第69話 紫苑の特訓 ~三つの香と輝く粒子~
白百合女学院の特別訓練室。
カーテンをしっかり閉め、柔らかな照明だけが灯る部屋の中で、藤ノ宮 紫苑は真っ赤な顔をして全裸で立っていた。
「うう……本当にこれ、必要ですか……?」
紫苑は深い紫色のロングヘアを高めのポニーテールにしたまま、両手で胸と股間を必死に隠そうとしている。
スレンダーな体が恥ずかしさで小刻みに震えていた。
向かい側では、すでに満開を達成している中守り人ペアの紫藤 楓と橘 玲奈が、ゆったりと椅子に座って観察していた。
楓は淡い藤色のセミロングを優雅に流し、知的な深い紫の瞳で紫苑の股間をじっと見つめながら言った。
「必要よ、紫苑。
花芯から出る香りと微粒子の輝きは、適性の状態をそのまま映す鏡だから。
さあ、脚をもう少し開いて。隠さないで」
玲奈は明るい白髪を揺らして元気よく笑った。
「そうだぞ紫苑! 恥ずかしがってる場合じゃないって!
ほらほら、もっと大胆に! わたしたちみたいに堂々と花芯開いてみせろ!」
紫苑は涙目になりながらも、しぶしぶ脚を少し開いた。
すると、二人の先輩の瞳が同時に輝いた。
「あら……」
楓が小さく息を飲む。
「おおっ! これは……!」
玲奈が身を乗り出した。
紫苑の花芯周辺から、三つの異なる香りがふわりと立ち上っていた。
1つ目は、紫苑特有の
「優しく包み込むような甘い紫苑の香り」。
2つ目は、少し荒々しい
「気性の荒い部分を表すスパイシーな蔓の香り」。
3つ目は、微かに混ざる
「乙女好きで可愛らしいフローラルな甘さ」。
同時に、花芯から発する微粒子の輝きも三色に分かれて舞っていた。
優しい紫の光、時折キラッと鋭く光る青みがかった光、そしてふんわりと可愛らしいピンクの粒子。
楓が冷静に分析を始めた。
「なるほど……三つの香りと粒子ね。
紫苑の適性は『優しく包み込む守護の蔓』のはずなのに、気性の荒い部分が邪魔をして粒子が散らばってるわ。
もっと心を落ち着かせて、乙女らしい可愛い部分を前面に出さないと、相手を包み込めないわよ」
玲奈は大笑いしながら手を叩いた。
「ははっ! 紫苑の花芯、めっちゃ忙しそうじゃん!
香りが三つも出てて、粒子もバラバラ!
『優しく包みたいのに、ちょっとイラッとしてる! でも実は照れてる!』って感じが丸出しだぞ!
もっとリラックスしろよ~。花芯が『私、実は可愛いものが大好きなんです!』って言ってるみたいで可愛いけど、守護の蔓としてはまだまだだな!」
紫苑は顔を真っ赤にして叫んだ。
「こ、こんなところまで分析しないでくださいっ!!
香りとか粒子とか……恥ずかしいんですけどぉ!」
楓はくすっと微笑みながらアドバイスを続ける。
「いいことよ、紫苑。
まずはその三つの香りを一つにまとめる練習をしましょう。
気性の荒い部分は少し抑えて、優しさと可愛らしさを前面に出すの。
花芯を意識して、ゆっくり深呼吸して……」
玲奈は立ち上がって紫苑の肩をポンと叩いた。
「そうだ! わたしが実演してやるよ!
ほら、こうやって腰を軽く振って、花芯から『包み込むよ~』って香りを意識して出すんだ!
紫苑もやってみろ! 全裸で堂々と!」
紫苑は両手で顔を覆いながら、情けない声を出した。
「ううう……なんで私だけ全裸なんですか……
楓先輩も玲奈先輩も服着てるのに……!」
二人の先輩は顔を見合わせて同時に笑った。
「「特訓だから!」」
紫苑の特訓は、まだ始まったばかりだった。
三色の香りと粒子を一つにまとめるため少し過激な練習が、これから本格的に始まろうとしていた。




