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5-6 落ちこぼれの花嫁
「赤龍族が…」
律は複雑な表情で腕を組む。赤龍族は、よく言えば勇ましい、悪く言えば荒々しい気質の一族で、戦と勝利を好む領土争いの筆頭格だ。
「昨晩、村はずれの山中で、彼奴らの偵察隊らしき姿が目撃されております。早急に対策を講じた方がよろしいかと」
龍族の村の統治権は、当然村を治める王族、即ち首長にある。律が治めるこの村は、代々藍龍族王家が首長を受け継ぎ、領土として守ってきた。
しかし近年、国内では実力主義に基づいた領土争いが過熱している。より力のある王族が、別の王家の治める村の統治権を奪い、自らの領土にしてしまう事例が、頻繁に起こっているのだ。
この村と山を挟んで隣接する赤龍族の村では、最近若い王族に首長が代替わりしたらしい。その若者が、領土拡大のためにこの村に目を付けている可能性は、十分に考えられる。
仮に赤龍族にこの村の統治権が奪われた場合、この土地は赤龍族の領土となるため、藍龍族の村人は皆、別な村へ移らなければならない。村人たちの生活と安全を守るためにも、早い段階で相手を牽制しておかなければ。
「…分かった。明日から村の結界を強化する。赤龍族との境界付近にある里山は、当面の間立ち入り禁止措置としてくれ」
「承知」
弦は小さく頷くと、静かに部屋を出て行った。




