5-4 落ちこぼれの花嫁
首を捻っていると、そこへ。
「旦那様!こちらにいらしたのですね」
廊下の奥から、パタパタと駆けてくる紅悠の姿。
「お夕食の準備が出来ましたが、お部屋にお持ちしてよろしいですか?」
「…いや。今日は、居間でとることにするよ」
言うと、紅悠は嬉しそうに頷いた。
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夜、奥の間で一人座禅を組んでいた律は、息を吐いてゆっくりと目を開ける。
(――こんなにしっかりと瞑想の時間が取れたのは、何年振りだろうか)
まだ戌の刻だというのに、今日中に終わらせなければならない仕事は全て、片付いてしまった。
部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、紅悠に声をかけられる。
「旦那様、今日のお夜食はいかがなさいますか?」
律は微笑みながら、首を横に振った。
「今日の仕事はもう終えたから、大丈夫だ」
それを聞くなり、紅悠がぱっと輝く笑顔を見せる。
「本当ですか?よかった…!では、今夜はごゆっくりお休みください」
そう言って踵を返した紅悠を。
「紅悠」
律が、後ろから呼び止めた。
「…ありがとう。紅悠が居てくれて、本当に助かった」
紅悠は一瞬、目を見開いてから。
「いいえ!明日からも、よろしくお願いします」
眩しいくらいの笑顔で言った後、紅悠は自室へと戻っていった。
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