第76話 生徒会の影 ― 世界の歪みと、紫苑の秘めた力
二日前。
白百合女学院・生徒会室。
柔らかな午後の光が、窓から差し込んでいた。
しかし部屋の空気は重く、緊張に満ちていた。
白百合 カンナは銀髪を静かに揺らし、紫がかった瞳で四人の生徒を見つめていた。
そこにいるのは、紫藤 楓、長身スレンダーで深い紫の瞳を持つ3年生。
橘 玲奈、明るい白髪と黄金の瞳を持つ健康的なスレンダー体型の3年生。
白藤 ゆかり、淡い藤色の髪の柔らかな3年生。
そして白百合 咲良、黒髪ロングに紫銀の瞳を持つ優等生の2年生。
「生徒会には、今の現状を伝えておきたいと思って呼び出したわ」
カンナの声は落ち着いていたが、言葉は重い。
「中東での戦争は依然として激しく続いている。
2月末に始まったアメリカとイスラエルのイランへの大規模攻撃は、報復の連鎖を生み、ホルムズ海峡の封鎖危機を引き起こした。
その影響で世界のレイラインが大きく乱れ始めている。
南半球ではその歪みの余波で大地震も発生したわ。
過去にも守り人の招集は何度かあったけれど、今回の規模はこれまでとは違う。
中守り人の増員が急務となり、高齢の引退者にも声がかかっている」
楓と玲奈は表情を引き締めた。
現役の中守り人として、二人は招集の可能性をすでに覚悟していた。
カンナは続ける。
「ゆかりはあかりちゃんと引き続き満開を目指して。
咲良は紡と、変わらず訓練を続けてちょうだい。
……そして、今回新たに選ばれた12組の中に、藤花 ひよりが含まれているわ」
ゆかりは親友からすでに話を聞いていたらしく、静かに頷いただけで態度を崩さなかった。
しかし咲良の紫銀の瞳が、一瞬、痛みを帯びた。
1年前、ひよりとの儀式で失敗した記憶が胸を刺す。
あの時、ひよりを傷つけてしまった後悔が、今も心の奥で疼いていた。
カンナは本題に入った。
「楓、玲奈。紫苑はちゃんと育っている?」
楓が穏やかに答える。
「花の力はかなり上がっています。私の特訓で、香りと微粒子の観察も上達しました」
玲奈が黄金の瞳を輝かせ、続ける。
「あの子は特別なもう一つの能力があるの」
カンナが眉を少し上げた。
「特別な能力?」
楓と玲奈は顔を見合わせて、くすりと笑った。
「紫苑はこれまで何人かの女の子とお付き合いして、SEXの経験が豊富なの。
そこで身に着けたテクニックと能力が……『包み込み癒される魔法のキス』。
2年の佐藤先生に練習をお願いしたら、佐藤先生ったらとろけすぎて失神しちゃったんですよ。
本当に優しくて、強い能力を秘めています」
玲奈が交互に説明を補うように付け加えた。




