6 キャロットマシンとアップルスーツ
先ず目に入ったのは、自動車だった。大きさはごく普通のコンパクトカーぐらいの大きさで、色はオレンジ色だ。博士はすこぶる自慢げに話し始めた。
「洋梨子や、おまえを常に安全に導くように設計されているのが、超AIシステム、システムⅦといって文字通り七つの野菜やフルーツの名前のアイテムがあるのじゃ。
このクルマそっくりに見える乗り物はキャロットマシンじゃ。普通のクルマに見えるが、実は超AIシステム、システムⅦを統括するメインコンピュータが搭載されており、七つのアイテム全ての司令塔、つまりコントロールセンターでもあるのじゃ。
このスーパーコンピュータが常にその場の状況をセンサー及びレーダーを駆使して正確に把握し、おまえがどう動いたら良いのか教えてくれるのじゃ。
しかもワシはおまえの性格がよくわかっているから、おまえの良いパートナーとなるようにプログラムしてあるのじゃ。おまえが辛い時や危機に陥った時には必ず味方となって励まし、最良のアドバイスをしてくれるはずじゃ」
「でもどうしてクルマの形をしているの?今のお話では『基地』のイメージが強いけど」
「ふふふ。それはこのキャロットマシンが移動式の司令塔だからじゃ。
クルマのように陸はもちろん、空を高速で飛ぶこともできれば、水上及び水中や地中を掘りながら高速で進むこともできるからなのじゃ。
また小さい割に居住性も良く設計してあるから、長時間過ごすにも不便は無い。快適に寝食もできるぞ。
外側はワシが特別に開発したハイパーアルミニウムとハイパーガラスでできているから、銃弾や火炎放射や爆発にもびくともしないし、何と溶岩の高熱にまで耐えられるのじゃ。
またもしも何かの強い衝撃が加わった時は車内でスポンジ状のクッションが四方から飛び出してきておまえを守ってくれるのじゃ」
「で、二番目のアイテムは?」
「アップルスーツじゃ。さあ、着てごらん」
(洋梨子は別室でアップルスーツに着替える。全体的に色は赤で、就活のスーツとほぼ同じ形だ。)
「何これ、色は派手なのに就活スーツの形だからちょっときつくて動きにくいわ。それにどうしてこんなミニスカートなの?パパったらエッチね。
しかもタイトミニだから動きにくいったらありゃしない。これで戦えるわけないでしょ?動きにくいうえにこんなミニじゃ足元が気になって集中できないじゃない」
「それが良いのじゃ。ミニスカートで相手を幻惑して戦いを有利に進めることができるのじゃ」
「そんなのやだ、やっぱりやめた」
「ごめんごめん、今のは冗談じゃ。実はそのスーツは状況に応じて行動しやすいように色はもちろんのこと、形状も変えることができるのじゃ。ベルトのバックルを少し回転させてごらん。
「(バックルをかちかちと少し回転させて)あっスカートが長くなったわ。あっ今度は全体がワンピースに変わったし、ヘェ〜、パンツつまりズボンにもなったわ。これなら動きやすいわね。お父様、色を変えるにはどうしたらいいの?」
「バックルの表面にあるプラスボタンを押すと、押すたびに明るい赤色になり、マイナスボタンを押すと暗い赤色になるのじゃ」
「わーっ、グラデーションになってて微妙な色合いもできるのね、おもしろい!でもこれぐらいじゃ引き受ける気にはなれないわ」




