6-2 落ちこぼれの花婿
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昼餉を済ませた後、紅悠は圭と連れ立って市場へ買い出しに出掛けた。
紅悠が律の仕事を手伝うようになった分、日中の家事は主に圭が担ってくれているが、今では律も掃除や庭仕事、時には紅悠の料理の手伝いも、率先して行ってくれる。
紅悠や圭では手の届かない高い場所のものや、二人掛かりで運ぶような重い荷物も、律ならあっという間に片付けてしまう。
圭は以前『律様は一人じゃ何もできない』と言っていたが、どうやら仕事が忙しすぎたせいで、家のことまで手を回している余裕がなかっただけだったようだ。
さて、市場で二手に分かれた後、圭は夕餉の食材を、紅悠は事務用品と丁子油を仕入れ、無事に合流した。
帰宅する途中、二人は村の広場に、何やら人だかりが出来ているのを目にする。
紅悠と圭は顔を見合わせながら、近寄ってみると。
「…圭様、あそこ!」
紅悠が、人だかりの中心にある桜の枝を指さす。
村に古くから鎮座する桜の大木の上で、幼い少年が一人、身動きが取れず枝にしがみついていた。
「まあまあ、どうしてあんなところに…!」
思わず圭が声を上げると、近くにいた老女が。
「何でも、木に竹とんぼが引っ掛かったのを取ろうとして、降りられなくなっちゃったらしいんだよ」
桜の木の下では、集まった大人たちが懸命に降り方を指南しているが、少年はすっかり足がすくんでしまったのか、震えたまま動こうとしない。
そうこうしているうちに、少年が乗っている枝の付け根からは、みしっと嫌な音が響く。
「…!」
紅悠は咄嗟に、人だかりを掻き分け少年の下へ走る。
――バキバキバキッ!!
枝が折れる音と、悲鳴が同時に響き渡る中。
突如、閃光が迸った。
紅悠がかざした手の平から放たれたその光は、落下する少年の身体を包み込み。
そのまま、ゆっくりと少年を地面に降ろし、消えていった。




