7-5 動き出す思惑
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それから、数日後。
首長邸の縁側には、少女たちの明るい声が響いていた。
仕事の合間に、例によって凛が女子会をしに来ていたのだ。
「へぇ、あの青龍族の兄妹、また来たんだ」
お団子をもぐもぐと頬張りながら、凛が呟く。
「凛さん、翠様と明様のこと、知ってるんですか?」
紅悠が目をぱちくりさせる横で、凛は困ったように笑って。
「知ってるっていうか、たまに見かける程度だけど…ねぇ紅悠、あの妹ちゃんに、何か変なこと言われなかった?」
「明様に…?いえ、特には…」
首を傾げる紅悠に、凛はほっとしたように溜息を吐いた。
「そう、なら良かった。もしこれから何か言ってきても、気にしない方がいいよ」
「ええ…でも、どうしてそんな?」
紅悠が聞くと、凛はお茶を一口すすり。
「…あの子多分、律のこと好きなんだと思う。勘だけど。」
どうやら凛は以前、明から“変なこと”を言われた経験があるようだ。
それは、まだ紅悠がここに嫁いでくる前のこと。その時も律が熱を出したと知らせを受けて、いつものように凛が診察に来ていた。
そこにたまたま、あの兄妹がやって来たのだ。
二人ともまさか律が寝込んでいるとは思いもしなかったらしく、見舞いの言葉をかけて早々に屋敷を後にした。
――と、思いきや、何故か明だけが部屋に戻ってくると、診察を続ける凛を廊下の隅に連れ出す。
「貴女、律様とはどういったご関係ですの?」
こちらを振り返るなり、明が半眼でそう尋ねてきた。
さすがの凛も、一瞬面食らったが。
「どうって…ただの幼馴染ですけど?あとは、医者と患者、かな?」
「ふぅん…幼馴染ねぇ…」
言いながら、明は凛の頭の先から足元まで、しげしげと観察する。
「…ひとつ、忠告しておきますわ。律様は、貴女のような庶民が気安く話しかけて良い身分の方ではございません。幼馴染だかなんだか存じ上げませんが、その辺りの常識は弁えていただきませんと。」
「はいっ?」
思いもよらぬ言葉に、口をぽかんと開ける凛。
そんな凛の前で、明は優美に右手を頬にあて、溜息を吐く。
「…と言っても、庶民に王族の常識は分かりませんわね。はっきり申し上げますと、貴女の態度は王族への非礼にあたります。今後、律様に対してあまり馴れ馴れしくしないでくださる?」




