19 地底人との話し合い
キャロットマシンは地下の広大な空間を進んでいく。しかし不思議なことに行けども行けども全く何の攻撃も見られない。
その広大な空間は無限に続くかと思われたが、20分ほど進んだ時に前方に急にオレンジ色のスポットライトが見え、そこには1人の男が立っていた。
そこでキャロットマシンが停止すると、男は大きな声で次のように言った。
「地上の方ですね。お待ちしていました。ようこそ我らが地下帝国へ。これからあなたの歓迎のディナーを始めたいと思います」
洋梨子は意外に思った。自分は招かれざる客のはずだ。それなのにようこそとは一体どういうことなんだ。いや、歓迎のディナーなどと言っているが、キャロットマシンを降りた途端に攻撃してこないとも限らない。
不意をついてくるかもしれないから、絶対に油断をしてはいけないのだと自分に言い聞かせた。
「われわれはあなたを大歓迎しているのですよ。さあこちらへ。私たちはあなた方と同じ人間です。食べるものも同じです。おいしいお料理やお飲み物も用意してございます」
洋梨子はパンプキンパロットを肩に乗せたまま恐る恐るキャロットマシンから降りた。
「サーベイランスモードはマックスです、お嬢様」
いつどこから攻撃してくるか全く見当がつかない。それにもし何十人もの敵が一斉に撃ってきたら、このシステムをもってしても防ぐ事は不可能だ。やはりたった1人でこんな未知の世界に飛び込んでしまったのは無謀すぎたのだろうか。
警戒しながらその男についていくと、不思議なことに辺りは静まりかえっており、何の攻撃もなく、小さな広間に通された。そこには銀色のテーブルがあり、燭台のろうそくが光っていた。テーブルの向こう側には、ヒゲを生やした男が立っており、その左右には部下と思われる男たちが立っていた。
「ようこそ地下帝国へ。こんな遠いところまで大変でしたでしょう。さて早速ですがどのようなご用件でしょうか」
「不躾ですが、先日のミサイル攻撃及びロボットによる破壊について何かご存知でしょうか?」
「ええ。あれは我々のあなた方への報復です。地上に住む人類は、原子力発電を廃炉にした後にその有害な廃棄物処理場を、我々の住む地下に続々と作っています。これは我々地底人の存続に関する重大な問題であり、決して許せません」




