレッシュ……どこへ行った……」と叫んでいた。

こうして、白百合家の優しい地獄は、無事(?)に終了したのだった――。


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ