第十六話本当の姿
第十六話本当の姿
私と彩那の学校では二年生で一旦卒業式を行い三年生では系列大学のコネクションを使い大学生活を一年間体験するというのが決まりになっている。
その関係で修学旅行は一年生で行うのだ。
しかし今回ばかりは去年の修学旅行が今年になってよかったと本当に思う。
修学旅行が終わった私たち二年生は卒業式の準備と講義決めが待っている。
「彩那はどの講義を受けるか決めてる?」
私が彩那に質問するといつもの元気が嘘のように小さな声で答えた。
「……保育士」
その光景を見て私は彩那のことを何も知らないのではと大きな不安に押しつぶされそうになった。
「……彩那?」
「ごめんね、心配させたよね。夢を口に出すのが怖いの……叶わなかったらって考えたらやっぱり怖くて、失望したでしょ」
「失望なんてしない!! どんな彩那でも彩那は彩那だよ、私にそう言ってくれたでしょ。私本当に嬉しかったんだよ、少しは自分を認めてもいいんじゃないかってそう思えるぐらい。お願いだから彩那一人で抱え込まないで私にも抱えさせてよ……恋人でしょ私たち」
今は周りにどう思われるかより彩那に安心してほしい、その一心で言葉をかけた。
「ありがとう、でもちょっと一人にさせて」
彩那はその日から一週間ほど一人で帰るようになった。
何度誘っても断られてしまった。
どうしてと考えているうちに思い出したことがある、それは彩那は一度も私に夢の話をしていないということだ。
なぜ安易に聞いてしまったのか考えれば考えるほど沼にハマるように気持ちが沈んでしまう。
咲美と灯凪ちゃんとは話す彩那を見て私は……やっぱり恋人失格だったのではないかと考えていたとき
「もう見ていられません!!」
と橘さんの声が聞こえてきた。
「どうしたの橘さん、もしかして彩那を奪いにきたの?」
「そんなわけないことくらいわかりますでしょ!! ここ最近の彩那様と白本さんときたら……とっとと仲直りすればよろしいではないですか。彩那様は白本さん、貴女を待っているのですよ。親衛隊の私たちでは心の奥底までは踏み込めません、恋人である貴女でないといけないのです。必要であれば私たち親衛隊を利用して構いません……ですから彩那様の笑顔を取り戻していただけないでしょうか」
橘さんは深々とお辞儀をして私に懇願してきた。
私は戸惑っていると彩那との思い出が走馬灯のように駆け巡った。
「橘さん、ありがとう。明日の卒業式当日に彩那に思いを伝える、協力してもらえるかな、橘さん」
「もちろんです白本さん」
翌日の卒業式、親衛隊の人たちには彩那が一人で帰らないか見張ってもらうことにした。
私の思いを伝えるために。
読んでいただきありがとうございます!!
更新は出来るときにしますね




