9-5 答え
さて、意気揚々と里山へ入って来た子供たちだったが、今は皆顔を真っ白にして震えあがっていた。
子供たちの前に立ちはだかっていたのは、見たこともない青年たち。
それぞれが武器を手に手に、怯えて身を寄せ合う子供たちをにやにやと見下ろしていた。
「何だぁ、お前たち?人様の領土にずかずか踏み込んで、ただで済むと思ってんのか?」
青年の一人が声を荒らげる。
「さて、どう責任取ってもらうかなぁ?」
笑みを深めた青年が一歩、子供たちの方へ踏み込んだ。その時――
「そこで何をしているのです?」
木々の中に凛と響いたのは、紅悠の声。
「ここは藍龍族の領地です。この子たちは、何も悪さはしていませんよ」
「紅悠さまぁ!!」
子供たちが堰を切ったように泣き出し、紅悠に飛びついてきた。
「みんな、このことを急いで首長様に報せて。出来るわね?」
紅悠の言葉に、子供たちはしゃくりあげながらもしっかりと頷き、一目散に山を下っていった。
子供たちを逃がす間にも、紅悠は目の前の男たちをじっと見据える。
筋骨隆々の身体に豪奢な衣を纏い、戦意をむき出しにした瞳が紅悠を睨めつけていた。
「てめぇ、どこの女だ?いい度胸だなぁ」
どうやら、あまり精神性の高い者たちではなさそうだ。
「許可なく村に入り込んでおいて、まず名乗るべきそちらの方でしょう。これ以上村を荒らすつもりなら、今すぐここから立ち去ってください」
「何だと?」
男たちが、ピクリと眉を吊り上げる。
「おい女ぁ、誰に向かって口きいてんのか、分かってんのか!?」
「ここはもう俺たちの領土だ!女はすっこんでろ!」
口々に怒鳴り散らしながら、男たちが武器を構える。
しかし紅悠は動じることなく、肩を竦めてみせると。
「…お分かりいただけないのなら、仕方ありませんね」
小さく嘆息してから、再び目の前の男たちを、見据えた。




